2016.12.6産経新聞
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このタイトルは良くない。誰の暴走を阻止するのかは最後まで読まないとわからない。
「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
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注目されるトランプ次期米大統領の対中国政策が垣間見えた。
1979年の台湾との断交後、現職、次期米大統領として初めて台湾総統である蔡英文氏と電話で話し合った。
「一つの中国」原則に違反するとの立場から、中国は強い不快感を示している。だが、ペンス次期副大統領は「儀礼的な電話」に問題はないとして、抗議は受け付けない構えを示している。
さらに注目したいのは、中国について「南シナ海に巨大な軍事施設を建設していいかとわれわれに尋ねたか。私はそう思わない」と投稿したツイッターの内容だ。
むろん、これらが正式な「政策」に結び付くのかどうかは見えない。だが、中国に対して沈黙はしない姿勢が伝わってくる。次期米政権の包括的な対中政策を、早期に示してもらいたい。
トランプ氏はすでに、中国の習近平国家主席との電話協議は終えていた。今回の台湾総統との接触は、中台関係の均衡に配慮した中でのものといえよう。
米国は断交後も「台湾関係法」に沿って、台湾の防衛に必要な武器を供与している。その上で、台湾海峡の一方的な現状変更は認めない立場を表明してきた。
ただし、今や台湾海峡の軍事バランスは圧倒的な中国優位にある。東シナ海では日本の固有の領土である尖閣諸島が危機に直面し、南シナ海では違法に造成された人工島の軍事拠点化が進む。
いずれも中国が引き起こした憂慮すべき状況である。
トランプ氏は、日本など同盟国の防衛上の負担のあり方に疑念も呈してきた。アジア・太平洋地域なかんずく東アジアが置かれた現状に目を向けようとしているなら、歓迎したい。
トランプ氏は当選前から、中国製品への輸入関税45%適用、為替操作国への指定に言及してきた。劇薬ともいえる政策の検討について、次期政権内の対中強硬派は真剣なようだ。米台接触も、こうした対中政策の文脈で理解すべきだろう。
トランプ氏は激しい言葉が先走り、明確な立場や本音を読みにくい。ビジネス界での経験から、発言が「ディール(取引)」の材料に化する危うさも残る。
ここは腹を据えて、中国の挑発や覇権を許さない政治家としての理念を構築してもらいたい。