【阿比留瑠比の極言御免】国民はアパホテルに声援

【阿比留瑠比の極言御免】国民はアパホテルに声援、日本は変わった もはや中国の不当な干渉を許さない

       2017.1.26 産経新聞より

アパホテルと「本当の日本の歴史 理論 近現代史学」

 アパグループのホテル客室に、「南京大虐殺」や「慰安婦の強制連行」を否定する書籍が置かれていることに対する中国の反応が常軌を逸している。日本の一民間企業代表の歴史認識が気に入らないからといって、国家ぐるみで国内企業や日本観光客に、アパホテルの利用ボイコットを呼びかけるその姿は、共産党の一党支配下にある国の異様さを改めて見せつけた。

■1万数千件の激励

 ただ、中国の報復措置を受けたアパホテル側の反応は堂々としたものだった。元谷外志雄代表は24日の会合でこう指摘し、書籍を撤去しない方針を示した。

 「向こうが押せば引くと、70年間にわたって日本は『押せば引く国』『文句言えば金を出す国』ということで敗戦国の悲哀を味わっていたが、もう『本当はどうなのか』ということを向こう(中国)にも知ってもらう必要がある」

 日本社会は変わりつつある。以前は中国や韓国に歴史問題を持ち出されると、ことの真偽にかかわらずひたすら頭を低くして波風立てずにやり過ごそうとばかりしてきた。だが、今回は政府も「民間企業の個別の対応について政府として立ち入るべきではない」(萩生田光一官房副長官)とアパホテル側に圧力をかけたり自制を促したりはしない。

 また、元谷氏によるとアパホテルには1万数千件の激励や称賛のメールや電話があったという。国民意識はもはや中国の不当な干渉を許容しない。

■科学的な検証必要

 この問題をめぐっては、名古屋市の河村たかし市長も23日の記者会見でこう語っている。

 「いわゆる南京事件はなかったのではないか。(中国が主張するように)市民を30万人虐殺したことが本当だったら南京に行って土下座しなければならない。しないのだったら反論しなければ。議論が必要だ」

 この問題に関する政府見解は、被害者の人数は諸説あるとしつつ、「非戦闘員の殺害または略奪行為などがあったことは否定できない」というものだ。だが、今や本当に30万人もが虐殺されたと信じる日本人はほとんどいないだろう。

 10年以上前の平成18年に、民主党(現民進党)衆院議員時代の河村氏から、南京事件について意見を聴いたことがある。陸軍伍長として中国戦線にいた河村氏の父、●(=金へんに心)男氏は終戦翌日の昭和20年8月16日に南京市に入り、翌21年1月まで郊外の寺で暮らしたが、現地で大変手厚く遇された。

 この時の感謝を込めて、戦後50年の際には戦友たちと寄付金を募り、南京市に1千本の桜を贈ったとのことである。

 そして平成18年に●(=金へんに心)男氏の戦友らとともに南京を訪問した河村氏は、南京市幹部らと会食した際にこう問いかけた。

 「本当に日本がそんな虐殺行為をしていたのなら、(南京事件の)そのたった8年後に南京に入った父たちが、そんなに温かいもてなしを受けたのか」

 すると、幹部らは押し黙って何も答えなかったという。河村氏は当時、筆者にこう話していた。

 「南京事件について科学的事実を検証しなければいけない。政府は数億円かけてでもやるべきだ」

 この言葉は現在でも傾聴に値する。この頃の民主党には、まだ党としての多様性や可能性を感じさせる所属議員らがいた。だが、日本社会が変わり、正常化しつつある中で、民進党は逆に偏狭となり、旧社会党に先祖返りしてきたように思えるのが残念である。

(論説委員兼政治部編集委員)


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