【産経新聞:平成23年(2011年)9月115日】
【ワシントン=古森義久】米国を訪問中の台湾の最大野党・民主進歩党(民進党)主席
で来年の総統選候補である蔡英文氏は13日、ワシントン市内で演説し、中国の軍拡により
台湾海峡での軍事バランスが中国に有利に傾きすぎたとして、米国にF16戦闘機の新型な
どの兵器の売却を改めて求めた。
蔡氏は同日、ワシントンの大手研究機関のAEI(アメリカン・エンタープライズ・イ
ンスティテュート)で演説して、台湾の主権に基づく、中国とは政治体制の異なる現状の
維持が台湾住民大多数の願いであり、台湾の将来はすべて台湾住民の自由意思で決められ
るべきだと強調した。
そのうえで蔡氏は「台湾の平和と安定は安全保障への誓約によって支えられねばならな
いが、最近は中国の軍事力増強、とくに海軍力の強化によって台湾海峡の軍事バランスは
中国に有利に傾きすぎ、中国の軍事力行使を抑止する台湾側の能力は信頼性をなくしてい
る」と指摘した。
蔡氏は国民党の馬政権が台湾の国防努力を怠っていると批判し、来年1月の総統選で勝
って政権を握れば、「台湾防衛の適切な努力のために米国に新鋭のF16戦闘機を含む近代
的な兵器類の売却を求めていく」と述べた。
米国との関係については「台湾と米国の戦略的パートナーシップの構築を進めたい」と
語り、対米関係の強化を力説した。
中国との関係については経済の絆の拡大を重視すると述べ、「中国をいたずらに敵視は
したくない」としながらも、馬政権が中国との間で結んだ「中台経済協力枠組み協定」(E
CFA)に対しては「透明性がない」として反対を表明した。
蔡氏はまた、台湾は東アジアの地域の安定にも関与すべきだと強調し、「米国とその東
アジアでの同盟諸国との連携も強化せねばならない」と訴えた。