Andy Chang
台湾の滞在を終えてシンガポールに来ている。台湾ではパソコンの
不調や時間の調整などで記事を書く暇がなかった。ひまわり学運が
終わって今では第4原発の建設に反対が注目の的となっている。
サービス貿易協定も原発反対も台湾人には非常に大切なことだが、
一般台湾人は長期にわたるシナ人の洗脳のため国際観が希薄で中国
寄りの言論や、ストックホルムシンドロームで中国に好意的な意見
を述べる人が多い。つまり台湾人の間では意見の一致が見られない
のである。若者のほうが国際観もあり台湾アイデンティティもしっ
かりしている。
●台湾経済の中国依存
台湾経済は中国に大きく依存しているからサービス貿易協定は必要
で必然的に協定は可決されると述べた人が居た。彼らは台湾経済が
衰退した原因は台湾人の中国進出だった過去を忘れている。過去を
忘れたから将来に対する警戒心もない。
20年前、中国が経済開放を始めたとき、台湾の中華民国政府は中国
の安い工賃と大量の労働者を目当てに中国に進出し、台湾経済は発
展した。当時は台湾のGDPが13億ドルで中国は5億ドルだから台湾
は絶対優位に立っていると威張ったものだった。
ところが20年たって世界各国が中国に投資した結果、中国経済は大
きな進歩を遂げた。中国のGDPは世界一となり、台湾経済は中国に
頼り、中国のお情けにすがるような状態となった。台湾経済はまる
で中国が犬に餌を与えるようなものになった。
新しいサービス貿易協定は中国が台湾を統一する、「金と人の侵略」
である。江沢民時代は4000基のミサイル台湾に向けていたが、武力
侵略よりも経済侵略の方が安上がりでアメリカも反対できないこと
がわかったから、サービス貿易協定という不平等条約を結んで中国
の台湾侵略を容易にしたのである。それなのに識者を気取るバカ者
が中国経済に頼る台湾を歓迎し、中国人の移民も厭わないような言
論を吐いて人を惑わすから台湾人の意見は一致しない。
●同文同種のウソ
中国と台湾は同じ漢民族だ、同文同種だから統一すべきだという言
論は中国人の最も得意とするところで、台湾にも賛同するものがい
る。しかし実際はウソである。中国には58の違った民族、200の言
語がある。中国はチベットや東トルキスタンのように種族、言語、
宗教が違うところを侵略し暴政を敷いている。香港は98年に中国に
返還されたが今では香港人が中国に回帰したことを激しく後悔し、
台湾の独立建国を励ますようになっている。それでも一部の台湾の
識者学者は覚醒しない。中国人に洗脳され、奴隷化された台湾人ス
パイと中国人メディア宣伝のおかげである。
中小企業者のなかには、中国が台湾で競争しても怖くない、我々の
方が競争力があると威張る人がいるがこんなバカな話はない。戦う
なら相手の地盤で戦うべきで、自分の庭の台湾で中国人と競争する
ようなバカな意見を吐く奴には競争力がない。中国の与える餌を有
難がり、独裁統治の不公平な立場で競争すべきではない。
●サービス貿易協定は台湾の滅亡である
サービス貿易協定が発効すれば数年の間に中国資金が大量に台湾に
入り、土地不動産や企業は中国人の傘下に入る。不動産や企業を売
って金儲けをした者がウハウハ喜んでいる間に中国人がどんどん台
湾に入り込んで台湾経済は中国に同化され、台湾企業は中国企業と
連動し、すべてが中国化してしまう。中国が台湾の政治経済を握れ
ば台湾は統一され滅亡する。
私がこのことを指摘したとき、「台湾人は400年来、清朝、日本、そ
して中華民国に統治されてきた。たとえ共産中国が来たところで
我々が統治されることに違いはない。同じようなものだ」と得意げ
にしゃべった男がいた。君は祖先代々の奴隷で子孫代々も奴隷に甘
んじるつもりなのかと私は聞いたが、答えはなかった。
●アメリカと中国の覇権闘争
中国が台湾を攻略する目的は太洋に進出するためである。台湾を取
れば中国は台湾を足掛かりにして太平洋に進出し、アメリカの東亜
防衛線はグアム、ハワイまで後退する。ところが馬政権はサービス
貿易協定を経済合作だと主張する。だからヒマワリ学運が反対運動
を起したのである。若者たちの方が一般民衆、学者識者より中国の
侵略を熟知し警戒している。
私はサービス貿易協定とは中国の政治経済侵略だけではなく、世界
覇権の戦略だと述べた。台湾は東アジアの中央に位置し、太平洋に
向いている島である。中国が太平洋に進出するためには台湾が必要
で、尖閣諸島は台湾攻略の一端に過ぎない。
アメリカ中国の太平洋進出を防ぐなら台湾を失ってはならない。つ
まり、台湾問題はパックスアメリカーナとパックスシーナの砦の争
奪戦である。サービス貿易協定は中国の太平洋戦略の第一歩である。
この点を多くの台湾人は理解せず、サービス貿易協定を中国と台湾
の経済合作のように解釈するのは間違いである。
2014.4.27