「外国人参政権」を巡る大学入試センター
への質問とその回答
8月20日現在

 皆さんもご存知のことと思いますが、今年1月16日に実施された「現代社会」にて、政治的に現在進行形である「外国人参政権問題」を採用し、あたかも「違憲」ではない印象を与える答となっていました。
 このことについて、大学入試センターへファクスにて質問をいたしました。

 なお、先方からの回答は、ファクスですので、HP用に打ち直していますので段落等に原文との違いがございますことご了承下さい。  (転載自由)
                                            平成22年2月25日 渡邊裕一
質問1回目 回答1回目 質問2回目 回答2回目 質問3回目 回答3回目
質問4回目 回答4回目 質問5回目 電話確認 文科省へ電話 文科省回答
回答5回目 質問6回目 回答6回目 質問7回目 回答7回目 質問8回目
回答8回目 質問9回目 回答9回目 雑感

【質問】8回目 8月20日送信

大学入試センター 殿

質   問   状

 8度目の質問状を送らせていただきます渡邊裕一と申します。7回目の質問状に対しての回答を拝受いたしましたところ、「このたびいただいた御質問については、特に前回までの回答に付け加えることはありませんので御理解下さい。」との事でありました。

 前回の質問を含むこれまでの質問で、貴大学入試センターが出題された設問の内容に関して、真摯に向かい合ってご回答いただくように要望してきたつもりですが、またしても内容に立ち入らない外形的な部分のみに着目した回答が返されたことが残念であります。この度は別の視点から質問致しますので、外形的な話ではなく、内容に立ち入って、受験生の立場を尊重したご回答をいただけることを期待いたします。

 一橋出版の現代社会の教科書を見ますと、本文に「参政権は、権利の性質上、精神的自由など誰に対しても認められる人権とは異なり、国民にしか認められていない。この参政権を在日(定住)外国人に認めるべきかについて議論がある」との記述があります。その上で脚注として、「日本に住む外国人が選挙権を求めた訴訟で、最高裁判所は1995年2月に永住外国人にも地方参政権を認める余地のある判断を示したが2000年4月の判決では、地方参政権を日本国民に限っている公職選挙法などを合憲とした」と明言されています。

 つまり、最高裁判所による見解は、一旦は1995(平成7)年に出された傍論による意見から、2000(平成12)年に同じく最高裁判所で判断されたものへと誤解がないように訂正され、最高裁判所では地方参政権を外国人に認めていないことが明記されています。その後も最高裁判所では、2005(平成17)年にも地方参政権を含む参政権は日本国民の固有の権利であることが判断されています。

 1995年7月の意見のみを掲載している現代社会の教科書こそが事実を一面しか伝えておらず、現実の最高裁判所の判断からは著しく乖離してしまっています。一橋出版で学習した受験生は、1995年以降現在に至るまでの最高裁判所の判断を学習していますし、一橋出版の教科書で学ばなかった受験生も独自により深く学習を行えば、2000年および2005年の最高裁判所の判決へと辿り着くことが出来ます。特に2005年は1995年のような小法廷ではなく、大法廷による判断です。

以上より、貴大学入試センターが2010年1月16日(土)に実施された『現代社会』第1問の問3にて出題されました「B最高裁判所は、外国人のうちの永住者等に対して、地方選挙の選挙権を法律で付与することは、憲法上禁止されていないとしている。」を正文とする選択肢は、一橋出版および外国人参政権への記載がない教科書を除く、一部の教科書内容だけを金科玉条としてすべてを理解している受験生のみが正答となる問題です。

このような出題は現実的ではなく、学習指導要領を逸脱した政治的な判断を受験生に求めているものであり、出題者の政治的意図が多分に漏れ出ていますので、公平たるべき独立行政法人大学入試センターの出題としては不適当であります。よって受験生への公平性を担保するために、全ての受験生に加点をする等の対応がとられますようお願いいたします。

教科書記載数などに関する外形的なお答えとは無関係な問いかけですので、内容に立ち入ったご回答をお待ちしております。


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