メルマガ版「台湾は日本の生命線!」より転載
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台湾の李登輝元総統が検察当局から、総統時代に国家機密費を着服し、シンクタンク設置の費用に充てたとして、公有財物横領の罪などで起訴されたが、この件に李氏が関与したとの証拠は出されていないらしく、与党国民党内部でも有権者の反発を恐れ、批判の声があるらしい。それほど検察が強硬姿勢を見せる背景には、何としてでも来年一月の総統選挙で、李登輝氏が支持する民進党候補の蔡英文氏に勝たなければならないとの、馬英九政権の焦りがあるのだろう。もしかしたらそれはまた、同政権の後見人とでもいうべき中共の焦りの反映かもしれない。これら中国人たちは、蔡氏に政権が奪われ、台湾が再び台湾の民を主とする国(つまり民主の国)に回帰していくことを恐れているのだ。
とにかく国民党の在台中国人勢力にとり、「法律」は政敵弾圧の重要な武器だ。その武器の矛先をいま、彼らにとっては憎んで余りある「台湾民主の父」に向けていると、多くの台湾国民は受け取っている。
そうした中、起訴された翌日の七月一日、李登輝氏は国民宛のメッセージを発表している。今私の手元にあるのは同氏がフェイスブックで載せたものだ。そこでこれを日本語に訳し、下に掲げたい。
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特捜部が昨日、国家安全局機密費の件で私を起訴したことに対し、私はまず各界からご声援をいただいていること、気にかけていただいていることに感謝したい。
私はこれまで一貫して司法を尊重してきた。総統在任中も司法の独立のために努力し続けた。そして公私をはっきりと区別し、私情を挟まなかった。なぜなら、公平正義の司法を打ち立てることで、初めて民主体制の長久的な発展を維持できるからである。これが私の絶対的な立場、態度なのだ。
この案件に関し、大勢の人が私の考えを聞いてきたが、先ず特捜部のニュースリリースを見れてほしいと伝えたい。私に関わる部分についてはまったく証拠のないことがわかるだろう。
私の事務所の主任の表情が厳粛なのは、私の指示によるとか、彼は私との関係がいいから、彼のしたことはみな私が知っているはずだとか、私たち三人が密かに企んだなどといっているが、そのどれもが作り話であり、総統としてやってはならないことなのだ。この件に関して、私はあまり多くは語りたくない。なぜなら多くは検察官が自分で考え出したものだからだ。
私は、総統就任当時、考えなければならないのは国家と人民のことであり、国家、人民に有利なことは推進したことだけは強調したい。しかしどのように執行したかについて、私はあまり細かくは聞いていない。今後司法に関わることは弁護士に委ねることにする。
私は白い布が黒く染められるほど、この社会で公共正義が失われているとは思いたくない。私は神の存在を信じている。
私は公職着任以来、一貫して公私をはっきりと区別してきた。今日になって歪曲、誹謗に直面したわけだが、自身が無実であることだけは絶対に譲らない。私は断じてこのようなことで打倒されることはない。台湾の主体性と民主の発展を守るため、これからも主張すべきことは主張し、行うべきことは行っていきたい!
最後に私が言いたいことは、私はすでに年を取って九十歳となり、死ぬことも恐れていないことだ。どのような圧迫手段も恐れることはしないのである!たとえこの李登輝は死んでも、台湾にはまだまだたくさんの李登輝がおり、台湾の民主のために奮闘し続けるものと信じている。私は息をしている限り、皆さんととともがんばりたい。子孫の幸福のため、私たちの国家のためにがんばりたい!
みなさん、ありがとう。皆さんのご健康と、すべてが順調であることをお祈りします。
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メッセージは以上のようなものだった。
「公私を区別してきた」を強調する李登輝氏。「区別できない」のが中国人の習慣で、国民党も国家、政権を私物化してきたわけだが、そうした前近代的な状況を打破したのが、台湾人である李登輝氏が推進した民主改革だった。ところがその李登輝氏を、いまや「公私の区別なし」と国民党の中国人が非難しているわけだ。あたかも復讐に乗り出すがごとくに。
ここに見られる「たとえこの李登輝は死んでも、台湾にはまだまだたくさんの李登輝がいる」との言葉に、知人の台湾人はいたく感動していた。「これは台湾人への激励の言葉なんだ」と。
李登輝氏も台湾人民も、負けるなと声援の声を送りたい。