【寄稿】尖閣の後はどこ

【寄稿】尖閣の後はどこ

王 紹英

今回の中国漁船の尖閣領海侵犯事件は誰かの目に映っても中国の完勝と言える。こんな早く尖閣を中国の領土かように黙認し、主権を放棄したかのような政治決定を下したのは意外だった。今回の事件はもちろん、中国の漁民が自発的、偶発的、技術的のミスによるものはあり得ないことは素人でも分かる。わたしは思わず中国人の深謀には再び脱帽したくなる。

これで日本の威信が完全に地に落ちた。アジアの国々の命綱はアメリカしか残っていないことになった。

しかし、早く中国の条件を飲まないと次々と「スパイ」で人質にされている日本人商社マンの死刑手数料請求書が家族のもとに送られる危惧もなくもなかった。とにかく、人命をあまり重く見ていないのがお国柄である。ひょっとしたらタリバンは彼らの足元にも及ばないと思うとこもある。相手はわれわれが考えている理性的な交渉は成り立たない思想の持ち主である。この決断を下し、主権を守らなかった政治家を責めてと可哀そうと思っている。大変苦渋な決断だったと思われる。

今回の事件には領土と主権を守るほかに幾つかの側面もあった。すなわち非中華文化対中華文化、民主対独裁、法治対人治、単純明快に言えば文明と野蛮の対決でした。残念ながら、今回は野蛮側に一本取られた。なお、台湾には既に実証済みであったのは、軟弱な文明人は常に野蛮に負けることだった。

台湾の経験をふまえて不謹慎ながら今後の展開を予測してみたい。すべての中国の闘争劇を同じ、展開と脚本に法則がある。

法則その一、軟土深掘。(柔らかい土には深く掘れ)
法則その二、得寸進尺。(一寸得たら一尺を得よう)

日本の完敗で尖閣事件はこれで幕が下がったと思うのは天真爛漫と言える。日本が上げた白旗は第一幕の花束に過ぎない。

早くも中国は日本に謝罪と賠償を要求してきた。誰から見ても傲慢不遜と理不尽だが、中国に理論武装させ、気勢を上げさせたのは日本の政治決着だった。しかし、謝罪要求は間奏曲にすぎない。

第二幕、第三幕はこうなるでしょう。

日本の「黙認」で中国がいよいよ大々的に尖閣列島は中国の領土と領海と世界に向けて「説明」する。

台湾にいる中国人、中国系台湾人を馬先卒、もしくは手を組んで再び尖閣を自国領土として領海に操業する。

中国は軍艦を出し、「台湾の漁民を保護」する。

日本の海上保安艦隊を尖閣領海から出るように警告する。

尖閣列島に人民解放軍を駐留し、五星旗を立てる。

沖縄近海に多数の漁船を操業する。「技術的なミス」、もしくは「偶発的」に日本の海上保安艦隊と衝突するか、沖縄の漁船と追突する。

沖縄領海を日本と共同管理するよう日本に要求する。

いずれも中国にいる日本人の人質作戦をとる。

ちなみに、沖縄は中国の教科書には中国の一属国としている。台湾と同じ、沖縄はわけのわからない「歴史的事実」に基づいて中華の一部とされている。沖縄の「主権の返還」を日本に突きつける日はそう遠くないと思われる。さらに、九州は秦の徐福が「発見」した未開の地であり、九州の「主権」は中国に有ると内心は思っている。

第二幕は必ず上演される。日本の政治家は用意できていると信じるしかない。ここで思わず浮かんできたのは、1996年の台湾海峡ミサイル危機、中国に向かって李登輝総統が罵った一言だった―「土匪国家だ。」今ももちろん十分通用する。


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