好田良弘 日本李登輝友の会会員
昨夜(7月29日)放映された「NEWS23」には、TBS報道局の偏向姿勢が顕
著に表れていた。89歳でなお矍鑠とされている、元従軍看護婦の方の足跡を紹介し
ていたが、本来の看護業務に伴う労苦ではなく、医官の指示により、助かる見込みの
無い負傷兵を安楽死させたことを強調していた。
そのことについて、ご本人から悔恨の発言を引き出そうと試みたが、与えられた任務
を遂行したと確信するご本人は、何ら悔いる様子を見せなかった。すると、再度、悔
恨の発言を引き出そうと誘導を試み、「私情を交えず任務を遂行した」との意味であ
る「何も考えなかった」との発言を、戦時下の異常な心理状態として強調した。
満州に派遣されていたこの方は、戦後、中国共産党に拘束され、国共内戦に従軍させ
られている。番組は、ご本人の証言を交え、その事実を紹介するだけで、外国人捕虜
を弾雨飛び交う戦地に投入した中国共産党の非道については、一言も言及しなかっ
た。
極め付けは、キャスターの岸井成格氏による締め括りの発言である。戦後8年間も中
国共産党に拘束され、昭和28年にようやく帰国されたこの方が、その後、一貫して
小規模の医療施設での看護業務に従事されたことを紹介し、「償いの気持ちではない
か」と総括した。一体、何に対する「償い」なのか。
画面で見るご本人の姿は、これまでの人生において、自分が置かれたそれぞれの状況
下で、最善を尽くした誇りに溢れていた。しかし、岸井氏の発言は、それを償うべき
過ちと決め付けており、思い上がりに満ちた非常に醜いものであった。
こうしたTBSの醜悪な報道姿勢は、岸井氏も出演している「サンデーモーニング」
でも顕著である。