台湾独立建国聯盟日本本部 林 省吾
2022年は中日国交樹立50周年に当たるが、中国は中日関係を氷点にまで冷え込ませることを意に介していないようである。第20回中国共産党大会が終わった後、世界各国は「台湾有事」がすぐそこまで迫っていると認識している。台湾が準備不足であることは衆知のとおりだ。だが、筆者は問いたい。日本は準備ができているのか?と。
一部の台湾人は日本の自衛隊が台湾防衛に協力してくれることを期待しているが、このような期待は幻想に近いものだと筆者は言わざるをえない。かつて前例がなく、かつ現行制度の規範のもとでは、自衛隊が在台日本人を避難させるために台湾にやって来ることさえ問題なのだから、防衛協力などはさらに夢物語だ。それどころか、台湾有事の際には、台湾側に航空機を提供して在台日本人の避難に協力してほしいと考える日本の政治家さえいる。そうすれば日本国内における煩雑な手続きや責任の追及を回避することができるからだ。
自衛隊の手足を縛っている法的な問題をさしおいても、自衛隊と台湾軍の間に実務的な連絡手段がないということは深刻な現実である。今のところ、日本台湾交流協会に自衛隊の背広組(文官)の自衛官を一人だけ駐在させる予定だ。しかし、緊急事態発生時における双方の対応と協力について話し合うためには、どうしても制服組(武官)が行なわなければならない。浜田靖一防衛大臣は制服組の自衛官を台湾に派遣する意向だという情報もある。台湾側にできることは、まず軍と自衛隊が交流する窓口を用意することである。この方面における人材の登用と育成は一刻の猶予も許されない。
日本の官僚システムはかなり保守的であり、法律があれば法律に従い、法律がなければ前例に従うというもので、前例がなければ何もしないし、できない。このため台日関係をゲームのルール上に制定することが非常に重要である。近年、日本の知台派はアメリカの台湾関係法に倣って「日台関係基本法」の立法化を訴えてきたが、実現は容易ではない。同法案の草案を作成した政治学者の浅野和生氏は、最近開かれたシンポジウムで、「第20回中国共産党大会が終わり、台湾に残された時間は僅かだ」と指摘し、「(日台関係基本法が)立法化される前に、従来の台日交流のやり方に沿って、日本台湾交流協会と台湾日本関係協会が実際に緊急事態が発生した際の対応について協定を結べばよい」と提案した。
以上の観点から、筆者は台日にはもう時が熟すのを待つ時間的余裕はないと考える。法的にはもちろん「日台関係基本法」の立法が不可欠であるが、相互に信頼できる実務的なコミュニケーション手段を直ちに構築し、台湾有事に備えた砂盤演習を行なわなければならない。台湾が戦争を回避できる唯一の方法は、武力行使によって敵が被る代償を引き上げ、台米日三者の安全保障の仕組みを実務的に推進して、敵が誤った判断を下すのを効果的に阻止することだ。
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