にほんブログ村 ニュースブログ 海外ニュースへ

中国の台湾吸収策は失敗する  浅野 和生(平成国際大学教授)

浅野 和生(平成国際大学教授)中国の台湾吸収策は失敗する─自由と民主なき国の限界 「恵台31条」の狙いは完全統一【Viewpoint:2018年5月10日】

 2期目を迎えた習近平政権が最初の全国人民代表大会を前にした2月28日、中国政府は台湾海峡「両岸の経済文化交流協力を促進するための若干の措置(關於促進兩岸經濟文化交流合作的若干措施)」を発表した。台湾では「恵台31条(31項目の台湾“優遇”政策)」と称されるこの政策は、対象を企業から、学生、教師、医者、芸能関係者、出版にまで広げて、台湾の人材を中国大陸に吸引しようとしている。

 昨年10月の第19回中国共産党大会において、習近平総書記は、台湾海峡の「両岸は一家」という理念で、台湾の「同胞」には、大陸の「同胞」と同等の待遇を提供すると述べた。その方針を具体化するのが、「恵台31条」である。

 しかし習近平の対台湾政策の目標は、あくまでも「一国二制度」による祖国の完全統一の実現である。つまりは、「恵台31条」は、このゴールを目指す、武力によらない台湾併呑方略である。

 この対台湾「優遇策」には、2013年6月、1期目の習近平政権と、国民党・馬英九政権との間で署名された「海峡両岸サービス貿易協定(海峽兩岸服務貿易協議)」の前例がある。当時、中国側が台湾に開放するのは80分野で、台湾が中国に開放するのは64分野なので、台湾にやや有利な協定だと馬政権は説明した。しかし、台湾の人びとには、協定によって中国人労働者が流入すれば台湾人の職場が奪われること、食品、生活用品、新聞、金融、医療など1000業種以上の中国企業流入で、生活の安全や健康が脅かされる懸念があった。

 周知の通り、この協定は14年3月の学生たちによる立法院本会議場占拠事件、いわゆる「ひまわり学生運動(太陽花学運)」によって頓挫した。しかし習近平政権は諦めず、2期目には中台交渉による合意が不要な一方的措置を採ることにしたのである。

 「恵台31条」には、「中国製造2025」に参画する台湾企業を税金や投資などで優遇すること、一定のハイテク企業に15%の軽減税率を適用すること、台湾企業がエネルギー、交通など公共工事等のインフラ建設や政府の入札に参加できること、台湾人学生が政府の各種奨学金を受けられること、などが含まれている。さらに大陸の映画配信機構、ラジオ・テレビ局などは、台湾で制作された映画、テレビドラマを数量制限なしに導入できるという、前回よりバージョンアップした内容だ。

 しかし、習近平政権は同時に、団体観光客の台湾への渡航証発行を大幅に制限するという「害台」政策も実施している。台湾を訪問する大陸観光客は、馬政権下の15年に412万人余を記録した。しかし、「1992年コンセンサス」を認めない蔡英文政権に圧力を掛けるため、中国は台湾行き渡航者数を、2016年には351万人、昨年は273万2549人へと、2で140万人も削減させた。今年は、100万人を切るとも言われている。いくら東南アジア、日本、韓国からの渡航者増でその影響は緩和されると言っても、100万人単位の減少が続けば、経済、特に観光業に悪影響がないはずがない。要は、習近平政権に「恵台」の意図がないことは明らかである。

 第2期習近平政権の、この強引なやり方に対して。台湾の行政院長・頼清?は不快感を表し、去る3月13日、この政策が対台湾統一戦線工作の一環であることを明示するため、政府の各機関は「恵台」ではなく「対台」と呼ぶよう指示したことを明らかにした。

 ところで、台湾は民主的で自由な社会となって30年経っている。顔認識のできる監視カメラが1億7千万台以上設置され、インターネット空間も共産党支配下にある中国に、台湾の人々が本気で引き付けられる状況にはない。

 例えば、馬英九政権2期目が始まった12年、中国へ渡航した台湾人は約314万人で、日本への渡航者約156万人のほぼ2倍であった。それが3年後の15年には対日渡航者数が激増して対中渡航者数を上回り、17年には、対中渡航者393万人に対して、対日渡航者はおよそ462万人に増大して、その差を拡大した。つまり、政府統制無しの自由な台湾人たちは、その渡航先として、経済発展が著しく言葉が通じる中国大陸より、経済が停滞気味で、言葉が通じなくても、自由で居心地の良い日本が好きなのである。

 習近平の中国は、内国民待遇で台湾の人びとの気持ちを引き付け、台湾の「国内化」を既成事実にし、合わせて台湾の人材を吸収しようとしている。しかしそもそも、中国の「内国民」は、共産党の軛(くびき)の下で、ジョージ・オーウェルの『1984年』のような社会に暮らしている。さらに、中国共産党は昨年8月、大企業およそ3200社に対して「(共産)党組織を設置し、経営判断は組織の見解を優先する」という項目を年末までに定款に盛り込むよう要求した。こうした政府による経営介入強化措置は、台湾企業にも当然に及ぶだろう。

 いずれにしても、習近平共産党の一党独裁下で社会生活全般の管理強化が進む中国は、自由と民主の台湾の企業や人々が、甘言に乗せられてうっかり出て行きたくなる世界でないことは、旬日を経ずして明らかになるだろう。

 中国の「台湾吸収策」は、結局のところ、失敗に終わるしかないのである。


【日本李登輝友の会:取扱い本・DVDなど】 内容紹介 ⇒ http://www.ritouki.jp/

*ご案内の詳細は本会ホームページをご覧ください。

● 渡辺利夫著『決定版・脱亜論』お申し込み
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/uzypfmwvv2px
 *詳細は本会HP ⇒ http://www.ritouki.jp/index.php/info/20180222/

● 映画『台湾萬歳』DVD お申し込み
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za
 *詳細は本会HP ⇒ http://www.ritouki.jp/index.php/info/20180222-01/

● 映画『海の彼方』DVD お申し込み
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za
 *詳細は本会HP ⇒ http://www.ritouki.jp/index.php/info/20180222-02/

● 台湾フルーツビール・台湾ビールお申し込みフォーム
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/rfdavoadkuze

*台湾ビール(缶)は在庫が少なく、お申し込みの受付は卸元に在庫を確認してからご連絡しますの
 で、お振り込みは確認後にお願いします。【2016年12月8日】

● 美味しい台湾産食品お申し込みフォーム【常時受付】
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex

*沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、宅配便の都合により、恐縮ですが1件につき
 1,000円(税込)を別途ご負担いただきます。【2014年11月14日】

*パイナップルケーキとマンゴーケーキを同一先へ一緒にお届けの場合、送料は10箱まで600円。

・奇美食品の「マンゴーケーキ(芒果酥)」2,900円+送料600円(共に税込、常温便)
 [同一先へお届けの場合、10箱まで600円]

・奇美食品の「パイナップルケーキ(鳳梨酥)」2,900円+送料600円(共に税込、常温便)
 [同一先へお届けの場合、10箱まで600円]

・最高級珍味「台湾産天然カラスミ」4,160円+送料700円(共に税込、冷蔵便)
 [同一先へお届けの場合、10枚まで700円]

● 書籍お申し込みフォーム
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/uzypfmwvv2px

・渡辺利夫著『決定版・脱亜論─今こそ明治維新のリアリズムに学べ』*new
・呉密察(國史館館長)監修『台湾史小事典』(第三版)
・李登輝・浜田宏一著『日台IoT同盟』 *在庫僅少
・王育徳著『台湾─苦悶するその歴史』(英訳版) *在庫僅少
・浅野和生編著『1895-1945 日本統治下の台湾
・王明理著『詩集・故郷のひまわり』
・李登輝著『李登輝より日本へ 贈る言葉』 *在庫僅少
・宗像隆幸・趙天徳編訳『台湾独立建国運動の指導者 黄昭堂
・林建良著『中国ガン─台湾人医師の処方箋』 *在庫僅少
・盧千恵著『フォルモサ便り』(日文・漢文併載)
・黄文雄著『哲人政治家 李登輝の原点
・李筱峰著・蕭錦文訳『二二八事件の真相』

● 台湾・友愛グループ『友愛』お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/hevw09gfk1vr

*第1号〜第15号(最新刊)まですべてそろいました。【2017年6月8日】

● 映画DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za

・『海の彼方』*new
・『台湾萬歳』*new
・『湾生回家』
・『KANO 1931海の向こうの甲子園
・『台湾アイデンティティー
・『台湾アイデンティティー』+『台湾人生』ツインパック
・『セデック・バレ』(豪華版)
・『セデック・バレ』(通常版)
・『海角七号 君想う、国境の南
・『台湾人生
・『跳舞時代』 *現在「在庫切れ」(2017年8月31日)
・『父の初七日』*現在「在庫切れ」(2018年3月20日)

● 講演会DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/fmj997u85wa3

・2014年 李登輝元総統ご来日(2014年9月19日〜25日)
・片倉佳史先生講演録「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」(2013年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)


◆日本李登輝友の会「入会のご案内」

・入会案内:http://www.ritouki.jp/index.php/guidance/
・入会申し込みフォーム:https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/4pew5sg3br46


◆メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会の活動情報
とともに配信する、日本李登輝友の会の公式メルマガ。

●発 行:
日本李登輝友の会(渡辺利夫会長)
〒113-0033 東京都文京区本郷2-36-9 西ビル2A
TEL:03-3868-2111 FAX:03-3868-2101
E-mail:info@ritouki.jp
ホームページ:http://www.ritouki.jp/
Facebook:http://goo.gl/qQUX1
 Twitter:https://twitter.com/jritouki

●事務局:
午前10時〜午後6時(土・日・祝日は休み)

●振込先:

銀行口座
みずほ銀行 本郷支店 普通 2750564
日本李登輝友の会 事務局長 柚原正敬
(ニホンリトウキトモノカイ ジムキョクチョウ ユハラマサタカ)

郵便振替口座
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)
口座番号:00110−4−609117

郵便貯金口座
記号−番号:10180−95214171
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)

ゆうちょ銀行
加入者名:日本李登輝友の会 (ニホンリトウキトモノカイ)
店名:〇一八 店番:018 普通預金:9521417
*他の銀行やインターネットからのお振り込みもできます。


ランキングに参加しています。
↓一日一クリックの応援お願いします。
にほんブログ村 ニュースブログ 海外ニュースへ

カテゴリー: 日台共栄 タグ: , , , , , , , , , , , , , , , ,