ー中国大使館はGHQとなるか
永山英樹
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■中国の次期大使は「温厚」か
中国政府は次期駐日大使に程永華駐韓国大使を充てる人事を決めた。日本政府は
これに同意する見通しで、早ければ三月中にも着任の見通しだ。創価大学での留
学経験を持つ程永華氏は「日本語に堪能で、温厚な人柄でも知られ、日本の政界
や経済界に幅広い人脈を持つ」(読売)知日家として知られる。
従って対日関係重視の起用と報じられている。東京新聞は「民主党政権との意思
疎通を深め、日中交流を緊密化するため」の任命だと分析している。時事通信は
「迷走気味の民主党政権への対応を重視した結果とみられる。中国政府関係者は
『対日外交は特殊。民主党政権は現在、米軍普天間飛行場の移設問題などを抱え
ており、一層複雑な動静を読み取る能力が求められる』と強調する」と伝える。
ところで「幅広い人脈を持つ」と言うのは、それほど政財界に強い影響力がある
と言うことだろう。「温厚な人柄」が日本人を取り込む武器のようだが、時には
属国に対する宗主国の役人の如く「温厚」ではない一面をのぞかせることもある
のである。
■台湾支持の民主党議員たちに加えた圧力
今から六年前の二〇〇四年のことだ。台湾では四七年に中国軍(国民党軍)が台
湾住民を大量虐殺した「二・二八」事件の記念日である二月二十八日、李登輝前
総統の呼びかけで、本島の北端の和平島から南端のガランピ岬までを人間の鎖で
つなぐ「手護台湾」のデモンストレーションが実施された。
その目的は中国の軍事侵略から台湾を守る台湾人民の決意を世界に示すことにあ
った。だから中国としては決して座視できるものではない。デモには世界的に有
名な英国の俳優、ショーン・コネリーも参加する予定だったが、直前になって急
遽取り止めたのは中国の圧力のためだったとも言われる。それでも当日は動員数
百万人の予測を遥かに上回る二百二十万人もが参加した。これは全人口の約十分
の一に当たる。これほど超大規模の感動的なイベントだった。
実は当初は日本からも民主党所属の八名の国会議員も参加を決めていた。そして
これを察知したのが中国大使館だった。ただちに公使が二人の参事を引き連れて
民主党本部に乗り込み、机を叩いて訪台中止を要求したのだが、この公使が程永
華氏なのである。
同氏らはさらに八名の議員にも脅迫電話をかけた。その結果、大江康弘参院議員
(現改革クラブ)と中津川博郷衆院議員を除く六名は出発間際になって訪台を断
念したのだった。
■「GHQになった中国大使館」の工作実態
程永華公使らの行為が明らかになった直後の同年三月、在日台湾人が発行するメ
ルマガ「台湾の声」の林建良編集長が中国の圧力にいとも簡単に屈した民主党を
批判する抗議の文章を発表するとともに、同党の本部、そして当時の菅直人代表
、岡田克也幹事長への抗議の呼びかけを行っている。
文章は以下のようなものだった。
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GHQになった中国大使館◎林建良 (2004年3月17日)
昨年暮れ、台湾の防衛性国民投票の実施について、外務省が中国の意向に従い、
台湾に無礼な干渉をした。その外務省の愚行を糾したのは、今まで台湾とのかか
わりの少なかった民主党所属の長島昭久、中津川博郷両衆議院議員だった。両議
員は国会の場で安全保障と民主主義の観点から台湾の国民投票を支持し、それを
妨害する外務省の暴挙を厳しく追及したのだ。更に、中国のミサイルの脅威に脅
かされる台湾国民を行動で励まし、勇気づけるため、中津川議員は民主党国会議
員に呼びかけて、2月28日の百万人「人間の鎖」に参加することを決めた。
しかし、出発前日の2月26日に中国駐日大使館の程永華公使と参事2名が民主
党本部に乗り込み、机をたたいて横暴な態度で議員の台湾訪問をやめさせようと
したのである。さらに訪問を予定している8名の議員に電話をかけ、「台湾訪問
はあなたのためにもならない」とも脅迫した。その恫喝が功を奏し、6名が急遽
訪問を取りやめた。実際に訪台したのは中津川博郷衆議院議員と大江康弘参議院
議員の2名だけであった。ところがこのような中国大使館の野蛮な干渉に対して
、民主党は抗議も公表もせず、ただ黙り込んでいる。党の中枢が中国公使に動か
されていることを、なぜ民主党の党員たちは許してしまうのか。この乱暴な内政
干渉に、なぜ民主党が抗議しないのか。これでは日本の最大野党である民主党は
中国に臣服し、中国大使館の下部機関成り下がったに等しい。
いうまでもなくこのような中国の日本に対する干渉はなにも政治家の台湾訪問に
対してだけではない。中国大使館などはかつてのGHQさながらで、日本のマス
コミの報道に専任の担当者を配属させ、記事の一言一句まで細かくチェックして
おり、気にくわない記事があれば、すぐさま横やりをいれるが、実際その検閲の
効果は上がっている。日本のマスコミはそのために神経質になって自己規制して
いることはすでに周知の通りである。それに飽き足らず、中国大使館は日本の細
かな行政の業務にまで嘴を突っ込んでいる。東京都の法輪功のNPO登録に、自民党
の大物議員まで動員して牽制したことを、東京石原都知事が3月8日付の産経新
聞への寄稿で明らかにしている。もちろんこうした例は氷山の一角にすぎない。
闇の世界では、在日中国人は売春、殺人強盗などの犯罪引け請け人となり、新宿
歌舞伎町などの歓楽街では、日本のやくざも手を出せないほど、中国マフィアが
跋扈している。密入国の中国人によるピッキング強盗や、殺人強盗の凶悪犯罪な
ども蔓延している。このように、日本全体が裏からも表からも中国の悪勢力に蝕
まれているのだ。
中国は常套手段として、あらゆる方法で他国の政治家を堕落させ、その腐敗した
政治家を意のままにコントロールしようといている。今の日本の現状をみると、
その政治疫病は中央から地方まで蔓延しているようであり、実に危険極まりない
。民主党の上層部は大丈夫なのか。
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■「対日関係重視」とは日本支配の強化以外にない
この一文が指摘するように、中国大使館の任務は日本の政党、政治家をコントロ
ールすることにある。現職の崔天凱大使は日本語もできず、政財界との関係を思
うように深められずにいると言われる。だから「幅広い人脈を持つ」と言う程永
華氏は、まさに後任として、その任務を遂行するには極めて適した人材と言えよ
う。
しかも相手となる政権は、今やかの民主党が担っている。「意思疎通」はすでに
十分にできることだろう。
だから程永華氏の起用を「対日関係重視」の象徴などと喜ぶわけには行かない。
中国が望む「対日関係」とは何かを知るべきだ。
中国大使館が「GHQ」だとはよく言ったものだ。かつての連合軍総司令部の如
く、同大使館は日本政府に対するコントロールをこれまで以上に強化することが
予測されよう。
ところで六年前、堂々と訪台した大江、中津川両氏は、台湾では大変な拍手と喝
采を浴びた。
中国を恐れることもなく、日本の政治家として苦境に陥るこの国にエールを送り
に来たのだから当然である。日本人の勇気とまごころを示して台湾国民を感激さ
せ、日本の信頼を取り戻した二人の姿に、これからの日本の在り方を見て取るこ
とはできないだろうか。