作者: 佐藤 千枝
台湾に通い始めて二十数年。初めて台風にぶつかった。
台湾の同人イベント《ファンシー・フロンティア》(以下FF)にサークル参加すべく、S先生・K夫妻・Hさんと、7月下旬に台湾へと旅立った。
今回の日程は4泊5日。FFには4日目の日曜日に一日参加予定。唯一の気がかりが台風!
渡台の直前に台風「尼莎」(Nesat:7月25日発生台風9号)が台湾に近づいてきていた。でも台湾の天気予報でも台風の進路は台南を通って台湾南部を横断するコース。「台北は大丈夫だね」と安心しきっていた。
ところが旅行二日目にテレビの天気予報で、「尼莎」のすぐ下に台風「海棠」が発生(カイドウ、Haitang、台風10号。7月28日)。「海棠」が「尼莎」を押し上げ台風が台北直撃コースに(/― ̄;)。
ゲッ! 台風が来るぅ~。Σ(゜◇゜;)
この日、偶然バスの隣の席に座った少年が翻訳アプリで「明日、台風がログインします」と教えてくれるくらい地元民も警戒するレベルの大きな台風が来るぅ~。
3日目の午前中は晴天。2時に変身写真館に入った時は、確かに太陽がさんさんと輝き、台風が近づいてるなんて信じられないくらいだったが、窓が無い店内に数時間滞在し撮影が終わって、カメラマンが「台風、気ヲツケテ」と言って帰って行ったとき、雑居ビルの階段前のカーテンが揺れていた。
ここ三階なのに外はここまで届く強風が吹いてるのか?と呑気に考えながらエレベーターで一階に降りると外は暴風雨!
何?この天気の変わり様!
とりあえず近くのワンタンの食堂で夕食を食べることになったが、ドアが無いタイプの食堂なので、食べてる間にも、強風で物が飛ばされたのか、ぶつかったのか、凄い音がして振り返ると、食堂のオジサンもびっくりして外を眺めてる。台湾人も驚く位だから、この台風は大きいらしい。
食事が終わりタクシーでホテルに帰ろうとするが、全てのタクシーに客が乗っていて止まらないので、地下鉄でホテルまで帰ることに。
食堂から駅まで直線コースだが2ブロック先だ。台湾の歩道は屋根付きなので雨を避けながら進めるのだが、路地や交差点は豪雨の中、行かねばならない。
信号待ちの間にS先生は「洋服の青山」の看板が落ちるのを目撃(嵐の音が酷くて私は気づかなかった)。
私のほうは雨の様子を見ながら青信号を待ってると、ゴウっと、いきなり強風が!フラッと身体のバランスを崩し、若い台湾人女性にぶつかってしまった。「すみません!對不起(ごめんなさい)!」と何度も謝ったが、風で身体煽られたのは初めてだなぁ。
信号が青になると暴雨の中を猛ダッシュ。
あれ?意外と濡れない。無事に地下鉄駅に到着。電車は運行していてホテルの最寄駅に着いた時には雨が少し弱まっていた。
ホテルではS氏の部屋に集合して、お茶やお菓子を食べながら台湾の台風報道番組を見ていると、仕事が終わったがバス・電車が動いてなくて帰れないデパートの店員さんの様子や、台風の天気図や衛星からの写真など、台風の情報が次々と映し出されていく。
洪水の夜の街を、水に浸かりながらレポートしている若い女性アナウンサーが暴風雨に飛ばされそうに!
そこへ素早く男性スタッフが彼女の元へ。助けに来たかと思いきや、そのまま彼女を支えて撮影続行!(ノ゜⊿゜)ノ
他にもカッパで顔があまり見えないのにイケメンだと解る男性アナウンサーの現地リポートとか、凄いな台湾のテレビ局!
雨の中、上半身裸のオッチャンが『この先の道は水没しているからUターンしろ』とボランティアしている姿や、ミニスカートで台湾の雨量予報図の前に立つ女性アナウンサー(S先生がジャマ!と怒ってた)、台風が去った後の水没した道で、短パン姿でレポートする若い女性アナウンサー等々。
テレビで台風情報を見ていると、K夫人のスマホに明日のFF中止の連絡メールが(/― ̄;)。
確かに現在すごい嵐だし、テレビでも
あちこちの洪水の画面が映し出されてる。仕方がないかぁ。と一同納得はするが、残念だ。(T_T)
翌朝。最上階の食堂に行くと、窓から青空が見えてる!
台風一過の晴天じゃないか!こんなにこんなに天気が良いのにイベントが中止なんて納得出来ん!
食後、ホテルの近所を歩き回ってみると、公園の木々の枝がたくさん落ちていて清掃職員たちがあちこちで掃除をしてる。
たくさんのお店のガラスには、大きくバッテンのテープが張ってあり、会社のシャッターが強風でヒシャゲてたり、玄関に防水ガードが設置されてたり、看板が落ちてたり、駐輪バイクが並んで倒れてたり、有名パン屋チェーン店の「一之軒」のシャッターに、
台北市が7月30日の出勤停止勧告を取り消した場合、9時営業開始。
7月30日午前中の出勤停止勧告の場合、12時営業開始。
7月30日終日出勤停止勧告の場合、一日休業。
という張り紙が貼ってあったりと、台風の爪痕があちこちに。
東北や関東で見る台風の被害とはレベルが違うと思った台湾の台風であった。
—
台湾の声
バックナンバー
http://ritouki-aichi.com/category/vot
登録/解除
http://taiwannokoe.com/register.html
Facebook
https://www.facebook.com/taiwannokoe
Twitter
https://twitter.com/taiwannokoe
★こちらから関連ファイルをご参照ください:
2866
2868
2874
台風1
台風3
※この記事はメルマガ「台湾の声」のバックナンバーです。
講読ご希望の方は下からお願いします。