【AC論説】「現状維持」政策に委縮するな

【AC論説】「現状維持」政策に委縮するな

         Andy Chang 

「現状維持」はアメリカの押し付け政策である。アメリカは中国の
恫喝で戦争になることを恐れるあまり、日本と台湾に現状維持、事
なかれ主義を要求する。中国が南シナ海で岩礁埋め立てで滑走路を
作り、レーダーを設置しても、または尖閣諸島に230隻の漁船と監
視船を送り込んでも日本に衝突を避けるように要求する。

台湾では新政権が発足したあとも現状維持、中国と話し合いを催促
する。中国は「92共識」(台湾と中国は一つの国と言う相互認識)
を台湾側に強要する。中国が南シナ海で滑走路を作り、ハーグ国際
法廷の判決に反対を唱え、尖閣諸島近海に漁船を送り、尖閣は中国
の領土であると勝手な主張をしてもアメリカは黙視する。

このことからわかるように、アメリカは中国の横暴な進出に対して
何もしないばかりか日本や台湾が迷惑してもガマンを要求するだけ、
つまり日本と台湾はアメリカの現状維持政策の被害者である。

●「現状維持」がアジア不穏の原因

現状維持は双方の責任である。日本や台湾に現状維持を要求するな
ら同じことを中国や北朝鮮にも要求しなければならない。しかしア
メリカは中国に勝手な真似をするなと警告しない。日本と台湾には
中国を刺激するような行動を止めよと要求する。中国はアメリカが
止めろと言うまで横暴な拡張を続ける。アメリカが中国の勝手な行
動を阻止しないからアジアの不穏が増すのである。

現状維持がアメリカの政策ならアメリカが率先してやるべきである。
狡賢いアメリカはやらないで日本や台湾にやらせる。中国が勝手な
拡張をしても日本と台湾は委縮して何も出来ない。これが現状だ。

●日本は萎縮より強くなるべき

中国の横暴な発展を打破するなら日本はアメリカに現状維持を要求
すべきだ。アメリカのおかげで日本は軍隊を持つことさえできず、
憲法改正もメディアが中国や韓国の脅迫に怯えて反対論を展開する。
メディアは中国やアメリカの言論に影響されて日本の国益を無視し
ていると言える。

アメリカが現状維持を要求するなら日本が再軍備して中国の武力に
対抗できるようななることこそ望ましい。アメリカは日本の再軍備
に賛成すべきなのに、日本の再軍備に反対圧力をかける。

アメリカの政策が間違っているなら日本は正々堂々と反論すべきだ。
日本が中国と対等で戦える戦力をつくるのをアメリカは歓迎すべき、
日本再軍備でアメリカが反対できるはずはないし、反対すれば堂々
と反論すればよい。

中国に文句を言えないアメリカが日本に何が言えるのか。アメリカ
は日米安保を破棄するような恫喝論を持ち出すだろう。だがしかし、
日本こそアジア平和の要塞であることはアメリカが一番理解してい
る。日米安保とはアメリカのアジアにおける存在と利益のため、日
本各地に米軍基地を設置しているのである。日本の基地を失えばア
メリカは東亜から撤退することになり、アメリカの大損害だ。

日本はアメリカに対し、尖閣諸島近海にアメリカの軍艦を派遣して
中国の漁船を追っ払えと要求すべきである。アメリカは南シナ海に
空母を派遣すると同時に中国に対し、ハーグ国際法廷の判決を尊重
し、岩礁建設の中止と退去を要求すべきである。

●現状維持と台湾の萎縮

蔡英文が2012年の総統選挙に立候補した時、アメリカはダグラス・
パールを派遣して国民党の馬英九支持を表明した。明らかな内政干
渉である。

アメリカは台湾人が総統に当選すれば独立意識が高まるとみて反対
したのである。今年1月に蔡英文が立候補して大勝利したが、アメ
リカは現状維持を強要し、蔡英文政権は萎縮して何もできない。

今年7月に台湾でミサイル誤射事件が起きた。このミサイルは台湾
が独自開発した20〜200メートルの超低空で、マッハ3の高速で飛
行して標的を捜査し命中させるC4ISR型ミサイル、しかも400キロ
の行動距離があるミサイルだった。アメリカは驚いた。

アメリカは台湾が弱いこと、アメリカの防衛に依存することを願っ
ている。ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ元AIT所長
は最近の講演で、(1)台湾が新型ミサイルを開発したが解放軍を弱
体化させられるか。(2)台湾海峡の不安を増加させることはアメリ
カにとって重要な鍵となる。(3)台湾が要求するような新型戦闘機、
船艦、潜水艦やタンクを提供するのは効率に合致しない。(4)中国
は台湾いつまでも対話を避けるなら忍耐力を失って武力に訴えるか
もしれない。(5)アメリカには台湾放棄論もあるし、中国と戦争を
避けるため台湾がアジア友好国における安全保障を軽減させること
もある、などと述べた。台湾の自己防衛力の増加に反対していると
しか思えない発言だ。台湾が萎縮して何もできずアメリカに頼るこ
とを強要しているのである

●アメリカの強いパートナーとなれ

日本と台湾はアメリカの恫喝に似た自己防衛力増加に反対を慎重に
検討しなければならない。アメリカは頼れるか。頼れないなら自己
防衛しかないが、アメリカを怒らせないように自力発展を遂げるべ
きだ。日本も台湾もアメリカに構わず新武器を発展させ、中国に断
固たる態度で対峙すべきである。

アメリカの現状維持(事なかれ主義)に萎縮して中国に無気力であれ
ばアジアの不穏は増加する一方だ。アメリカの事なかれ主義に萎縮
せず自己防衛力を増加させてもアメリカが日本と台湾を放棄するこ
とはありえない。台湾と日本、どちらを放棄してもアメリカはアジ
アから撤退せざるを得ない。中国に勝手な行動をさせないことはア
メリカが歓迎すべきで反対すべきでないことを外交力でアメリカに
悟らせるべきだ。


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