「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
習近平は間違いなく世界一の権力者である。彼はきっと、超大国・米国の権力者であるトランプが何故暴露本に悩まされるのかは理解できないであろう。あんな、とるに足りない著者は、牢屋に入れるか、暗殺するかが当たり前だろうと。
19回共産党大会を経て習近平はほぼ完全に党・政・軍を掌握しており、毛沢東以来の権力者になっている。我々みたいな凡人なら、この辺で権力を満喫するのだろうが、さすがに不世出の習近平はそれでも満足できないのである。彼は完全な権力者にならなければならないのだ。完全な権力者とはなにか。偉大なる中華文化に照らせば、答えが自ずと出てくる。それは道徳的にも、思想的にも、能力的にも完全無欠な人間であるということだ。
習近平の過去を辿ってみると、彼の思想形成に強く影響を与えているのは実は青少年期に経験した文化大革命であることがわかる。だから彼の言葉そのものも話し方も文化大革命式だと言われている。彼が崇拝してやまない毛沢東が発動した文化大革命は、習近平の血となり肉となり、心と体の切り離すことのできない一部になっているのである。
だから権力を固めた習近平が、真っ先にやることは文化大革命の汚名を除去することであり、中学生が使う歴史教科書を改正して、「動乱と災難」と評価される文化大革命を、「紆余曲折の中で前進する歴史の中の一部である」と正当化するのである。
経済も軍事も世界に大きな影響を与えている今の中国がどのように考え、どのように動くのかは、世界の人々の関心事であることは言うまでもない。しかしその答えは案外簡単かもしれない。独裁国家の行方は独裁者の一存によるのだから、中国の動向を予測するには、まず習近平の胸中を知ることであろう。そうであれば、世界中の中国ウオッチャーのやるべきことは、文化大革命を再度研究し直し、毛沢東の当時のふるまいを詳細に検証することになろう。
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