「中国ガン・台湾人医師の処方箋」より(林 建良著、並木書房出版)
●台湾は中国の核心的利益ではなく核爆弾である
中国が台湾の隣国である限り、政治的、経済的、環境的の影響はどうしても避けられない。しかし今や台湾にある最大な武器は軍事でも経済でもなく、自由と民主主義なのである。台湾は守りから攻めの姿勢に転じ、積極的に中国の民主化を促すことが安全保障につながるのであろう。
中国人が台湾を中国の一部だと思っているからこそ、台湾はどの国よりも中国人に影響力を持っている。中国が台湾を中国の一部であることを宣伝すればするほど、台湾の影響力も強まる。影響力の増す台湾が本気に中国の民主化運動に火をつければ、中国は分裂させられる可能性が大きい。だから台湾は中国の核心的利益というよりは核爆弾と言ったほうがよさそうだ。
●日本が協力すれば、台湾は完全な力を発揮できる
しかし、今の台湾は単独で中国と対抗するほどの環境整備ができていない。その一つの理由は国際的孤立感と、「中国を刺激するな」という国際社会に蔓延している事なかれ主義である。
台湾の力を完全に発揮させるため、アジアの大国である日本との連携は不可欠なのだが、ほとんどの台湾人は、日本は中国を恐れているあまり、台湾に政治的関心をまったく払っていないと考えている。
実際、戦後以来、日本政府が台湾のことについて、政治的関与を避けてきたばかりだが、中国の言い分だけは唯々諾々に従っている。台湾を中国の一部である中国の言い分を「理解して尊重」するのは一つの象徴であるのだ。
こうした台湾を中国に押し付ける姿勢が台湾を萎縮させ、中国ガンの膨張を増長させている。台湾人が馬英九の中国一辺倒の政策を放任しているのも、こうした孤立感から生まれた自爆自棄の心理によるのではなかろうか。
それでも台湾人は変わらず日本に熱い視線を注いでいる。3.11大震災で台湾人が日本に対する無私な行動はそのまま、台湾人の日本に対する情の深さと考えてよい。日本人は忘れているが、台湾は日本の宝のような隣国なのだ。日本政府が台湾と政府間関係を持ち、一緒に中国問題を対処していこうという姿勢があれば、台湾の持っている力も存分に発揮できるのであろう。
●日本版台湾関係法を制定し、台湾と政府間関係を持とう
ただ、日本が台湾と政府関係を持つには、まだ道は遠いかに見える。この関係に関する目途はついておらず、現在は大きな空白状態だ。これが日本にとって大きなマイナスであることは間違いない。そこでこの問題を解決するには、台湾関係法が必要だ。アメリカはそれがあるから、中国の邪魔を撥ね退けられ、台湾との政府間交流ができる。