【台湾総統府広報官】歴史を振り返る意味とは何か

【台湾総統府広報官】歴史を振り返る意味とは何か

台湾の声編集部 多田恵

先週、東京都内で開かれたある研究会で、台湾の総統府の広報官が講師に招かれた。質疑応答の時間、参加者から、蔡英文政権は転型正義(移行期の正義)を重視しているが、台湾を統治した日本の責任を追及することになるのかというような質問があった。

この研究会のルールにより、引用するためには本人の了解が必要なため、どのような答えがあったか、本稿の執筆時点において引用することは控えるが、2月に台湾で報道された次のような考え方の延長にあるものであった。

『聯合報』の丘采薇(きゅう・さいび)記者が2017年2月24日に出した「中国が228事件の記念イベントを行う 総統府:歴史は鏡」というオンラインニュースによれば、中国が228事件関係の記念活動を挙行すると発表したことについて、総統府の黄重諺(こう・じゅうげん)広報官は次のように語ったという:

「民主国家である台湾の人民が228事件を記念する最も重要な精神は、教訓を学び取るためであり、人民こそが国家の主人であり、自由民主こそが国家の基であることを記憶に刻み込むためである。このような認識と実践を持つことにより、政府は人民に対して暴力で向き合うということがなくなる。異なる主張や意見も、人を罪に陥れる言いがかりとなるのではなく、十分に包む込まれ広く討論されることにより、最終的には進歩のための力としてまとめられるようになる。いずれの社会であれ、この基礎に立って討論し、深く悟り、なおかつ改革に務めるという記念と反省であってこそ価値があるのだ。」

「歴史は鏡である。自分自身に向き合うのが反省であり、それによりどのように盛衰が決まるのかを知ることができる。他人に向ければ、歪曲ですらあって、自分のことが見えないばかりではなく、前に向かって歩みだす機会を失うことにもなる。」

つまり、歴史の反省とは自らが前進するためのものであり、自らの問題から目をそらすために他人に目を向けさせるというのでは意味がない、ということであろう。中国が228事件を記念したとして、そこから民主主義や自由の尊さを学び取らない、さらには実践しないならば、全く空虚だという批判でもある。

以下は引用部分の原文である:

「作為民主国家,台湾人民紀念二二八最重要的精神是要記取教訓,牢記人民才是国家的主人,牢記自由民主才是立国的基石,有這様的体認及実践,政府就不会対人民暴力相向,不同的主張和意見,都会因為被充分包容、広泛討論,終究凝聚成進歩的力量,不会成為入人於罪的藉口。至於任何一個社会,願意站在這個基礎上来討論、深省並且来惕励改革,這様的紀念与省思才有価値。」

「歴史是一面鏡子,対著自己是反省,可以知興替,向著別人,甚至是扭曲的意義,不但看不到自己,還蹉[足它]了向前走的機会。」


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