【蔡焜燦氏インタビュー】馬政権の「親日」は騙し

【蔡焜燦氏インタビュー】馬政権の「親日」は騙し

台湾と日本は運命共同体─凶暴な中国に共同で対処しよう! 馬政権の「親日」は騙し
【ヴェクトル21:第42号 2011年2月1日発行】

急膨張する中国に対し、日本と国家安全上のスタンスを基本的に共有する台湾が、いままた「熱い政治の季節」を迎えている。昨年11月の5大都市市長選を皮切りに、今年末には立法委員(国会議員)選、そして2012年春には2300万住民の命運をかけた総統選が実施される。凶暴な独裁国家・中国が圧力を強める中で、日本と台湾はどう協力すべきなのか。実業家で、台湾独立運動に深く関わる「李登輝民主協会」理事長の蔡焜燦氏(84)に聞いた。(本紙編集部)

■領土権と漁業は別問題

質問(Q) 親中・反日の国民党・馬英九政権下でさえも、日台間の往来は盛んだ。気になるのは昨年、中国の侵犯で火を噴いた尖閣諸島問題。馬総統も学生時代から尖閣領有権問題では、対日強硬論者だ。周辺海域の漁業権も絡み今後、「台湾・中国」と日本の対立が激化する恐れはあるか? 

答え(A) 領土権と漁業はまったく別の問題だ。大正9年、尖閣諸島で遭難者を救助した日本人に対し、中国(当時は中華民国)は在日長崎領事名で感謝状を贈るなど、多数の歴史的証拠があり、尖閣諸島が日本領であることは明白だ。李登輝元総統閣下も「尖閣は日本領」と言明している。

■仲良く魚を獲ろう

一方で、台湾の漁民も昔からこの海域で魚を獲ってきた。日本の石垣の漁民は、新鮮な魚を沖縄本島より近い台湾・基隆へ売りに来ていた。台日間には日ロのように深刻な領土問題は存在しない。シナを警戒しながら、互いに魚を仲良く獲ればよいのだ。
台湾と日本は共に民主国家で安全を共有する運命共同体だ。シナ人が今春にも計画しているという、尖閣を巡る反日活動には冷静に対処しよう。

■潰れても大陸投資はするな

Q 台中間は経済を軸に緊密化。人的交流も盛んだが、両岸の投資保証協定は未だに結ばれていない。台湾側が主張するように、トラブル発生時に仲裁する第三者機関がないと、大型投資は進まないのでは?

A 台湾企業がシナへ出ていっても、決して良い結果はもたらさない。個人的見解だがシナ人は騙しが多く、どだいつきあえる人種ではない。私の会社は上場企業だが、もしシナへ出ないと潰れると言われても、私は決して進出しない。
東南アジアには、ベトナムのような社会主義国を含めて、つきあえる国はたくさんある。ただし交易に際しては、現地華僑の金権汚染体質に巻き込まれない注意が必要だ。華僑こそが、現地政府に「袖の下」を渡し、腐敗に追い込んだ張本人なのだ。

■華僑の汚職体質に警戒

各国にはその民族性に根ざした商行為があり、特性を良く理解し経済活動を進めることが重要だ。シナ人の賄賂体質に決して取り込まれてはならない。シナには「公」という文字はあっても「公」という概念はない。「私」の概念しかないのだ。
司馬遼太郎先生が指摘したように、シナ人の最高の美徳は「親孝行」。これは私的行為に過ぎない。中国出身の在日帰化作家、石平氏は、「中国で『聖人』とされる孔子は、父親が隣家の羊を盗んだ、と言いふらした子供を『親不孝だ』と批判した」と指摘。中国人が、いかに自己中心的な民族であるかを吐露している。

■DNA違う台湾とシナ

Q 馬総統が日本時代を一部再評価し、日本語世代の心情に配慮するような動きも見せているようだが。

A 私がこれまでに見てきたシナ人で、馬英九ほどずるい人物はいない。例えば馬は、台湾で高い評価がある、烏山頭ダムを建設した八田与一の慰霊祭に出席してみせる。明石元二郎・第7代台湾総督の墓所から戦後、撤去されていた鳥居を元に戻しもした。で、われわれ年配者は「へーッ」と思う。しかし、馬の本心はどうか。台湾人と一致しているのか?
一連の行為は台湾人の歓心を買うためのパーフォーマンスに過ぎないのではないか。
台湾人とシナ人はDNAレベルから違う。台湾では「唐から来たおじいさんはいても、唐から来たおばあさんはいない」と言われるように、シナの歴代王朝は、男は台湾に行かせたが、女は出さなかった。男は台湾で原住民女性と通婚。
台湾人の血の中にシナ人のDNAはない、と専門家の学者も断言している。加えて日本時代の50年間に、日本は台湾人に「公私の区別」「物作りの大切さ」を教え、台湾人とシナ人の違いは一層、際だった。

■台湾人の愛国心潰えず

Q 昨年11月の台湾5大市長選は南部高雄、台南2市で野党民進党が勝利。台北、新北、台中の3市を与党国民党が押さえた。この結果を踏まえ、今年末の立法委員(国会議員)選挙と、2012年の総統選をどう展望するか。

A 当選市長の数は2対3だが、野党側は約55%を得票。この上昇基調が立法委員選と総統選の勝利につながると確信する。
前回2008年の総統選で、野党候補はなぜ220万票もの差をつけられたのか。日本の総選挙で自民党が大敗し、民主党に政権を奪われたのと同様、民衆に「お灸」をすえられたのだ。有権者一人一人が「民進党へのお灸票は、自分だけだ」と思っていたのが、積もりに積もって結果的に220万票に膨れあがっていた。
だが私は今、とても平静だ。台湾人の愛国心が失われたとは思っていないからだ。

■国外送金は祖国裏切り

Q 陳水扁前総統が汚職などの罪に問われている。重い量刑は国民党・中国人グループの報復との指摘もあるが公判記録を見ると陳政権の腐敗もひどかった。

A 陳水扁がやったことで、どうしても許せないことがある。受け取った金を国外に隠匿したことだ。祖国台湾を信じないから、外国に金を送って隠したのだ。海外での政治工作のために金を使う必要があるのなら、台湾国内に金を置き、いくらでも外国に送金できる。なぜスイスに送金する必要があったのか。祖国・台湾に対する裏切りだ。私は、そう思っている。

■次期総統選の勝利確信

Q 2012年総統選の野党候補者選びは、どう進められるのか。

A 野党民進党は、4月までに候補者を決めねばならない。2012年は、台湾人の存亡をかけた闘いになる。1998年の台北市長選の時、私一人が「新人の馬英九候補に現職の陳水扁市長が負けるかも知れない。そして陳候補は2000年の総統選に出て勝つのでは」とポツリと述べたことがある。当時、日本から来ていた「愛台湾」の学者の中にも、反発してモー然と食ってかかってきた人があったが、結果はそうなった。
次の総統選は必ず勝つ。負けたら台湾は終わりだ

■蔡焜燦(さいこんさん)1927年、台湾中部清水生まれ。彰化商業学校卒業後の1945年、志願して奈良市の岐阜陸軍航空整備学校奈良教育隊(現在の奈良教育大学)に入学。終戦後、台湾に戻り体育教師や日系企業のサラリーマンを経験。その後、脱サラしウナギの養殖、半導体デザインなどで、実業家として手腕を発揮。現在は電子関連会社会長を務める傍ら李登輝元総統側近の立場から「李登輝民主協会」理事長に就任、日台の架け橋となる交流事業を多数、手がけている。司馬遼太郎の「台湾紀行」執筆に際し、台湾各地に同行し台湾事情を解説した「老台北」として広く知られ、著書に「台湾人と日本精神─日本人よ胸を張りなさい」(2001年、小学館文庫)などがある。

写真:台北市中心部の元日本人共同墓地の公園に最近、突然戻された二つの鳥居。左の大きい方が明石元二郎・第7代台湾総督、小さい方は、  明石の秘書官の墓にあった鳥居。両方とも、別の場所に撤去されていた。

写真:台湾独立問題を語ると、「闘魂の塊」のような印象を受ける蔡理事長だが、レストランでも専用のメニューを印刷して、食事のバランスを取り、健康保持に努めている=台北市内のホテルで

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