【林建良著】本日発売「中国癌との最終戦争」

【林建良著】本日発売「中国癌との最終戦争」

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 林 建良

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「中国癌との最終戦争」まえがきより

他国を癌だということは、大変失礼なことである。その失礼にもかかわらず、あえて癌であると認定しなければならない理由がある。その理由は極めて単純である。例えば健康な人を癌だと決めつければ怒りをかうだろうし、逆に癌細胞を健康な細胞といえば、その人の命を見棄てることになる。これが生物学の根本原理であり、人間社会にも当てはまる原理であろう。人間社会に於いて、強盗も善良な人間だと思って親しくして油断していれば、被害を受けても自業自得だ。改心した強盗には失礼だが、強盗は強盗と呼ぶ以外にない。これは中国にも通じるまことに単純な理屈である。中国は善良なすばらしい国であるとか、健全・活発な大国だと考えるのは、単なる無責任な考えでしかなく、かなりの危険に身をさらす覚悟を要する考え方なのである。

その実例は、世界に蔓延したコロナ禍により、世界中が周知したように、中国の病んだ政治・社会体制に原因していることが明確に確認できるのである。中国に関わるすべての問題は、中国を癌と考えないゆえに生じた結果である。未曾有の大危機に直面している今日、国際社会がこの中国が引き起こす問題を直視しない偽善的態度を改めないまま時を失えば、人類の生存が危うくなる程の危機を招くことになってしまうだろう。

なぜ中国は癌なのかについて、拙著「中国ガン・台湾人医師の処方箋」(二〇一二)に一人の台湾出身の医者として、中国の癌体質を解析した。その頃は習近平が権力の座について間もない時であった。権力を手にした習近平はすぐに「反腐敗運動」という名目で大粛清を行い政敵の一掃をはかった。中国ウオッチャー多くがその反腐敗運動を賞賛した。その彼らは腐敗高官を一掃したのちには習近平は民主化改革をしてくれるだろうと期待していた。大改革を断行するためには、習近平の権力集中はやもうえなかろうと、大弾圧を正当化する中国専門家も少なくなかった。今日その後の経過をたどれば、全く非現実的で浅薄な見方だったことは誰の目にも明らかである。だが当時、専門家と称する彼らは、大弾圧は正当であると確信していたようだ。そもそも民主化とは権力者に集中する権力を国民と最大限に分かちあうことであるが、いったん手にした権力を権力者がやすやすと手放すわけがないというのが現実だ。まして政敵排除の大粛清を断行してまでつかみ取った権力を、権力亡者の習近平が手放はずもなかったのである。

なぜ、専門家と称する人たちがこれほど簡単な理屈をわからないのか。彼らは、いろんなデータを駆使して中国を分析するのを得意とするが、生物学的観点から中国を分析することはできていない。その結果、中国の本質を見抜くことも、その方向性も予想することができなかったのである。医学者なら中国の所為を詳しく検証してみれば、中国が癌症状を呈していることを見逃さないであろう。かつて、魯迅がその一人であった。医学者でもあった魯迅が「狂人日記」や「阿Q正伝」を書き、中国人と中国文化の病的部分を詳しく描写した。魯迅は癌細胞という表現こそ使っていないが、彼の中国人と中国社会に関する記述は、癌の病理解剖記録のようなものである。

魯迅が医学者であり同時に中国社会の鋭い観察者であったことを知る日本人が少ないのは誠に残念である。魯迅を知らないゆえに、中国の病状を癌であると認識できないのである。中国を癌と認識できなければ、中国の常軌を逸する行動も理解できないし、当然その行動に対する有効な対策もとれない。それが今日の日本であるといえるだろう。
今まで中国の問題を私が提起しても、嫌中本だろうと思って、真剣に耳を傾ける政治家も文化人もほとんどいなかった。ところが、武漢コロナウイルスの大流行で世界が一変した。中国の不可解な言動が頻繁に議論されるようになり、中国に対する世界の不信感もかつてないほど高まった。それは、二〇一二年に拙著を出版した時よりも、現在までに中国癌が格段に進行し、症状悪化も顕著になったからであろう。

癌の早期診断は難しいが、進行するとさほど経験のない医者でも簡単に診断できる。だから、今は多くのひとが中国癌の存在を気づき始めたのである。進行した中国癌が地球の隅々まで転移しているが、幸いまだ手遅れという段階ではない。そして、中国癌に深く侵食されたアメリカもやっと癌の摘除手術を決心した。この大手術を成功させなければ、人類の将来はない。だから、国際社会が総力をあげて中国癌摘除手術の医療チームを編成する必要がある。どんな手術でも、手術前の準備から手術後の管理まですべてのステップを滞りなく実行しなければ成功しない。中国癌も然りで、そのすべてのステップにおいて腕の良い日本にもぜひこの手術チームに加わってほしい。本書は、それを促すためのものでもある。

本書は全五章で構成している。第一章はなぜ中国は癌なのかの解析である。それは生物学的観点で説明する理論的部分なので、二〇一二年刊の前著の内容とさほど変わらない。第二章以降の部分をよりわかりやすく読んで頂くため、最新のデータに更新し、二〇二〇年現在発生している事例をも紹介しながら、理論は前作を踏襲しつつ、一層詳しく中国の癌細胞体質を明らかにする。

中国生まれの武漢コロナウイルスほど、中国の癌細胞体質を鮮明に証明するものはない。第二章は、世紀の武漢コロナウイルスはなぜ中国で発生し、世界に蔓延したのか、その事実を紹介しながら、中国の一連の隠ぺい工作も含めて、習近平は如何にそれを武器にし、世界覇権を狙っているのかを読者に分かって頂くように、その手口と実例に説明をくわえた。

第三章では、大胆不敵な中国癌が超大国であるアメリカを侵食する様々な経路と手法を取り上げる。利権を侵食されたワシントンのエリートたちの腐敗と、なぜアメリカが覚醒したのかを検証する。第四章では、攻勢に転じたアメリカの戦略とそれを達成するための戦術を解析しながら、来る中国癌の最終局面を予測する。

最後に、日本は中国癌を完全に無害化できる矛を持っていることを、日本の皆様に指摘しておきたい。日本の皆様はあまり意識していないが、中国癌の退治に、日本には責任もあれば、能力もある。ぜひ、アジアの大国としてその責任を果たしてもらいたい。中国癌の最終局面は思ったより早く到来する可能性がある。中国の断末魔の抵抗も当然凄まじいに違いない。しかし、ここで怯んではならない。地球から中国癌をすみやかに摘除しなければ、人類の将来もないからである。この危機感を日本の皆様と共有いたしたい一念で本書をしゃにむに書き下ろした次第である。

 二〇二〇年九月一日 
                林 建良  


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