シャトル在住 蕭 成美
黄智慧氏の論文に全面的に賛意を表します。
私は大正15年生まれの台日系米国人(台湾に生まれ戦前の日本教育を受けて中
華思想に汚染されずアメリカに帰化した人間)です。黄氏は私の今までずっと感じて来た事,考えて来た事をよく表現してくれました。 客観的で整然としてまとまった論文よく書いて下さいました。有り難うございます。
唯一つ付け加える事を許して戴けるなら次の事をいいたいと思います.戦後台湾
が蒋介石に占領された為に戦後の日本政府や親中派は台湾を中華民国にすげ替えて本当
の台湾すなわち日本の前植民地台湾、6百万の元日本国民を黙殺、忘れ去る事によっ
て過去の台湾に対する責任を実にうまく回避して立ち回る事が出来たと思います.台湾
イコール中華民国という図式は日本の外交,日教組の教育にどんなにか都合が良かった
でしょうか。
そのため李登輝閣下が総統にになられてから言論が自由になり元日本国民
がゲシュタポを恐れる事もなく親日派とか日本語族という人達が出て来たわけですが
それは多くの日本人にとっては驚きであったでしょうし、また今までの日本の政策や
日本の教育にとっても都合の悪い人も事も出て来たのではないでしょうか。
私達が海外で台湾を中華民国にさせられてどれだけ悔しい思いをしたか。
然し民進党が政権をとっても例の青天白日を掲げて国民党歌を歌い、誰からも聞
かれた訳でもないのに自分の方から台湾は独立しないと宣言した新総統にはがっかり
しました,
李登輝総統が苦労して建て上げた民主への道を歩かず八年の間台湾の為に
何にもせず、ただ金権の争奪に明け暮れた民進党の罪は台湾史に残ります。戦後始めて
握った台湾人の絶好のそして唯一の機会は彼等の手で水泡に帰しました。それでも未
だにその様な男を支持している台湾人がいる。だから責めは台湾人にもあります。
勿論台湾を捨てて外国に帰化した我々は卑怯者であり,台湾の事に関しては口出しをす
るなと言われても仕方のない事で有り、ずっと慎んで来ましたがこの度の御論文を読ん
でよくぞいって下さったと感じましたのでとうとう口を(?手を)出してしまいまし
た。
NHKが故意か無知でこんなプログラムを作ったかは知りません。アメリカでは
TV―Japan というテレビのプログラムが有ります,主にNHKですが全部が全部そ
うでは有りません.ところがこのプログラムだけが放送されなかったのです。4月5日
からずっと気をつけていたのですから見逃したとは思いません。第二部の’天皇と憲法’がもうすぐ出て来る事になって居るのにが第一部の台湾統治の分が放送されなかったので私は見る事は出来ませんでした。台湾の声で皆様の論文を読んだだけですが私は殆どは分かっていますが放送を見ていないので批評はしません。故意でやっても無知で
やっても公共放送局ですから許されません。責任を取らなければならないと思います
が戦後の日本人の多くは責任の取り方も忘れた様です。
> 【NHK問題】日本の戦後反省は「自己満足型」
>
> 黄智慧(台湾 中央研究院民族学研究所)
>
>
> 私は長年、台湾において台湾の日本統治時代と台湾のポストコロニアル状況に
つ
> いて、台湾のそれぞれのエスニック集団の日本観や日本統治に対する評価、湾
生の方
> 々の台湾に対する思いなどを聞き取り調査し、研究してまいりました。私はこ
の番組
> にはたった二枚の写真から植民地を評価をしようという企画者側の意図があり
、それ
> が無謀というか、何か結論ありきのような感じがして、バランスが取れた番組
とは言
> えないと思います。
>
> あの大の親日家の柯徳三さんが何か日本批判ばかりしゃべっていました。ある
いは
> 、その部分だけNHKが取り上げたのかとも思います。また改姓名は、朝鮮の
ように
> 全員に強制されたような説明が番組ではなされていましたが、実際はそうでは
ありま
> せんでした。台湾史の研究者も朝鮮では80%を超えていた創始改名が、台湾で
は1943
> 年の段階でわずか2.6%、その後の増加を考慮しても朝鮮の割合にははるかに及
ばな
> いことを指摘しています(近藤正己1996『総力戦と台湾 日本植民地崩壊の研究
』
> 刀水書房を参照)。そして何よりも、戦後生まれの台湾人の名前をみればお分
かりに
> なるかと思いますが、たとえば文雄、春男、千恵、美恵といった名前をよく見
かけま
> す。原住民族のなかでもヘイタイ、ボウヤが名前になっています。日本が去っ
た後も
> 自ら子供に日本的な名前をつけているのは、なにを意味しているのでしょうか
?また
> つい最近4月21日に屏東来義郷パイワン族の村では日本人の銅像が新たに建
てられ
> ました。村で地下水ダムを作った鳥居信平の功績を称えるためです。これはな
にを意
> 味しているのでしょうか?
>
> 番組では「日本統治がいやです」という声ばかり取り上げられていましたが、
今ま
> で何人もの台湾人が「私は日本精神ですよ」と言うのを聞いてきた研究者の私
は、な
> ぜこれだけがとりあげられたのか不思議に思いました。
>
> 最後に救いになっているのが、「台湾人を敵の手に渡した」という台詞が出て
よか
> ったと思います。そして、捨てられた台湾元日本兵の思いも伝えてくれました
。しか
> し、これは明らかに戦後の日本政府に対して発した不満であって、戦前の日本
政府に
> 対して発したものではありません。番組は戦前の日本政府の反省を視聴者に促
すがた
> めに、元日本兵が教育勅語をいまでも暗誦し、軍歌をいまでも歌い続けている
ことが
> いかにも可笑しいあるいはいかにも「戦前の日本政府のせいだ」と映し出さん
ばかり
> で、肝心な「殖民後」の日本政府の態度、つまり「アジアの一等国」の後ろ姿
にまっ
> たく触れようとしないのが真に残念でした。
>
> 戦後日本の思想界が戦前を強く批判し、猛省をしている姿勢はよく理解できま
す。
> だが、私たち台湾にいるひとびとからみれば、それは日本の国内事情です。ま
たその
> ためには、植民地の過去とその後、今や異国となって久しい土地の歴史を勉強
しよう
> ともせず、とにかく現地のひとびとの声を利用するのがてっとり早いという発
想はい
> かがなものでしょうか。このような日本の戦後反省は「自己満足型」の反省で
あり、
> 果たしてこれでいいのでしょうか。旧植民地にいた台湾人の「あの戦争」につ
いての
> 反省は、独自の角度があり、またあってしかるべきです。それは最初から動機
、役割
> 、責任分担も違うし、なぜ日本人と同じように反省をさせられなければならな
いのか
> 、これについては日本の戦後の思想界が考えたこともなく、実際、無関心なの
です。
>
> そして、現実に、台湾人の声は戦後やってきた中華民国の体制によって長きに
亘
> り抑えられてきました。外省人のもたらした「抗日」の日本観しか表に出すこ
とがで
> きませんでした。やっと1987年戒厳令が解除されたのち、台湾の元殖民さ
れる側
> の声が、怒涛のように自伝や短歌、回想録などとなって出回るようになりまし
た。そ
> れは私たち日本語世代の次世代である子孫たちでさえも猛勉強することによっ
てはじ
> めて理解できるものです。
>
> 台湾人が日本統治時代について語る場合、つねに彼らが戦後経験した国民党独
裁政
> 治あるいはもうひとつの殖民統治と比較をして語ります。良し悪しというもの
は、比
> 較できたからこそ、ある程度の客観性がもてるのです。これはポストコロニア
ル期の
> 台湾被植民者の「民衆の比較政治学」と私はみていますが、台湾人の日本統治
に対す
> る評価は、戦後彼らが国民党政権の下でどのような経験をしたのかをきちんと
理解し
> ない限り、彼らの声を正しく報道することができないと思います。また一言で
日本統
> 治と言っても台湾では半世紀に及び、統治初期は幾つも武装的抗日運動が起こ
ったと
> はいえ、台湾総督府もさまざまな試行錯誤を重ね、台湾の「殖民される側」と
弁証的
> な競合関係にあって、あの時代を歩んでいきました。いうもでもなく第二次世
界大戦
> では台湾人も日本国民として、運命を共にしました。このような時期によって
、また
> 違った統治策によって、台湾のひとびとの反応も大きく違いがみられる歴史を
、日本
> 統治時代として大雑把にまとめて述べることは、やはり事実を誤解して認識し
、放送
> することになります。
>
> 台湾では、ようやくいままで外省人によって「代行」されていた日本観がすで
に
> 解放された状態になった今日ですが、また今度、NHK放送によってその声が抑え
られ
> るとは、呆れてしまいました。私の知っている日本の学界では、台湾の戒厳令
解除に
> つれて、この20年すでに優れた台湾統治史の研究成果がたくさん出ています
。台湾
> を専門としていないフランス学者の説をわざわざ取り上げる必要もありません
。そし
> て台湾にいる私がもっとも憂慮すべきだと思っているのは、NHK放送を信用して
みて
> いる日本の方々が、台湾のひとびとの心情とますます遠ざかっていくことです
。
>
> 現実問題として日本と中華民国が国交を断絶してやがて40年になります。日
本は
> 中華民国政権の代わりに、中華人民共和国と国交を結びました。そのため、過
去50
> 年間「帝国臣民」として統治された台湾のひとびとがたいへん不利な状況に置
かれて
> いることを、戦後生まれの日本の方はあまり知らないと思います。日本とこの
二つの
> 中国の間との恩讐関係は、もと植民地の人々との関係とは全く性質の違うもの
です。
> にもかかわらず、それを見極める能力もなく、実際に台湾のひとびとの国際社
会での
> 利益を犠牲に回したことが、何の罪もない台湾のひとびとが戦後日本の「捨て
たきり
> 」ぶりを批判している理由です。
>
> このような厳しい国際状況のなかで、次世代の台湾のひとびとが如何に日本と
ふた
> たび付き合えるのか、私は台湾の日本語世代の出した声にとても重要なメッセ
ージが
> 含まれていると思います。プラスもマイナスもそれなりに彼らの心の整理が付
いてい
> ます。問題はこちらが聞く耳をもっているかどうかです。日本語世代が終わろ
うとし
> ている今日は、その声が遺言みたいなものにも聞こえます。聞き逃したら再び
聞くこ
> とのできない遺言ですが、耳を澄ましてきちんと聞いてあげることがせめての
慰めだ
> と思います。その重さを、残念ながら今回のNHK放送側は理解していないと思い
ます
> 。
>
>
>
>
>
>
>
>
>
> 『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html