【李登輝さん】中国人留学生に語った「台湾」「尖閣」歴史の真実

【李登輝さん】中国人留学生に語った「台湾」「尖閣」歴史の真実

          メルマガ版「台湾は日本の生命線!」より転載

李登輝氏が中国人留学生に語った「台湾」「尖閣」歴史の真実 (附:報道動画)

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■新国家建設に期待―大学生を前に熱弁振う

台湾の李登輝総統は六月五日、桃園県の国立中央大学へ赴き、「新時代の台湾人―私の脱古改新」と題する講演を学生たちの前で行った。

今年八十九歳となった李登輝氏。「皆さんは台湾の未来の希望。若者はいかに自我を超え、新時代の使命を担えるか」と語り、次ぎのように論じた。

―――台湾はこの四百年史上で六つ外来政権の支配を受け、台湾人は歴史経験の断絶を受けてしまった。とくに一九四〇年代、外来の日本が敗戦し、中国の蒋介石がマッカーサーの命令で台湾の日本軍の降伏を受け入れることになり、台湾はそれに軍事占領され、新たな外来政権、中華民国の統治を受けるに至った。そこで「新時代の台湾人とは何か」が問題として浮上する。台湾を救うにはまず台湾の存在を確立すること。台湾の主になり、民主改革を要求する民意こそが「新台湾人」の力だ。

―――中国の歴史を見ると黄帝以降、商、周、明、清とどれもが帝国体制を引き継ぎ、そしてそれが「中国の法統」とされ、法統の外はみな化外の民、夷狄の邦とされてきた。

―――「一つの中国」の概念が中国人の特徴。中国五千年の歴史とは「一つの中国」の歴史。現在の中華民国も中華人民共和国も中国五千年史の延長線上だ。欧州人がかつて中国を指し、「アジア式の停滞」と呼んだのには道理がある。

―――共産革命は「アジアの停滞」からの脱却ではなく、中国伝統の覇権主義に復活であり、誇大妄想の皇帝一統の新たな出現だ。

―――中国史上の政治改革には秦の商鞅の変法、宋の王安石の変法、清の戊戌変法、立憲運動などがあるが、どれも失敗した。託古改制(古に照らして制度を改革する)をやっただけだからだ。実際には託古不改制と言えた。

―――中国法統の託古改制は民主化の潮流には受け入れられない。そこで私は?古改新の新思考で改革を進めよと言いたい。それは託古改制の余毒であるアジアの価値観を拭い、「一つの中国」「中国法統」の束縛から脱却するためだ。

―――台湾で施行される中華民国憲法は、領土に中国の領土を含め、事実に反している。一方自国の領土としているが、事実に合わない。中国は「一つの中国」「台湾は中国の一部」と主張するが、台湾はこれを受け入れられない。

―――私は九一年に動員戡乱時期の終結を宣言し、国共内戦を終結させ、台湾は台湾、澎湖、金門、馬祖を統治するのに対し、中国が大陸を有効に統治していることを認めた。九九年にはドイチェベレの取材を受け、さらに明白に台湾と中国は「特殊な国と国との関係」だと宣言し、明確に境界線を引いた。台湾のトラブルはみな中国にもたらされている。中国との違いをはっきりさせれば、台湾は安泰となる。

―――台湾は主体性ある国家を建立すべき。教育、司法、そして魂の改革を進め、中国文化の色彩を払拭したい。

ここでの「中華民国は中国を含まない」との発言は、テレビニュースでも速報された。なぜならそれは馬英九・国民党政権による「一つの中国」と言う歴史捏造の政治宣伝を打ち破ろうとしたという「政治ニュース」だからだ。

戦後中国から流入してきたが国民党と言う外来政権は、「一つの中国」(台湾は中国の領土)と言うウソの洗脳宣伝を台湾人支配の柱とした。そして現在の馬英九政権も、李登輝氏がせっかく進めた台湾本土化政策(中国からの切り離し)を停止させ、再びその支柱を持ち出して、台湾併呑を目指す中国と歩調を合わせる状況である。

そこで李登輝氏は若者たちの前で、台湾は中国とは異なることを強調し、台湾の誇りある新国家建設を呼び掛けたのだろう。

■李登輝氏に攻撃的だった中国人留学生

さてこの講演の終了後、質疑応答の時間を迎えたのだが、そこで見られた光景が話題となった。

質問者は三名に限られ、その三番目に立ち上がった学生が中国からの交換留学生で、李登輝氏に議論を挑み始めたのだ。李登輝氏と言えば、中国政府が見れば台独分子、媚日などと罵るべき「大罪人」。これに中国人学生が食ってかかったとなれば、メディアも関心を寄せないはずがない。

留学生はまずこう聞いた。「両岸問題に関して若者は何ができるか」と。

これに対して台湾語を使い、「(良い関係を維持したいなら)台湾はオレの物だ、あれはオレの物だと言った話はしないことだ」とにこやかに諭した李登輝氏。

留学生が「台湾語は分からない」と言うので中国語に切り替え、「台湾は中国の一部と言わないことだ」。

これには拍手喝采が巻き起こった。

李登輝氏はさらに「台湾は中国の将来の民主化の基礎となる」と述べるとともに、「(中国の)上の言うことは信用しないように」と付け加えた。

しかし留学生は攻撃的だった。「蒋介石や蒋経国の後継者であるあなたは、なぜ彼らの思想に背いたのか」と質問した。なぜ「一つの中国」の考えを捨てたのかと言う意味らしい。

李登輝氏がそれには正面から答えず、再び中国で改革の失敗が繰り返される歴史に触れ、「中国は改革が必要だ。一番大切なのは民主主義を根を植えること」と答えた。

留学生は「中国はずっと進歩し続けている。ずっと改革が続いている」と反論した。

■「尖閣諸島が中国領なら証拠を出せ」と迫る

次いで留学生は、尖閣諸島を日本領だとする李登輝氏の主張に咬み付いた。「あなたは釣魚島は日本の物と言いうが、そこで私はあなたの立場について答えさせたい」と。

これに対して李登輝氏の回答は「清朝が台湾を日本へ割譲する際、釣魚台は台湾の属していなかった」と明確だった。

ちなみにこの歴史事実は、中国人の尖閣領有の主張を根底から覆すものである。

それでも「国民党も釣魚島は中国の一部と言っている」と返す留学生に、李登輝氏は「中国人の思想は証拠がない場合が多い」と反論。「もし日本領ではなく、台湾、中国の物と言うなら、その証拠を出してみなさい」と、学生へ一歩一歩近づいて行くと、あまりの熱意に側近らは健康状態を懸念。司会もここで終了を告げ、質問を遮った。

だが留学生はそれを無視。李登輝氏への憎悪の念に燃えていたのか、それとも李登輝氏との議論に勝ち、本国で名を上げようとでも思ったか。さらに質問を続けた。

■「歴史の真実を知れ」と中国人にメッセージ

「あなたの講演を聞いていると、台湾は各王朝から捨てられ、管理されなかったかの印象を受けるが、しかし三国時代の東呉の歴史には台湾の記載があり、元も澎湖に巡検使司を置いていた。別に清の劉銘伝時代から(開発が)始まったわけではない」と、「台湾は古来中国固有の領土」との歴史捏造宣伝を裏付けるための中国公式史観を持ち出した。

そこで李登輝氏は「台湾人は元々どこからも管理されていなかったのだ(中国の領土ではなかった)」「台湾の歴史を理解しなければだめだ。台湾人は可哀想なのだ。(外来支配を受け続けた)悲哀がある。なぜかわかるか」と聞かれ、「日本が長く統治しすぎたから。思想などに影響を与えた」

「日本は台湾を近代化したのだ。これを否定してはいけない」と言うと、すかさず「台湾の近代化は米国の影響だ」と言って話を遮ろうとし留学生。そこで場内はブーイングの嵐。司会が慌てて制止する場面も。

だがここで李登輝氏は「そんなに台湾史に興味があるのか」とやさしく語りかけ、台湾史に関する書籍を留学生に贈るとともに、自身の名刺を渡した。

李登輝氏がこのとき若者に伝えたのは「真実を知れ」と言うことだ。

かくてこの日の講演会は終了したのだった。

かつて台湾では、国民党政権による取り締まりへの恐れから、「台湾は中国の一部ではない」「尖閣諸島は台湾の領土ではない」「日本は台湾を近代化した」と言った事実を語ることも憚れ、逆に中国人の歴史捏造が定着してきたが、そうしたものへは勇気を以って反論し、論破し、中国を恐れずに台湾の存在、尊厳を守り抜く姿勢の大切さを、この日大勢の学生は李登輝氏から学んだのではないだろうか。

中国人とのトラブルを恐れ、その歴史捏造の前で反論を控え、かえって中国を増長させ、その結果トラブルを拡大させてしまう日本人も、李登輝氏の姿勢に学ぶべきだ。

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動画ー李登輝氏と中国人留学生とのやり取りを報じる台湾のTVニュース(中国語)

李登輝與中國生激辯−民視新聞
http://youtu.be/WKj9HBrLRJ8


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