日本李登輝友の会愛知県支部・岐阜県支部共催 秋季講演会
講師:安倍晋三元内閣総理大臣
「国家主権の確立と東アジアの安定」
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プロフィール
昭和29年 生まれ
昭和55年 成蹊大学法学部政治学科卒業
平成 5年 衆議院議員初当選
平成12〜14年 内閣官房副長官
平成15年 自由民主党幹事長
平成16年 自由民主党幹事長代理・党改革推進本部長
平成17年 内閣官房長官
平成18年 第90代内閣総理大臣
大きな話と小さな話しが一体化している
 本来、総理経験者は、あまり出てきてワーワーと言うべきではないが、今の政治はあまりにも酷すぎる。理屈に合わない。日本の領海を侵犯し海上保安庁の巡視船に体当たりした船長を無罪放免にしてしまった。それを撮ったビデオテープを日本の正しさを示すテープを流した職員を皆で捕まえる。「道理に合わない」と自分のブログにも書いたが、「総理経験者のあなたが国家公務員法に照らしておかしいではないか」言ってくる人がいた。
 大きな話と小さな話しが一体化している。 国家の安全は大きな話。政治が全力を尽くすべきこと。機密かどうか分らないようなものを流したことに「それは、しないほうが良いでしょうね」というくらいは、言論人、或は政治家は、言うくらいのことはある。しかし、あえて私は言わない。「領海侵犯」をした船長、「やはりおかしい」とビデオを流した職員、どちらが「愛国者」であるか。明らかではありませんか!
 胡錦濤主席に屈して頼み込んでビデオテープを出さず釈放してしまった。これが愛国者でしょうか。日本の領土・領海、国民の生命を守る責任を負う者が誰であるか。那覇地検のおじさんにそれがあるのか?違いますよね、内閣総理大臣が最高責任者です。沢山の重い責任があります。
 仙石さんが、変なことを言っていました。「政治職と執行職は責任の重さが違う」 エ〜!!、驚くでしょう、皆さん!政治職の方が軽いんですか?!それが政治指導なんですか?責任が重いからこそいうことを聞く、海上保安庁の諸君は命懸けの行動をしている。その責任者は、国土交通大臣。強制行動の決断は、大変な作業である。
 自衛隊を動かす。自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣。菅さんはそれを知らなかったようだが、大きな決断は、全て、大臣そして総理大臣に判断を仰ぐのが「シビリアンコントロール」。それは、コントロールしている側の大臣に責任がある。当たり前のこと。こんなことが分っていない、恐ろしいことである。自分の命令次第で、人が死ぬ、あるいは殺す、このような判断が必要。
 私自身、皆さんに迷惑を掛けたが、これだけの重要な判断をするにあたり健康がどうであるか自問自答をした。
 政治職は責任が軽い(仙石発言を用いて)ですから、権限は重く責任は軽い、これでは道理が通らない。保守とかリベラルということではない。道理が通らないことを民主党政権がやろうとしていることに非常に危機感がある。
 もう、国家としての体を為していない。そんな状況になってきた。
李登輝元総統は、素晴しい日本の「資産」
 先般、台湾を訪問し李登輝元総統とお会いしてきた。自民党青年団のときに初めてお会いしたことがあるが、とにかく素晴しい指導者。そして日本語を話し、日本を愛してくれている。これは、日本にとっても「資産」であるのだが、生かそうとしない。
李登輝さんは、尖閣の問題について「ちゃんと勉強していけば、領有権が日本にあることは誰にでも分る」と言われた。「そのことを外に話しても良いですか」と尋ねたら「結構ですよ安倍さん」と言われたので記者に言ったが、報道されない。よくある話しだ。
 台湾は選挙中、緊張化にある。羽田―松山(台北)線就航で現政権に招かれたが、李登輝元総統と会うことを辞めて欲しいと、直前に強い申し出があった。理由は、地方選挙中につき、影響が大きいからというもの。そこで外交部へ、「会いたい人と合わせないようにするのは北京政府と同じであり、後で分るとかえって問題になる」と述べたところ、了承を得た。訪台中は、馬英九総統や民進党の蔡さんともお会いしているが、新聞に取り上げられるのは、李登輝さんとの報道ばかりで、今なお、李登輝さんの存在の大きさを感じた次第であった。馬さんは、「反日」と思われることを気にしており「八田與一記念公園」が出来たら、是非とも多くに日本人に来て欲しいと言われていた。
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