昨日の本誌で伝えたように、中国国民党の総統選候補者に侯友宜・新北市長が指名され、郭台銘・鴻海精密工業創業者は選ばれなかった。
「台湾民意基金会」が今月上旬に実施した世論調査では、与党の民進党は副総統で主席の頼清徳氏が支持率35.8%でリードし、中国国民党の侯友宜氏が27.6%、台湾民衆党の党首で元台北市長の柯文哲氏が25.1%となっている。頼氏がリードしているもののそれほど差は開いていない。
産経新聞が「今後は支持率で首位に立つ頼氏を他の2候補がいかに巻きかえすかも焦点となる。国民党内には民衆党と候補を一本化し、共闘を求める声も出ている」と報じているように、柯氏は「国民党とはDNAが違う」と言っているが、それを真に受ける有権者はいないようだ。政権交代をキイワードに「野合」もありうる。
また、民進党にも党内融和という問題があるようで、頼氏が所属する新潮流派内の結束、また蔡英文派(英派)や林佳龍・総統府秘書長率いる正國会などの派閥の協力が思うように得られなかった場合、頼氏の当選がおぼつかなくなる可能性もあるという。—————————————————————————————–台湾総統選挙 国民党が新北市長の侯友宜氏を公認候補に擁立【NHKニュース:2023年5月17日】https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230517/k10014070351000.html
来年1月に投票が行われる台湾総統選挙で8年ぶりの政権奪還を目指す最大野党・国民党は、新北市長の侯友宜氏を公認候補として擁立することを決め、主要政党の3人の候補者が出そろいました。
国民党は総統選挙の公認候補について今回は予備選挙を行わず、世論調査のほか、党所属の国会議員にあたる立法委員らの意見などをもとに17日、新北市長の侯友宜氏を擁立することを決めたと発表しました。
指名を受けた侯氏は「国際的には戦争の危険が迫り、国内は激しく対立してするべきことが多く残っている。新しい気風を打ちたて、もう一度、政権を交代させよう」と述べました。
侯氏は警察のトップを務めたあと、台湾北部の新北の副市長を経て、2018年の市長選挙で初当選し、去年、再選されました。
「台湾独立」に反対し「一国二制度」に同意しないという立場を示していますが、中国との関係や外交については、これまであまり多く発言していません。
今回の国民党の指名争いでは、有権者が最も多い新北の現職市長の侯氏と、ホンハイ精密工業の創業者の郭台銘氏が有力とみられていました。
侯氏の人気がもともと高かった中、決定を引き延ばす間に郭氏の支持率も上がったため、党内や支持者の中に不満が残るという見方もあり、国民党にとっては8年ぶりの政権奪還に向けて結束できるかが課題となります。
来年1月の総統選挙には、与党・民進党が副総統の頼清徳氏、第3党の民衆党が前の台北市長の柯文哲氏をそれぞれ擁立することを決めていて、これで主要政党の3人の候補者が出そろいました。
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