日本李登輝友の会愛知県支部・岐阜県支部共催 秋季講演会
講師:安倍晋三元内閣総理大臣
「国家主権の確立と東アジアの安定」
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 与那国島へ自衛隊を置こうという方向性が麻生政権の時に定まったが、その後、鳩山政権で覆した。わが党が質問したら北澤防衛大臣は、「中国をそう嫌がるな、やらない」という態度。同じ時期に中国は、大軍事演習をやった。何故、これほどの軍事演習を行うのかと問うたところ司令官は「近隣国に脅威を与えるため」と答えた。はっきりしているじゃないですか。 管政権が誕生したが、そこで管談話。これは、韓国に向けたものであるが、「鳩山と同じだなあ」と彼らは思ったわけである。与那国を国を防衛することよりも自分達の機嫌をとろうとすること思ったであろう。
 そうするとあの船長を逮捕したことに彼らは驚いたであろう。しかし、自分達が厳しく言えば、折れるだろうと確信した。あのレアアースにしても、そのまま続けば世界中から提訴される。つまりあれは脅しである。脅せば日本は聞くという「確信」であったと言っていいと思う。

会ってやらない・会ってください
 仙石さんは記者会見で国民に向かって「偏狭なナショナリズムはいけません。冷静になりましょう」といった。誰かを殴っていたとします。殴られている方が自分自身に向かって「冷静に冷静に」と言っていれば、安心して殴る。これが、「今度殴ったら容赦しないぞ」と言えば、殴るかどうか考えるでしょう。仙石さんが“あれ”を言ったことにより、どんどん制裁を厳しくした。彼らは「日本は感情的にいからないからこれは大丈夫だな。計算通りに行く」とやってきたと思う。中国に如何に対応していくかが問われるが、昨日の管首相と胡錦濤主席の22分会談。菅さんは紙を持ち、胡錦濤さんは頭越しで山のようにしている。
 まるで反省文を読まされているようであり、あんなのを写させてはいけない。世界中が観ているひとつのショーなんです。自民党時代の首相で重要な会議で紙を見せおぼつかないような者はいませんよ。あそこで紙見ている菅さんと轟然としている胡錦濤の姿。それ以前から勝負は始まっている。「会う、会わない」中国がよく使う。「お前とは会ってやらない」と言えば、言われた相手はすかさず「会ってください」という。すると「会って欲しいなら、まさかこんなことは言わないだろうね」「まさかビデオを公開するんじゃないでしょうね。船長は釈放しろよ。だったらAPECに行ってやってもいいぞ」と、私は思う。大国同士で「会う・会わない」は外交にはあまり使わない。しかし、今、「会ってください」「会ってやる」という関係になってしまっている。小泉首相が靖国神社参拝をするなら、会談はしない、と中国が言った。小泉首相は「ああそうですか」で終わった。これでよいわけです。 「中国は来ない。しょうがないですね、その際、台湾から連戦さんに来ていただいてアメリカを交え、中国について語りましょうか。そこの記者、このことは言っては駄目だよ」といっておけば、中国は必ず来るものです。
 「会ってください」で譲歩となる。大体、デートを申し込んだ方が、その日の夕食をご馳走するんです。
 安倍政権のときにハイリゲンダム・サミットがあった。その時にアウトGとして中国がやって来ていた。そこで首脳会談をしましょうと言ったところ胡錦濤主席は「李登輝総統が来ることに首脳会談をする空気ではない」ということで外務省が「李登輝さんの訪日日程を変えましょうか」と相談にきたが、そのままで良い。恋人に会おうとしているのではなく、仕事で会おうとしていることに相手が会わないなら仕方がないでしょう。そしたら、こう言って来た「会わないと言っているのではありません。ただ、李登輝さんが日本で講演会をする。マスコミが騒ぐ。これを何とかできないか」と言ってきた。外務省は、例によって李登輝さんへの調整は可能と言ってきたが、中国の方々には理解できないようだが、日本には言論の自由があります。この言論の自由に国家権力が介入するものではない。「こちらから申し出たことではありますが、またの機会にお目にかかりましょう」と述べたところ、向うは「是非、お目にかかりましょう」と言って来た。(場内、大爆笑と拍手)
 現地時間の朝、日中首脳会談をする数時間前に李登輝さんが靖国神社へ参拝した。(再び、場内大爆笑)外務省は慌てたが、私は「立派なことではないか」と言った。しかし、皆さん、何も起こりませんでした。彼らは、何も言ってこなかった。そういったチャレンジしても「無駄だな」と分ればやらない。ダメもとでも何かを要求しようとする。日本は悉く膝を屈してきた。それがやはり、間違っていたと思う。そして今、膝を屈しているのが民主党政権。しかし、今や「会う・会わない」ではなく領土・領海が危うくなってきた。

日米同盟を破壊
日米同盟をこれだけズタズタにしてしまった。インド洋での給油活動も止めてしまった。給油活動は感謝されたが、あの給油活動には、隠された目的がある。給油部隊と一緒にイージス艦も置いている。イージス艦艦隊をインド洋で展開する国際的権利を私たちは得た。あそこに日本の船が通って行く。
 それを守るためにイージス艦だけ展開していたら「日本は何しているんだ」となるが、世界から「やってくれ」と言われれば、そこにイージス艦が置ける。イージス艦の電波は地平線を越える。広大な海洋の情報を得られ解析し、日本にも送れる。広大な海域の情報を日本が持ち、アメリカがその「情報を下さい」といわれる立場に日本はあった。こんな凄い立場になることは、滅多に無い。それを易々と手放してしまい、代わりに4.000億円をアフガンへ支援した。毎年度が1.000億円だったのが、4.000億となり、しかも全く感謝されていない。当たり前です。カネは出す、人は引く、ですから。
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