「外国人参政権」を巡る大学入試センター
への質問とその回答

 皆さんもご存知のことと思いますが、今年1月16日に実施された「現代社会」にて、政治的に現在進行形である「外国人参政権問題」を採用し、あたかも「違憲」ではない印象を与える答となっていました。
 このことについて、大学入試センターへファクスにて質問をいたしました。

 なお、先方からの回答は、ファクスですので、HP用に打ち直していますので段落等に原文との違いがございますことご了承下さい。  (転載自由)
                                            平成22年2月25日 渡邊裕一
質問1回目 回答1回目 質問2回目 回答2回目 質問3回目 回答3回目
質問4回目 回答4回目 質問5回目 電話確認 文科省へ電話 文科省回答
回答5回目 質問6回目 回答6回目 質問7回目 回答7回目 質問8回目
回答8回目 質問9回目 回答9回目 雑感
これが、問題のセンター試験現代社会問B。
問B 日本における参政権に関する記述として適当でないものを、@〜Cのうちからひとつ選べ
@、国民投票上、憲法改正の国民投票の投票資格は、国政選挙の選挙権年齢が満18歳以上に改正されるまで、満20歳以上の国民に認められる

A、被選挙権は、衆議院議員については満25歳以上、参議院議員については満30歳以上の国民に認められている。

B、最高裁判所は、外国人のうちの永住者等に対して、地方選挙の選挙権を法律で付与することは、憲法上禁止されていないとしている。

C衆議院議員選挙において、小選挙区で立候補した者が比例代表区で重複して立候補することは禁止されている。

答え>C。 と出題されていたが、Bを選んでも正解になるはずだが、その問にセンターの対応は・・・

【質問】1回目 1月30日送信

大学入試センター 殿

質   問   状

2010年1月16日(土)に実施された『現代社会』の問題について質問させていただきます。

 第1問の問3において、「下線部cに関連して、日本における参政権に関する記述として適当でないものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。」という問題が出されています。下線部cとは「投票資格」とありますので、「投票資格に関連して、日本における参政権に関する記述として適当でないものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。」という問題ということになります。

 これに対して、選択肢は4つありまして、@は選挙権が満20歳以上ということで「適当」、Aは被選挙権が衆議院で満25歳、参議院で満30歳ということで「適当」と判断できます。また、Cは衆議院における重複立候補に関する問いで「適当でない」と判断できます。しかし、下に述べるようにBの問は極めて曖昧であり、BとCはどちらか一方を「適当でない」と判断することは不可能です。

 Bには、「最高裁判所は、外国人のうちの永住者等に対して、地方選挙の選挙権を法律で付与することは、憲法上禁止されていないとしている。」と書かれています。平成7年2月28日の第3小法廷判決において、平成5年(行ツ)第163号に対して出された理由(2)に基づくものだと思われます。

 しかし、同主文は地方参政権を求める原告の訴えを退けるものであり、現憲法下において外国人参政権を禁じている現状は何ら問題ないとするものでした。判例において重要なのは当然の如く主文でありますが、第1問の問3では、最高裁判所が主文において先例法理となるように外国人参政権を認めたのか否か、という問であると読み取ることも可能です。

 仮に、問題が「最も適当でないもの」を問うていたのであれば、Cのみが解答であるということは可能でしょうが、「適当でないもの」を問うている今回の場合には、BもCもともに正答となるべきだと思われます。ご検討ください。

 また、外国人参政権をめぐる問題は、政治的な場において現在進行形で議論が行われている問題です。政治的に中立であるべき独立行政法人大学入試センターにおいて、政治的に一方に偏った問題が出題された経緯をご説明ください。独立行政法人大学入試センターが、一部出題者の、政治的なパフォーマンスの場として利用されてしまったことについて、センターとしての見解をお聞かせください。            

                         以上

回答1回目へ続く⇒