【現地レポート】再び228事件を起こしてはならない

【現地レポート】再び228事件を起こしてはならない
台湾の声編集部/台北 2013.3.1

昨日、2月28日に行われた「三月大虐殺を忘れるな」
デモ行進は、約1000人の参加を得て有意義に行われ
た。

出発セレモニーの地点は、迪化街、城隍廟の隣にある永
楽市場(永楽布業市場)。集合時間が近づくと、緑色の
台湾旗と、白と黄色の菊の花、またシールが希望者に配
布された。ガードマンの男性がスクーターで乗りつけ、
旗を配って回り、また、いくつもの屋台の業者がその旗
を屋台につけるなど、台湾人がこの活動を支持している
ことが垣間見える。

また、会場には、台湾独立建国聯盟の幟を持った幹部も
集まり、陳南天主席はもとより、黄文雄・前台湾独立建
国聯盟日本本部主席のほか、羅福全元大使の毛清芬夫人
など日本と縁のある人々、そして、日本の台湾228時
局講演会にも参加したという日本人女性の姿が見られた。

セレモニーは、台湾基督長老教会の許承道牧師の司会で
進行した。最大の主催団体である台湾国家聯盟の姚嘉文・
総召集人は、今回のテーマを「三月大虐殺を忘れるな」
としたことについて、台湾人と異なる社会文化を持つ中
国国民党の到来によって、尊い人命が失われ、台湾人全
体が言語の抑圧を含めた圧政を経験した。今、中国の脅
威が迫っている中で、再び「228事件」があってはな
らないと強調した。

また主催団体の陳儀深・台湾228関懐総会理事長、中
央研究所研究員は、フランス人研究者が来場していると
して、英語の通訳をつけて、228事件の経緯について
説明。また、「どうして(民進党や台湾団結聯盟など)
特定の政党と一緒にやっているのか」という質問を受け
るとし、実は、台湾人の民主独立運動の中から民進党が
生まれてきたという経緯を説明した。

また、蘇貞昌・民進党主席、黄昆輝・台湾団結聯盟主席
が登壇した。 蘇主席は、国民党が、党の資産で、被害者
に賠償すべきだとし、国民党の党資産問題を指摘した。
また、台湾人の団結を訴えた。黄昆輝主席は、228事
件は二つのレベルの異なる民族の衝突であるとし、いま
中国で行われているチベット人の抗議自焚にも触れて、
中国との交渉が危険であると指摘した。強い日差しの集
会地点には、Free Tibet(チベットに自由を)運動の傘
をさしている参加者もいた。

その後、司会者が会衆に向かって、「次は誰でしょう?」
と期待を持たせ、登場したのは蔡英文・前総統候補。
集まった人々も、蔡氏の厳かなスピーチに耳を傾けた。
蔡氏は228事件および白色テロを経験した先輩たちの
民主化への希望と犠牲を私たちは受け継いで、これから
まだ長い台湾の道のりを歩まねばならないとした。2時
28分に始まった行進には、游錫堃(ゆう・しゃ
くこん)・元行政院長も参加し、228事件発生地点で
ある天馬茶房、酒タバコ専売局台北分局などを通過し、
一時間以上かけて、自由広場(もと中正紀念堂)正門前
に到着した。

行進の隊列が到着する前の自由広場正門付近には、主催
団体などのテントに囲まれるようにして、ステージと客
席が設けられ、合唱団がリハーサルをしていた。旧・中
正紀念堂は、中国人団体ツアーの見学ポイントになって
おり、日差しの当たらないテントの下の椅子に、中国陣
観光客が勝手に座って、リハーサルを眺めたり、「台湾」
と書かれた旗に興味を示したりしていた。

すると、現場担当者は、中国人観光客に向かって「あな
たたちは、よかったね。国民党を追い出したから。おか
げで私たちは大変な目にあった。国民党と共産党は兄弟
みたいなものだ」と、台湾で起こった228事件のこと
を説明して聞かせ、中国のことについて考えるように婉
曲に促した。

先に到着した許牧師も、ステージでマイクを握って今回
の活動について付近の人々に紹介する中で、時折、台湾
語から中国語に切り替えて、中国人観光客に228事件
のことについて紹介した。中国人観光客の中に、もし頭
の柔軟な人物がいるならば、考えるきっかけになること
であろう。

到着後のセレモニーでは、台湾独立建国聯盟の陳南天・
主席も登壇し、犠牲者のために黙祷を捧げた。228事
件は台湾独立運動の原点であり、台湾人と中国人の分水
嶺になったと語り、台湾人の台湾独立への思いを代弁し
た。そういえば、出発の前、台湾独立建国聯盟の幟の前
で記念写真を撮る参加者がかなり多かった。中国人に違
和感を持つ台湾人にとって、台独聯盟の存在は心の拠り
所なのかもしれない。

今年は、若者たちの企画も活動に加わった。大学の台湾
研究などのサークルの出展や「真人図書館」と銘打って、
228事件のことを語り伝える活動、また夕方になると
若者向けのバンド演奏などが行われた。

主催団体の代表である台湾国家聯盟は、2004年の人
間の鎖を実現するために立ち上げられた組織であり、台
湾独立建国聯盟とも関わりが深く、内外の台湾人、台湾
人の政党、民間団体を繋ぐ架け橋となっている。

なお、当日、宜蘭運動公園で「中華民国」政府の関わる
セレモニーも行われた。馬英九らも参加したが、靴を投
げつけられる画面がニュースにならないように最大の配
慮が行われたという。政府側は主催者に対し、誰々が会
場に入らないようにせよ、と「ブラックリスト」を示し
た。しかし主催者は、「排除することは出来ない」と、
協力しない姿勢を公にした。「908台湾国運動」など
の代表として知られる人物は、馬英九が到着したときに、
詰め寄って抗議したほか、馬英九の登壇時に抗議の横断
幕を広げたために、警察によって場外へ連れ出され、午
後3時まで捕まっていたという。退場させられる前には
すでに、彼の席の周りの席にSPが座って取り囲むとい
う厳戒態勢だった。また、馬英九のスピーチ中、ある男
性が立ち上がって台湾語で「真相なくして平和なし」と
叫び、サンダルを投げつけようとしたために、制止・連
れ出されたという。

報道によれば、蔡英文・前民進党総統候補は、「228、
対岸の若者への手紙」という文章を発表し、台湾が22
8事件を記念できるのであるから、中国でも出来るはず
だ、と述べ、中国の民主化にも期待を寄せたという。

自由時報による関連報道へのリンク:
http://www.libertytimes.com.tw/2013/new/mar/1/today-t2.htm?Slots=T

http://www.libertytimes.com.tw/2013/new/mar/1/today-fo3.htm

http://www.libertytimes.com.tw/2013/new/mar/1/today-p3.htm

http://www.thinkingtaiwan.com/public/articles/view/567