【主張】尖閣海域での「中国漁船」暴走は民主党政権への試金石

【主張】尖閣海域での「中国漁船」暴走は民主党政権への試金石

永山英樹
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九月七日午前、尖閣諸島の久場島から北北西約十二キロの日本領海で、パトロール中の海上保安庁第十一管区海上保安本部所属の巡視船「よなくに」が、操業中と見られる中国のトロール漁船を発見。退去警告のため接近したところ、漁船が動き出して停止する「よなくに」に衝突し、看板の手すりの支柱を折って逃走した。その後巡視船「みずき」が並走したが、漁船は急に舵を切り、これにも体当たりを行った。

その後漁船は停船し、「みずき」乗組員の立ち入り検査を受けているが、その後の経過はまだ不明だ。

この領海侵犯の暴走漁船は、もしや中共から何か指示を受けていたのだろうか。日本側の反応を見るための挑発行為だった可能性もある。

一昨年の海保船に接触した台湾遊漁船の沈没で、日本側は台湾に謝罪した。中国もこうした妥協を日本から引き出し、領土問題で攻勢に出る機会をうかがっていることも考えられる。

はっきり言えることは、民主党政権発足後、東支那海を睨む日米同盟の空洞化が進むなか、中国が同海域で海軍や国家海洋局による軍事的挑発を繰り返し、日本の出方を図ってきたことだ。

あたかも民主党代表戦に臨む小沢一郎前幹事長が普天間基地の国外・県外移設(沖縄基地の抑止力低下)を口にし出したばかりの時期である。いよいよ中国が尖閣侵略に乗り出し始めたかとの懸念も拭えない。

九月五日のNHK討論番組で小沢氏は尖閣諸島について、「歴史上中国の領土になったことは一度もない。(当初は)琉球王朝の領土で、日本になってからは日本人が住んでいた。はっきりしなくてはだめだ」と「中国の最高首脳」に言ったことがあると語った。また日中関係に関し、「日米関係の次に大事な関係だ」とするなど、「米中両国との等距離外交を意味する『正三角形論』が持論だが、封印した格好」(産経)となったそうだ。

だがこの人物が、いまなお普天間基地の「県外・国外移設」を訴えるのは、実は日中関係を日米関係に優先しているからではないのか。

尖閣諸島を「(当初は)琉球王朝の領土」だったとするが、そのような事実は一切ない。いったい同諸島の領有権と言う日中間の重大問題、安全保障上の緊急問題に関し、これまでどれほど真剣に関心を持ち、勉強してきたのかを疑わざるを得ない。

さて中国外交部の姜瑜報道官は七日午後、「中国側は釣魚島海域で二隻の日本巡視船と接触したことに厳重な関心を示し、日本側には厳正な交渉を申し入れている」ことを明らかにし、「我々は釣魚島および付属投書は古来中国領土であることを強調し、日本の巡視船に対し、釣魚島付近の海域で権利擁護の活動、そしてさらに中国漁船と乗組員の安全を脅かすいかなる行為をやめるよう要求する」と言い放っている。もっとも「中国側は事態の発展を注視し、さらに行動を進める権利を保留する」などと付け加えているが。

これに対して日本側はいかなる対応に出ているのか。中国だけでなく、国民もそれを見たがっている。

民主党政権はいま、国防の意思を図る試金石を付き付けられているのだ。


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