第174回 衆議院 外務委員会 平成二十二年五月十九日(水曜日)
国会会議録検索システムより
○中津川博郷委員
中学校の社会科教科書、地図帳の台湾表記について、
きょう皆さん方に資料をカラーのでお渡ししていると思うんで
すが、中学校の社会科で使用している地図帳の中身につ
いては、この件については、同僚の笠浩史衆議院議員、
これは小泉内閣時代、平成十七年十月三十一日に質問主
意書で出しているんですね。この中で、台湾の東側、太平
洋側に国境線を引いて、台湾を中国領と表記している。
これは文科省、御存じですね。ちょっとお願いします。
○中川正春文部科学副大臣 はい、認識をしております。
○中津川委員 これは歴史をひもときますと、一九七二年、
田中総理、大平外相のときでしたか、日中共同声明という
のがありまして、我々台湾問題をやっている者には、この
第三項というのは有名なわけであります。これには、「台
湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを
重ねて表明する。」と書いてある。続けて、ここが大事で
す、「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を
十分理解し、尊重」する。「理解し、尊重」するとしてい
るんですね。つまり、台湾を中国の領土だと承認していると
は言っていないんですよ。
これは当時、やはり考えたんだなと。今こうやって、何年
かたって議論できる、この見事な表現、見事な日本国の立
場。その間の歴史、きょうは中台関係については私は申し
上げませんけれども、理解し、尊重して、認めていないん
ですよ。
そこで、日本政府、日本がまるで台湾を中国の領土であ
ることを受け入れているかのような対応、印象を与えるんで
すね、地図を見ると。地図が二つありますね。帝国書院発
行の「中学校社会科地図」と、東京書籍発行の「新しい
社会科地図」、これは台湾は中国の領土と、だれが見て
もこう書いてあります。
こういうことを、さっき私は、日本の領土意識をしっかりと
国民に植えつけるのは、小学校からの教育が大事だと言っ
た。小学校、中学校でこんな地図を見たら、台湾というの
は中国のものだと思われるわけであります。
これは文科副大臣に聞くのが適当かどうかわかりません
が、武正外務副大臣もおりますので、ちょっと一言ずつお
答えください。
○武正副大臣 中津川委員御指摘のとおり、日中共同声
明の第三項、先ほど引用をいただいたわけでありまして、
台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの
中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重している
が、これを承認するとの立場ではないということであります。
サンフランシスコ平和条約に基づき、台湾に対するすべ
ての権利等を放棄しているので、日中共同声明第三項に
おいて中国側が表明しているような台湾の法的地位に関し
て何らかの認定を行う立場にはないわけでありまして、今
御指摘の教科用図書は、台湾に関する以上の我が国の政
府の立場とも合致する検定基準に照らし、教科書検定審
議会により教科用図書として適切であると判断されたもの
と承知しておりまして、外務省としてお答えする立場にない
ということでございます。
○中津川委員 今の外務副大臣の発言を踏まえて、文科
の副大臣に質問したいんです。
そういうことだ、承認はしていないということであって、
きょう、ちゃんとこの正式な国会の委員会の場で武正副大
臣が堂々と発言をされたわけであります。そうなると、これ
はやはり誤解を与えちゃいますよ、副大臣。これは次から
検討してください。
一緒に検定の基準についてもお答え願いたいと思うんで
すが、これは検定基準があると思うんです。これは政府の
見解があると思うんですが、今、そういう答弁が出ました。
そういうことであるならば、これはちょっと文科省の方も、
こんな誤解を招くような、地図が中国のものだと思われるよ
うなことをこれから指導する、これからなくすというような前
向きな考えを述べてもらいたいんです。
○中川副大臣 お答えをしたいと思います。
文科省が独自の基準をつくってこうした地図を著している
ということではありませんで、これは国家として整合性を持
たせたような仕組みということになっております。
文科省としては、外国の国名の表記については、検討
基準の中で義務教育諸学校教科用図書検定基準というも
のをつくっています。この基準の中では、地名、人名それ
から地図等々の表記については、外国の国名の表記は原
則として、外務省編集協力の中の「世界の国一覧表」と
いうものがあるんですけれども、これによって表記をするこ
とというふうに決めております。
この外務省による「世界の国一覧表」においては、台
湾については「その他の主な地域」という分類にされてお
りまして、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共
和国の領土の不可分の一部であるとの立場を表明してお
り、日本国政府は、その立場を十分理解し尊重することを
明らかにしている」というふうに解説が付されています。
御指摘の教科書記述については、教科書発行者におい
てこの「世界の国一覧表」の記載を踏まえて教科用図書
を編集したものだというふうに考えておりまして、そうした
意味で、検定基準に照らしていっても、教科書検定審議
会の専門的な審議によってこれを適切であると判断された
ものというふうに理解をしているということであります。
○中津川委員 武正副大臣、今こうやって質疑をしており
まして、台湾問題、この間も私の質疑に前向きな考えを述
べて、良識派の武正さんでありますから、私の意図はよく
わかっていると思うんですが、台湾は、今、文科副大臣は、
その何とかというのにそういうことがあるから地域だとおっ
しゃっている。確かに、私が一期、二期のときにも、地域
と発言する大臣もいました。でも、国と言う大臣もいたんで
すよ。これはやはり主権国家であることは間違いないと私
は思いますよ。
だって、民主主義と自由と人権がこれだけ見事になって
いて、それで選挙をやっているんですよ。中国は選挙じゃ
ないですからね。選挙で選ばれて、政権交代を日本よりダ
イナミックにやって、経済力なんかは今、台湾の方があり
ますよ。
それで、台湾の人というのは気持ちがすごくいい。韓国
とか中国なんかは悪口を言うばかりじゃないですか。だけ
れども、日本が統治していたとき、台湾大学、東大と同じ
ものをつくってくれた、あるいは上下水道をやってくれた、
日本の官僚制度を取り入れてくれた、八田さんのダム、そ
ういうようなものもいまだに感謝しているんですね。だから、
今、日本人より日本人的なんですよ。あそこへ行くと僕は
すごくふるさとを感じて、ああ、本当に自分は日本人なん
だな、すばらしい人たちだなと。一生懸命、小さいけれど
も、いつ中国からとられるかもしれないと思って危機感を
持って生活しているんですよ。
それで、今の一連の答えでありますが、外国人登録証
も、私が最初、一期のときに質問したときは、台湾の人
は、国籍が中国で、台湾省になっているんですよ。そん
な何かフィクションのような状態だったんですね。それが今、
やはりこの登録証も、台湾人と中国人は違うんだというの
を、今度ちゃんと台湾になるような流れになっていますよ
ね、法務省で。
そういうことで、私は、台湾を、文化、経済交流、もち
ろん教育交流、歴史的なつながりはもちろんですけれども、
この外務委員会で取り上げるのは、安全保障上最も大事
なところなんですよ。あそこをみんな船が通ってくるんです
から、台湾海峡。あそこがもしとられちゃったら、日本に
入ってこられないんですよ。もっと台湾を大事にしなきゃだ
めだと思います。
台湾は、民進党から国民党にかわって、前は国民党で
すよね、一党しかなかった。それを、李登輝さんという立
派な方がいて、選挙をやって国民党が選ばれ、それから
民進党になって、今、国民党にかわりました。日本の国会
でも、台湾のそういうものもしっかりと理解していこうという、
もう中国派も台湾派もないんですよ。中国も大事なんだ、
台湾も大事だ、そういう考えでやはり外務省、そして文科
省もひとつ取り組んでもらいたいなと思うわけであります。
ですから、日本には正規の国交がないということで、議
員外交しかないんですよ。私は、もうしょっちゅう台湾に行っ
て、本当に町の中に入って、あるいは要人と会ったりして
やっているわけでありますが、日本・台湾安保経済研究会
というのを私がつくって、今、九十人近くなって、民主党の
議連に、大きくなりましたけれども。ですから、今、日本は
代表処という形で、大使館がないんですね。でも、我々は
大使と呼んで、前の民進党のときは、許世楷さんという大
変人格的にも立派な人でありました。現在は、馮寄台さん
という、この人もまた明るくて立派な人であります。
本当に一生懸命、議員外交をやっている、ここのところ
をぜひきょう両副大臣に御理解いただいて、台湾のあらゆ
る面での重要性をひとつ御理解していただきたい。そういう
ところで行政をやっていただきたい。
私、るる申し上げましたが、一言ずつ御意見を伺って終
わりたいというふうに思います。
○武正公一外務副大臣 中津川委員にお答えいたします。
台湾とのそうした議員交流にかける中津川委員の思い、
またそれを実際に行動に移されていること、今御披瀝をい
ただいたわけであります。
先ほど、我が国政府の立場についてはもう申し述べた
とおりであります。そうした中、今、安全保障上のいろい
ろな大事な視点ということで台湾海峡についても述べられ
たわけでありますが、委員のさまざまな強い思いというもの
も、しっかりとまた承らせていただいたところでございます。
○中川副大臣 難しい外交バランスの中で今の政府のス
タンスがあるわけですが、文科省として公式にお答えをす
るとすれば、先ほどのような答えになります。
しかし、個人的には、心情的に中津川委員と軌を一に
するところは大いにありまして、台湾を大事にしていくとい
うことについても、しっかり、私たちとしてもこれから先も持
ち続けていく心情だというふうに思っております。これは個
人的な見解として表明をさせていただきます。
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台湾の大手紙『自由時報』での報道(漢文):
日本の外務副大臣:日本は台湾が中国の一部だとは承認していない
http://www.libertytimes.com.tw/2010/new/may/20/today-p6.htm
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「 衆議院議員 中津川ひろさと を激励する集い 」のご案内
昨年の総選挙において三期目の当選を果たし、政権与党
の中堅議員として活躍中の中津川に、皆様より叱咤激励
をいただきたく、このたび
下記のとおり激励する集いを開催する運びとなりました。
ご多忙中とは存じますが万障お繰り合わせのうえ、ご参加
いただきますよう御願い申しあげます。
日 時 平成22年6月9日(水)
午後6時開場 午後6時30分開会
会 場 ホテルニューオータニ
( 鳳凰東中の間 )
東京都千代田区紀尾井町4−1
� 03−3265−1111
会 費 20、000円
口座名 中津川ひろさとを激励する集い
りそな銀行 衆議院支店
普通預金 1962671
中津川ひろさと東京事務所
〒133-0065
東京都江戸川区南篠崎1-22-2
電話:03-3678-1660
FAX:03-3678-0266
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