【良書紹介】澁谷司『人が死滅する中国汚染大陸』

「台湾の声」【良書紹介】澁谷司『人が死滅する中国汚染大陸』

人が死滅する中国汚染大陸
著者:澁谷司
本体:800円(税抜)
発行年月日:2014年7月25日
判型/製本:新書版並製
ページ数:239
ISBN: 9784766720563

内容紹介

なぜ、中国は近代化出来ないのか?
“民主主義をあざ笑う中国に「革命」が待つ! ”

習近平一族、中国脱出準備完了。
耕地の土壌汚染 日本の耕地面積の5倍
地下水は6割が不合格 74都市中、71都市で大気汚染が深刻
遷都はチベット? 海南島か?

─── 本書を故・中嶋嶺雄学長に捧ぐ ───

はじめに

昨年(二〇一三年)二月一日(旧正月初日)、長らく北京に勤務している友人と久しぶりに会った。彼は、春節を利用して、一時帰国したのである。

その際、彼は「日本のマスメディアで報道されているほど、北京の大気は汚れていない。大したことないよ」と言っていた。きわめて楽観的な発言だったので、深く印象に残った。北京に長く滞在している彼のことだから、たぶん本当かもしれないと筆者は思った。

その一年後、今年(二〇一四年)二月一日、彼と再会した。
筆者は、彼の言葉に驚かされた。
「早く日本へ帰りたい。このまま、北京に住んでいたのでは死んでしまう」
と信じがたい弱音を吐いたからである。

彼の北京のマンションは、一部、二重窓となっている。もちろん空気清浄機も付いている。それにもかかわらず、北京では大気汚染がひどいため、PM二・五等が部屋に忍び込んでくるという。わずか一年間で、北京の大気汚染が格段に進んだのである。このままだと、彼の肺・気管支は障害を起こす公算が大きい。彼の一日でも早い帰国を祈るばかりである(日本有数のメーカー、パナソニックは、中国へ赴任する場合、「現地手当て」が支給されることになった)。

昨年(二〇一三年)、わが国は、マスメディアだけでなく、国・地方自治体も、中国から飛んで来るPM二・五に対して警戒感をもった。
そして、PM二・五の数値が高い日には、お年寄りや学童に対し外出や運動を控えようと呼びかけている。

しかし、本家・本元の中国では、さらに大気汚染が拡がっている。北京はすでに人間の住むところではないとまで言われ始めた。中国では、北京からの遷都さえ検討されているとの噂がある。今秋、北京で開催予定のAPEC(エイペック)(アジア太平洋経済協力)が、別の都市(例えば海南島)で開かれる可能性も否定できない。

さて、中国の環境問題は、1大気汚染だけにとどまらない。よく知られているように、2水質汚染も深刻である。また、水質汚染により、3土壌汚染も進んでいる。その土壌汚染は、4食品危機を招来している。実は、5わが国は、食糧の一部を中国に依存し、大量の中国産食品を輸入している。

これらは、日本人にとって決して無視できない問題だろう。本書の前半では、読者諸賢と一緒に中国の環境問題を考えていきたいと思う。

後半では、なぜ中国は「近代化」(資本主義・議会制民主主義・近代法等の導入)できないのかを様々な観点から探りたい。

拙書が、みなさまの中国理解の一助になれば、この上ない幸せである。

著者紹介

澁谷 司(しぶや・つかさ)
1953年、東京生まれ。明治大学付属明治高校卒。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。
関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。
2004年夏~2005年夏にかけて台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。
2011年4月~2014年3月まで拓殖海外事情研究所附属華僑研究センター長。
現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学非常勤講師。専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。

主な著書に
『戦略を持たない日本』、『中国高官が祖国を捨てる日』(共に経済界)

2014.11.10 9:00