日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載
法務省入国管理局は3月18日、「平成24年末現在における在留外国人数について(速報
値)」を発表し、統計表に「台湾」の名称が初めて掲載された。
日本李登輝友の会は平成14(2002)年に設立して以来、在日台湾同郷会などとともに、
在日台湾人の外国人登録証明書の国籍記載を中国から台湾に改めることを求め、街頭署名
や国会へ働きかけるなど「外登証問題」に取り組んできた。
お陰様で多くの方の協力を得て、4年前の平成21(2009)年7月9日、国会で「出入国管理
及び難民認定法」改正が可決し、3年以内に実施の在留カードにおける台湾出身者の「国
籍・地域」表記は「中国」から「台湾」になることが決した。
そして、昨年(2012年)7月9日、外登証が廃棄され、新たに在留カードが発行され、台
湾出身者の「国籍・地域」表記が「中国」から「台湾」になったことは未だ記憶に新し
い。本誌では、その日の東京入国管理局の模様をYouTubeにアップして紹介してきたが、改
めて下記にご紹介し、皆様とあの日の感激を分かち合いたい。
また、周知のように、同日に実施された外国人住民基本台帳でも、台湾出身者の「国
籍・地域」表記は「台湾」となった。
このような経緯を経て、統計表に「台湾」の名称が初めて掲載された次第だ。発表翌々
日の3月20日、この統計表に「中国」と「台湾」が別々に掲載されているのを目にしたとき
は感慨深いものがあった。
発表文の「注3」では、中国と台湾を分けて掲載している理由について「台湾は,平成23
年末までの外国人登録者数に係る統計では,中国に含んでいましたが,新しい在留管理制
度で交付される在留カード及び特別永住者証明書では,国籍・地域欄に『台湾』と表示さ
れることとなったため,この統計では別に集計することとしました」ときちんと説明して
いる。
ところが、報道をみるとおかしな解説が目についた。
「Record China」は「何か意図が? 日本法務省の在日外国人統計、中国と台湾が区別
され韓国と北朝鮮は一緒」という見出しで、「同省は今回の統計で初めて台湾単独の在留
人数を公表。それによると、日本にいる台湾の人は2万2779人で、単独での統計について同
省は明確な説明を行っていない」などと報じている。
「毎日中国経済」にいたっては「日本が外国人統計で初めて台湾を単独表記 台湾メデ
ィア、『両岸協力破壊の意図がある』」という見出しを掲げ、台湾・旺報によるととして
「従来、統計では台湾居住者の人もこの中に含めていた。……安倍首相は在日外国人の統
計で小細工をし、台湾を中国から切り離した。形式上、両岸を分けることは、両岸が釣魚
島防衛で協力する可能性を壊す目的がある」と報じているのだ。
バカも休み休み言え、と言いたくなる。まったくいい加減な記事だ。
先に述べたように、法務省入国管理局は中国と台湾を分け別々に掲載している理由につ
いてきちんと説明している。「単独での統計について同省は明確な説明を行っていない」
と書く「Record China」は、この法務省入国管理局の発表を読まなかったのだろうか。
また、外登証を廃止して在留カード化を決めた「出入国管理及び難民認定法」の改正は
平成21(2009)年7月9日だから、麻生内閣時代だ。第一次安倍内閣ではない。安倍内閣は
その2年前の2007年9月で終わっている。
「台湾を中国から切り離した」と非難するなら、4年前の法改正時点でやってくれと言い
たくなる。経緯を知らずに書いたとしか思えない杜撰な記事だ。
それとも、両紙とも法務省発表は読んでいるものの、政治的思惑を持って記事を書いた
ということだろうか。中国政府に迎合するような記事に仕立てたということかもしれない。
それにしては、両紙とも台湾出身者の戸籍における国籍が中国とされていることにはま
ったく触れていない。
今回の発表を奇貨居(お)くべしとばかり、現在の安倍内閣を非難し、尖閣に結び付け
るのも結構だが、安倍内閣でも戸籍では未だに台湾出身者を中国としていることを指摘
し、整合性が取れていないことをもって非難すれば、納得する人も出て来ようというもの
だ。恐らく戸籍問題を知らないのだろう。だから、このような杜撰な記事となる。
「Record China」や「毎日中国経済」のこういうミスリードが日中関係を悪化させる種
火を作るのだ。
なお、在留する台湾人の2万2779人は少ないと思う方もいるかもしれない。これは、切り
替えの期限が来るまで外登証を有効としているため、入国管理局も説明しているように
「在留カード等とみなされる外国人登録証明書を持っている人は,中国に計上」している
からだ。
◆ 祝!『台湾』国籍が在留カードに記載![2012年7月9日:14分35秒] http://youtu.be/FSZtX11OHMg
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平成24年末現在における在留外国人数について(速報値)
【法務省入国管理局:平成25年3月18日】
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00030.html
・平成24年7月9日から施行された新しい在留管理制度の対象となる中長期在留者の数は,
平成24年末現在,165万6,514人
・同年末の特別永住者数は,38万1,654人
・中長期在留者と特別永住者を合わせた在留外国人数は,203万8,159人
法務省入国管理局では,これまで外国人登録法に基づき外国人登録をしている外国人の
統計を作成してきましたが,平成24年7月に出入国管理及び難民認定法等が改正されて新し
い在留管理制度が導入されたことに伴い,外国人登録法が廃止されたことから,今後,新
しい在留管理制度の対象となる「中長期在留者(注1)」及び「特別永住者」(以下,これ
を合わせて「在留外国人」という。)を対象として,本邦に在留する外国人の実態につい
ての統計の作成を行うこととしました。
なお,この制度改正により対象範囲が異なることとなったため,在留外国人数と従来の
外国人登録者数とを単純に比較することはできません(注2)。
(注1・注2 省略)
1 在留外国人数 −第1表,第1図−
(省略)
2 在留カード等上の国籍・地域別 −第1表−
在留カード及び特別永住者証明書上に表記された国籍・地域の数は192(無国籍を除
く。)でした(注3)。
在留外国人数の国籍・地域別では,中国が65万3,004人で全体の32.0パーセントを占め,
以下,韓国・朝鮮,フィリピン,ブラジル,ベトナム,ペルーと続いています。
前年末の外国人登録者数(短期滞在等を除く。)と比較したところ,中国(1万5,640人
減,2.3%減),韓国・朝鮮(1万1,761人減,2.2%減),ブラジル(1万5,694人減,7.5%
減),ペルー(1,988人減,3.9%減)がそれぞれ減少した一方で,ベトナム(7,941人増,
17.9%増),ネパール(3,970人増,19.7%増)はそれぞれ増加しました。
(注3)台湾は,平成23年末までの外国人登録者数に係る統計では,中国に含んでいまし
たが,新しい在留管理制度で交付される在留カード及び特別永住者証明書では,国籍・
地域欄に「台湾」と表示されることとなったため,この統計では別に集計することとし
ました。
ただし,改正入管法施行後,新しい在留カード又は特別永住者証明書の交付を受けて
おらず,在留カード等とみなされる外国人登録証明書を持っている人は,中国に計上し
ています。
◆第1表「平成24年末における国籍・地域別在留外国人数」
◆第1図「外国人登録者数の推移及び在留外国人数」
http://www.moj.go.jp/content/000108878.pdf
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html