日本台湾医師連合 理事 王 紹英
とうとう、中国艦が海上自衛隊護衛艦に火器管制レーダーを照射した。戦争の発端にも成りかねない意図的な威嚇は明白な事実だが、「技術的なミス」と中国側は肩をくぐって片つけると予想できる。中国からの謝罪を期待するのは歴史の認知症と断言せざるを得ない。
自分の軍事力に自信過剰気味になり、領土の野心を隠そうとしない中国は、尖閣諸島の国有化で起こった反日暴動と同じく、何回も「想定外かつ偶発的」に威嚇行為が起こる。
ひょっとしたら日本人は台湾人と同じく歴史の教訓に疎いかも知れないと思うようになった。台湾人は中国人に散々と苛められてもなお中華崇拝の邪念は消えていない。日本人が反日暴挙に幾度も食わされても中華への片思いの空気がなんとなく社会に漂っている。病状の深刻さが違っても、両者ともは中国癌に侵されている。
わが国を含め、近隣諸国の領土への野心を収斂させるのは、決して宗教的な愛情でも異民族の兄弟の情でもない。チベットとウイグルに既に中国人には愛も情も通用しない事は証明ずみだった。これから日本式平和主義、友愛が活躍できるとは少々考えにくい。世界で一番中国歴史を愛読する日本人がなぜ中国人の深層意識を察知できないのでしょうか。中国人如何に近隣民族を苦しめてきた事実は悠久の中国歴史の中に棄てるほど多くある、にも係わらず読めなかったそうだ。
中国に一番理解しているのは、実は日本が一番苦手のロシアではないかと思う。ロシアは北方騎馬民族国家の後継者としてずっと中国を北から睨みを利かせた。かつての北方民族と同じ、愛でも情でも平和主義でもなく、然るべき武力で平和を維持してきた。
中国式の歴史に基づいた主権論争をそのまま北方騎馬民族の後継国家で考えると、愉快で仕方がない。要するに、中国の歴史主権論理を尊重すれば、支那大陸はロシアの不可欠の固有領土だという結論に導かれる。中国は二千年前から幾度もロシアの祖である北方民族に征服され、支配された。しかし、ロシアは現代文明法治国家に相応しく、そんなことを口に出さない。
ロシアは中国に優しい言葉をかけない。愛情も兄弟の情も持っていない。土下座外交も、媚びる朝貢外交も、援助交際的な外交もしない、二千年の付き合いも謳っていない。中国人の耳に入るのは優しい言葉ではなく、武力と威厳しかない事をロシア人は良く理解している。北方民族の知恵だ。
