【産経正論】「中国依存」は米国の西太平洋地域の存在を否定する危険な外交だ

【産経正論】「中国依存」は米国の西太平洋地域の存在を否定する危険な外交だ 

2017.7.13産経新聞

まったくその通りだ。日本は果たして自ら取れる対策を全部やり尽くしたのか?
日本国内の北朝鮮勢力に制裁を加えたのか?
疑問だらけだ。

「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)

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平和安全保障研究所理事長・西原正

平和安全保障研究所理事長・西原正氏
 トランプ米大統領の現在の外交・安全保障重要案件の一つは北朝鮮の非核化である。ハンブルクで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議を利用して行われた一連の会談において、トランプ大統領はこれに多くの精力を注ぎ、非核化を進めるにあたって中国の対北朝鮮圧力が不可欠であると改めて強調した。

≪選択肢がほとんど失われた≫

 だが北朝鮮の核・ミサイル開発放棄を目指すトランプ外交は行き詰まっている。去る4月6、7日の米フロリダにおける習近平国家主席との首脳会談を通して、トランプ大統領は中国が北朝鮮への経済制裁を強化して核兵器を放棄させることを期待した。

 しかしその後、日米が北朝鮮への経済制裁を強化したのに対して、中国は逆に隠れて北朝鮮への輸出を増大させた。ティラーソン国務長官は国連安全保障理事会で中朝貿易は北朝鮮の総貿易額の90%を占めると述べ、トランプ大統領は中朝貿易が本年の第1四半期に40%増加したと非難した。

 「すべての選択肢がテーブルの上にある」とすごんでみせたトランプ政権は4月末以降、日本海への空母2隻や潜水艦などの展開、米韓合同演習の実施、戦略爆撃機による北朝鮮近空域の威圧飛行などを行った。しかし北朝鮮が米国の「砲艦外交」に動じることなく弾道ミサイルの発射を続けた。今後、核実験を断行すると、米国は選択肢をほとんど失ってしまう。

 トランプ大統領は習主席に「中国が北朝鮮に対処しなければ、米国は独自で対処する」と告げながら、結局これまでのところ何も効果も挙がっていない。ハンブルクで記者団から「中国への圧力は断念したのか」と聞かれたトランプ大統領は「断念することは決してない」と不機嫌に強く否定した。

≪米国は徹底的な制裁を科せ≫

 残念ながら、オバマ政権は「戦略的忍耐」政策のもと何ら開発阻止の手を打たないで、結局、北朝鮮に核・ミサイル開発の時間を稼がせてしまった。トランプ政権は「忍耐の時代は終わった」というが、実際には選択肢を失って忍耐の時代をまだ続けている。

 米国は北朝鮮の政権を揺さぶることができるはずだ。トランプ政権は、ブッシュ政権が行ったマカオの銀行バンコ・デルタ・アジアに対する制裁が効果を上げたような、エリート層を狙った制裁をしている様子がない。北朝鮮と取引のある金融機関に対してもっと徹底的な制裁を科すべきである。

 同様に、日本の対北制裁もまだ生ぬるいのではないか。全国で1万5千店あるといわれるパチンコ店の3〜4割が北朝鮮系といわれ、その収益の多くが北朝鮮に流れているとされる。日本からの直接の送金は対北制裁措置のため厳しい制限があるが、地下ルートやマカオなどの海外金融機関を通じた送金ルートを断たねばならない。日本は自国の現状についてまずただすべきだ。

 実際のところ、トランプ大統領が北朝鮮の核開発を阻止する上で中国にその責任を負わせるのは、アジアにおける米国の地位を低下させる危険な外交である。もし習主席が「それでは中国がその責任をもって対処しましょう」といって実際に北朝鮮との貿易を中止し、北朝鮮が核開発を中止した場合、事態はどうなるだろうか。

 まず中国は自分たちこそが東アジアに平和をもたらしたのだと豪語するであろう。そして朝鮮半島、とくに韓国に対する影響力を強め、高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を中止することを要求するであろう。

 そればかりか、中国は南シナ海における米国の航行の自由作戦の中止、台湾への武器供与の停止、さらには尖閣諸島の防衛公約の撤回などを要求することが予想される。

≪日米韓が主導する取り組みを≫

 そして中国は自国こそが東アジアの平和に責任を果たすことができる国であることを強調して、米国に対して東アジアからの撤退を要求するであろう。習主席はすでに2013年6月、オバマ大統領との会談時に、「太平洋を米中で2分割し西太平洋は中国が統治する」という提案をしていたし、14年には別の国際会議で「アジアの安全保障はアジア人で協議すべきだ」として、米国を除外すべきことを示唆していた。

 トランプ大統領の「中国依存外交」がこのように米国の西太平洋地域の存在を否定する可能性を予測していないのは、実に危険なことである。安倍晋三首相をはじめ外務省も、トランプ大統領の「対中依存外交」が孕(はら)む危険性を読んでおくべきである。

 当面、習主席が米国の圧力を受けて北朝鮮に圧力をかけることは、国内政治の観点からも不可能であろう。とはいえ、中国が外交姿勢を変える可能性もある。日米は「対中依存政策」を早急に見直し、日米韓が主導的に北朝鮮問題と取り組む道を選ぶべきである。(平和安全保障研究所理事長・西原正 にしはらまさし)

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