初めてお便りを差し上げる湾生の者です。
台湾総統府の黄重諺(こう・じゅうげん)広報官の見解をご紹介いただきありがとうございます。その論調の格式の高さに敬服いたしております。
なぜ、中国当局が今更のように「228事件関係の記念活動を挙行する」という挙に出てきたのか。
馬英九を筆頭とする一味を抱き込んで台湾を中国にしてしまおうとする企(くわだ)てが先の台湾総統選挙で完膚なきまでに崩壊したことを受けてのことと思われます、忌憚なく言わせていただけるのなら、中国当局はまず、自らの国民に対して行った「天安門事件関係の記念活動を挙行する」ことが物事の筋ではないのかとの感があります。
黄重諺広報官の広報官に代表される台湾の方々の見解は、今更のように台湾の方々に取り入ろうとする中国の企みを見事に叩き斬っていて、その崇高な心根が感じられる内容に深く感動いたしました。次元の違いは明白です。
1945年に台北で生まれ、父も台北生まれ、母も台北育ちということで祖父母の代に台湾で生活を始め、5歳で引揚げて強制送還された私にとって台湾は心の故郷です。
50年の植民地支配の良し悪しは善悪いずれも多々あると思います。しかし、今、大切なことは台湾の方々が心に刻んでおいでの覚悟、すなわち日本の植民地として支配された経緯も含めた自らの歴史認識の確立を通じてのみ台湾という共同体が21世紀を越えて真に発展していけるという覚悟ではないでしょうか。
この覚悟を支持・支援していくことが台湾に心を寄せる私たちが今、なすべきことである思います。
貴重な台湾の声をほんとうにありがとうございました。
伊東 進
—
台湾の声