中国の日台分断と台湾「沖ノ鳥島」騒動

中国の日台分断と台湾「沖ノ鳥島」騒動

ブログ「台湾は日本の生命線」より。ブログでは関連写真も↓
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■台湾の中華民族主義者が惹起した沖ノ鳥島騒動

海保による沖ノ鳥島周辺のEEZ内での台湾漁船拿捕事件を機に、台湾では国民党の馬英九政権が同島はEEZを設定できない「島」だと言い出し、漢名の「沖之鳥島」を「沖之鳥礁」と改称まで行った。そしてさらには対日示威のために軍艦を派遣する始末。まさに敵意剥き出しの大騒ぎだ。

日本には友好的という日本人一般が抱く台湾人の印象とはまったくかけ離れた一連の反日行動は、要するに中国人主導の同政権の中華民族主義の発露なのだろう。

同政権は尖閣諸島を巡っても「中国領土だ」(「中国」とは中華民国のことらしい)として反日騒動を繰り返したが、「岩」にしても「中国領」にしても、それらの主張は中国のそれと符合している。

■中国の反日宣伝と歩調を合わせる馬英九総統

日本政府は尖閣諸島に関し、「無主の地だったものを領土に編入した」との事実を説明するが、それに対し中国は、何の根拠もなく「中国が管轄していた。無主の地ではなかった」と言い張る。

また中国は沖ノ鳥島について、国連海洋法条約の「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない」との規定を盾に、同島を「岩だ」と強調し、その過程で案出したのが「沖之鳥礁」なる名称だったする。

だが同条約にはその一方で「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう」とし、同党はその「島」に該当しているのだ。

日本政府はその事実を主張し、そして国連大陸棚限界委員会もそのような認識で、同島起点の大陸棚を認めたわけだが、中国はそうしたものに一切耳を傾けようとしない。あの国にとり「事実」か否かではなく、自国に有利か否かが重要なのだ。

そして馬英九政権は、その中国と歩調を合わせるのである。

■中国が狙うのは東支那海、西太平洋、そして台湾

中国がこうした主張を繰り広げる目的は、海洋膨張、すなわち尖閣が浮かぶ東支那海、沖ノ鳥島を中心に据える西太平洋を制覇し、アジア太平洋地域で覇権を確立することにあるであるが、そこにおいてもう一つ、中国が重要な標的とするのが第一列島線上の戦略的要衝である台湾だ。中国はこれを奪うために東支那海、西太平洋を狙っているとも言えるし、それらを狙うが故に台湾を取ろうとしているかにも見える。

いずれにせよそうした侵略姿勢で軍備拡張に余念がない訳である。

そしてその中国と歩調を合わせるのが、台湾総統たる馬英九なのである。

日本人なら「まさかそんな売国はしまい」と疑うだろうが、しかしそれは日本人の感覚に過ぎない。

■日本人には想像できない在台中国人の売国心理

つまり中国出身の中国人である彼は、中国人(国民党)が台湾を支配すべきだと望み、台湾人人勢力が台頭するなら、「中華民族主義」で中共と手を組む(聯共制台)のを辞さないという構えなのである。

その台湾人勢力が日米同盟を後ろ盾に中国と対抗するというなら、当然中国は台湾と日米度の分断を望み、馬英九もそれに従おうとするのだろう。

今回の沖ノ鳥島を巡る反日の狙いは間もなく発足する日本重視の民進党政権を重視するためとの指摘は日本でも聞かれるが、要するにそういうことなのである。

馬英九が総統就任直後に尖閣問題で騒いだのは中国への忠誠心の表明に見えたが、退任直前の今日の沖ノ鳥島騒動も、今後も中国とは共闘を継続するとのアピールではないか。

■反台湾宣伝で日本人を騙すのは難しくない

尖閣、沖ノ鳥島に関する馬英九政権の反日宣伝には台湾の中国人主導の多くのメディアも呼応するため、台湾人はそれに騙されつづけ、民進党の政治家ですら多くがそうしたものに惑わされている。

もっともそれで台湾人の「反中親日」傾向が直ちにどうなるということはないが、しかしそうした反日政策が日本の「親台」感情に影響を及ぼすことが心配だ。

中国にとり第一列島線内部の結束を固める台湾の「親日」感情と日本の「親台」感情は一大脅威であり、日台離間は大きな戦略的課題となっているが、そうした分断工作は台湾からも及んでくるわけだ。

「親日と思っていた台湾には裏切られた」「台湾人も所詮は中国人だったのだ」とのショックを与えれば日本人は意外と簡単に台湾嫌いに陥ることは、馬英九の尖閣騒動の時(高金素梅の靖国神社騒動の時もそうだが)に実証済みである。

■日本の政府、国民こそが中国の宣伝に惑わされてきた

ところ日本人の多くは気にもしないが、中国の宣伝に踊らされたり加担したりするのは台湾だけでなく、日本も同じだ。

たとえば「台湾中国領土の一部」との中国の台湾併呑に正当性を与えるための虚構宣伝に日本人はすっかり騙され、あるいは騙されたふりをしている。政府はそうした宣伝に対し、「中国の立場を理解し尊重する」「台湾の帰属先については発言しない立場」などと言って反論もせず、マスメディアも否定しないばかりか、逆にそれを受け入れてしまっている。したがって国民もそれに惑わされるばかりなのだ。

確かに国民の多くは台中は別々の国であることは知っているが、しかし「台湾は中国の一部」
との印象を本当に拭い去っているだろうか。しばしばメディアは台中について「台湾と中国本土」などと表現するが、これに違和感すら抱けない者がいかに多いことか。

■日本人がしっかりすれば第一列島線は団結強化へ

だから台湾の「反日」を目撃すると、「やはり台湾も中国の一部だ」と反撥したくなるのだろう。

日本にとって台湾にとっても危険なのが中国の宣伝だ。しかしそれに気付かず、いつまでも尖閣諸島を中国領とし沖ノ鳥島を岩礁と信じ込む台湾人には焦込みを禁じ得ないが、しかしそれと同様に台湾を中国領と刷り込まれ続ける日本人に対し、私は苛立ち続けて久しいものがある。

もし日本が今後、こうした現状の危うさに気が付き、官民を挙げて「台湾は台湾人の国。中国とは関係ない」と主張するようになれば、台湾人の日本に対する信頼感はさらに高まり、おかしな反日宣伝にも惑わされず、第一列島線の団結はさらにいっそう強固なものとなって行くだろう。

そう考えるのが普通ではないか。


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