宮崎正弘の国際ニュース・早読みより転載
日中首脳会談の機は熟したのか
中華字マスコミは「北京APECの首脳会談は時期尚早」と論評
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10月12日、自民党の高村副総裁は、「日中首脳会談の機は熟した」とし、十月の靖国神社例大祭に安倍首相の参拝はないとする観測気球をうち上げた。
またすでに安倍首相は谷内正太郎・安全保障局長を密かに北京へおくり、首脳会談実現を打診し、かつ中国側からの李小林が来日して安部首相と異例の長時間会談をもった。だから機は熟した?
すでに韓国の朴権惠大統領は森元首相の訪韓を受け入れ、日韓首脳会談に前向きとされるが、民間でも反日活動はいっこうに納まっていない。
北京は経済困窮、アジアにおける孤立と対米関係の頓挫などから日本との外交で得点を稼ぎたいところ、突破口をつくりたいと躍起であり、首脳会談をより強く望んでいるのは寧ろ北京であろう。
ところが北京周辺では依然として日中首脳会談の実現には多くの障害があるとして、反対論が渦巻いているようである。
第一に中国は尖閣諸島を巡る問題で日本側は妥協しないばかりか棚上げにも応じない姿勢を糾弾している。しかし日本の立場は尖閣は固有の日本領土であり、棚上げなどと領土問題が存在するかのような妥協はとれないと再三、中国に表明している。
第二に「日本側が」日中関係改善に唐突に変節したと逆に捉えており、そのうえで「前提条件はない」としていることへ不満を表明、結局のところ安倍首相は靖国神社参拝を繰り返した小泉首相と同じであり「第二の小泉」と非難して、河野談話見直しへの動きも批判している。
第三は安倍首相の言う「戦後レジームの克服」を中国は「日本は反省の色が足りない」と危険視していることだ。中国には相手を思いやるという発想がなく、自分の意見に従うか、従わないかだけでものごとを判断する劣性な性格がにじみ出てくる。
しかしこれら慎重論はいずれも根拠のない、強硬路線の繰り返しでしかなく、中国共産党首脳部の脳幹が腐っているか、フレキシビリティを失った結果である。