台湾の声
来年1月14日の台湾総統選挙投票日まで残り1ヶ月を切った。再選を目指す中国国民党の現職・馬英九総統に、野党・民進党の蔡英文主席、親民党の宋楚瑜主席が挑戦する3つどもえの戦いとなっている。
台湾のテレビ局「TVBS」が12月10日に発表した世論調査によると、3候補の支持率は、馬39%、蔡39%、宋6%と、馬氏と蔡氏の支持率が伯仲している。
国民党寄りとされる新聞「聯合報」が12月12日に発表した世論調査は、馬42%、蔡35%、宋10%であった。
一方、若者の意見が反映されやすいネット世論は、蔡英文氏が大幅にリードしている。「Yahoo!奇摩」が12月12日〜14日に実施したインターネット投票によると、蔡59%、馬29%、宋11%という結果が出た。
馬総統は両岸関係改善による経済成長率の伸びを盛んに強調しているが、台湾の若者の就職難や賃金低下によるワーキングプア、さらにハイテク業界の不況による無給休暇の実施など経済政策の失敗に対する20代〜30代の不満が強まっている。
また、国民党が蔡英文氏が2007年に立法院副院長を辞任後にバイオテクノロジーの会社「宇昌」の会長に就いた件について、会社設立の過程で行政院副院長の立場を利用して「極機密」扱いで政府資金を融通し、汚職を働いたと批判しているが、当時の文書を公開した劉憶如・行政院経済建設委員会主任委員は、13日夜に、蔡氏が行政院副院長在任中に職権乱用して新会社の会長ポストを準備したとして批判していた文書の日付が、民進党が反論した通り蔡氏が副院長退任後であったことを認め、謝罪した。民進党は文書偽造の疑いで劉主任委員ら嘘の暴露で世論をミスリードした国民党議員、呉敦義・行政院長の妻ら計5人を告訴した。「蔡英文は11億元(約28億円)もの国のお金を自分たちの会社に流したのは極機密なのか」と蔡氏を批判していた呉行政院長の妻・蔡令怡氏も14日夜、「言い間違いだった」と発言を撤回した。選挙向けの露骨なネガティブキャンペーンを繰り返す国民党の動きは、逆に台湾国民の反感を買っている。