【米下院外交委員会】台湾関係法と6つの保証」を再確認する決議

【米下院外交委員会】台湾関係法と6つの保証」を再確認する決議

日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載

 米国連邦議会下院の外交委員会は4月19日、「台湾関係法と6つの保証を米台関係の基礎とするこ
とを再確認する下院第88号決議案」を全会一致で可決した。中央通信社は「これを受けて外交部
は、双方の関係を肯定する行動だとして歓迎と感謝の意を示した」と伝えている。

 台湾関係法は、米国が中国との国交樹立直後の1979年3 月、上下両院で可決し、ジミー・カー
ター大統領が4月10日に署名、1 月1 日に遡って発効させた18条からなる国内法だ。

 この法律のポイントは第2条にあり、台湾に関して「平和手段以外によって台湾の将来を決定し
ようとする試みは、ボイコット、封鎖を含むいかなるものであれ、西太平洋地域の平和と安全に対
する脅威であり、合衆国の重大関心事と考える」【第2条B項(4)】とする米国の立場を明らかにし
た上で「防御的な性格の兵器を台湾に供給する」【第2条B項(5)】と定めたことにある。

 米国が台湾への兵器供給を定め、台湾もそれを了としているということは、すなわち一種の軍事
協定といってよい。

 その後、ロナルド・レーガン大統領時代の1982年7月14日、兵器供与に関して下記の「6つの保
障」を定め、台湾側に伝えている。

(1) 台湾への武器供与の終了期日を定めない。
(2) 台湾への武器売却に関し、中国と事前協議を行なわない。
(3) 中国と台湾の仲介を行わない。
(4) 台湾関係法の改正に同意しない。
(5) 台湾の主権に関する立場を変えない。
(6) 中国との対話を行うよう台湾に圧力をかけない。

 米下院外交委員会が可決した「台湾関係法と6つの保証」を再確認する決議では、「台湾の人々
が過去20年間にわたり、活発で普遍的な民主政治を築き、5度の総統選挙と度重なる立法委員(国
会議員)選挙、地方選挙などを成功裏に実施してきたことを強調し、『台湾は米国にとって重要な
パートナーだ』としている」(4月21日「Taiwan Today」)という。

 日本も台湾を「重要なパートナー」とすることでは人後に落ちない。それどころか「大切な友
人」とまで位置づけている。昨年7月29日、安倍総理が参議院の平和安全法制に関する特別委員会
において「台湾は基本的な価値観を共有する重要なパートナーであり、大切な友人」と答弁したこ
とは未だ記憶に新しい。

 しかし、日本は国交のない台湾との関係を「非政府間の実務関係」とするも、その実務関係を保
障する法的裏づけは一切ない。

 日本は安倍総理の時代になって初めて、台湾を「基本的な価値観を共有する重要なパートナーで
あり、大切な友人」と公言するようになったものの、この無法状態は法治国家として異常というほ
かない。

 武器を供与できないのは致し方ないが、日本が安全保障を含む台湾との緊密な関係を維持しよう
とするなら、せめて国内法として「日本版・台湾関係法」を制定する必要がある。本会が3年前に
「日本版・台湾関係法」、すなわち「日台関係基本法」の制定を政策提言として発表した所以もそ
こにある。

 日米との関係を重視する蔡英文政権の発足は5月20日。安倍政権の蔡英文政権への最大の祝福は
「日本版・台湾関係法」を制定することにある。

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米下院外交委、台湾重視の決議案可決 外交部が謝意
【中央通信社:2016年4月23日】

 (台北 23日 中央社)米下院外交委員会は20日(現地時間)、「台湾関係法」と台湾に対する
「6つの保証」を台米関係の基礎とすることを再確認する決議案を全会一致で可決した。これを受
けて外交部は、双方の関係を肯定する行動だとして歓迎と感謝の意を示した。

 「台湾関係法」は、1979年に制定された米国の国内法で、同年に断交した台米関係のあり方など
が定められている。米国は同法に基づき、断交後も非公式に台湾との交流を続けている。

 「6つの保証」は1982年に当時のレーガン米大統領が台湾側に示したもので、▽台湾への武器売
却の期限を設けない ▽台湾への武器売却について中国大陸と事前に協議を行わない ▽台湾と大陸
の間の調停を行わない ▽台湾関係法の改正に同意しない ▽台湾の主権に関する立場を変えない
▽北京当局と協議するよう台湾に圧力を加えないことを保証している。

 同決議案は昨年10月末に、中小企業委員会委員長のスティーブ・シャボット議員により提出さ
れ、これまでに17人の議員から支持を得ていた。外交委員会の審議では委員長のエド・ロイス議員
らが、米議会は台湾の古い友人だと強調し、台湾への武器供与などに対する支持を表明した。

                           (唐佩君、廖漢原/編集:杉野浩司)


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