日本李登輝友の会愛知県支部・岐阜県支部共催 秋季講演会
講師:安倍晋三元内閣総理大臣
「国家主権の確立と東アジアの安定」
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Q:日本の大儀は自由と民主主義これを高らかにし、ノーベル平和賞受賞者を刑務所にぶち込んでいるのはおかしいではないか!と言って欲しい。

A:安倍政権は価値観外交を掲げた。自由と民主主義、基本的人権と法の支配を守ってきた。
 日中首脳会談でもそれを言ったが、ある新聞ではそれは相手が嫌がることだからいけないといった。それは、朝日新聞だが、それが出来ていないからあえて言った面もある。台湾も自由と民主主義、基本的人権を守っておりそれが大きな力となっている。

Q:これからの話。例えば台湾の独立、中国の民主化。これらの道筋をつけるためには、どうして行けばよいでしょうか?

A:理想と現実はありますね。理想は先ほど言ったとおりですが、実際にはそうは行きません。
 中国は共産党一党独裁でありながら市場経済を導入し、大成功を収めている。経済や軍事力は20年前と様変わりをしている。リーマンショック以来、世界経済が彼らに頼っている。米国債も日本を上回った。だから、そう簡単なことではないと考えたほうが良い。また、彼らは軍事力を行使することに躊躇しないかもしれない。そう思わせている、これはもの凄く強い!だから台湾は独立する前に併呑する政治指針が、あると考えて良いと思う。 台頭する中国に対抗するには、日米同盟の構築。集団的自衛権を可能にする。日米同盟といっても政治的駆け引きはあるが、、出来ないことは出来ないといえる、対等な立場に持っていくことが必要。同盟上の義務を負うとは違う。勘違いする人がいるが、集団的自衛権を「行使できる」と考えるべきである。常に行使しないといけないという意味ではない。NATOは行使の義務を負うが、実際に行使されたのはアフガン戦争のときのみ。実際には、日米同盟でアメリカが日本に「助けてくれ」ということは、まず、ないだろうが、それが「出来る」と変えていかなければならない。
 アーミテージ長官がこうも言った。日本の艦隊と米国の艦隊が尖閣を巡回しているときに、米国艦隊が中国から攻撃を受けた場合、助けてくれますか?」と、これが今では出来ない。そして、先に答えを言ってきた。「その瞬間、日米同盟は、壊れますよ」と、当たり前のことです。
 恐らくは、海の男達。そのような状況になれば助けるでしょうが、超法規的な判断を彼らに迫るというのは、政治家の怠慢である。だから現実的には難しいところが多い。

Q:大々的に台湾の独立を日本が支援することは出来ないのでしょうか?
A:それは難しい。今は、徐々に台湾の立場を強化していくということにするべき。もし日本が、それを宣言したら台湾自体が大混乱になる。宣言してその段階で中国が武力行使しても日本は何も出来ない。それは無責任である。アメリカは台湾を守る義務があるが、日本はない、何も出来ない。今の状況の中でそのような冒険的なことはできない。現状を維持する。彼らに「武力行使して台湾を併合することは出来ませんよ」ということを明らかにしておく方が大事である。
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