国民新聞3月号より転載
林建良著 並木書房刊
『中国ガン―台湾人医師の処方箋』
山田智美
在日台湾人医師が世界中に害をまきちらす中国を地球に巣食うガン細胞であると論述した興味深い著書が出た。上梓した林建良氏は、覇権侵略主義、人権侵害、言論統制、環境汚染、官民挙げての犯罪行為、賄賂と搾取で成り立つ中国経済と格差問題、有害食品、偽装留学生といった中国が引き起こす諸問題の例を詳細に挙げた上で中国を「中国ガン(China Cancer)」と名づけ、一刻も早く対処しなければ地球の未来はないと警鐘を鳴らす。そして、中国ガンから地球を守るには、二千年以上も中国とわたりあってきた日本が、本来備えている武士道精神、進取・冒険の気性を取り戻し、事勿れ主義、幼稚化から脱却し、イニシアチブをとる以外にはないと結論づけている。
著者は医学的見地から中国をガン細胞に喩えて問題の本質を説き、増殖し続ける中国ガンはもはや世界中に転移しており、果てはガン細胞である中国自らも自滅すると予告する。しかし、患者を治すこと、生かせることを医師として徹底的に学び実践してきた著者は、病を指摘するだけに止まらず、有効な治療法を探し出し、処方箋を示している。この点が中国問題を扱う他書と異なる本書の最大の読みどころである。
著者は、中国ガンの全摘出は不可能なので、残された治療法はガン細胞を殺す「NK(ナチュラルキラー)リンパ球」を活性化、増殖させて中国を分裂、無害化するしかないと主張する。中国ガンに対するNKリンパ球とは、中国国内の良識派メディア、人権活動家、法輪功、天安門事件の犠牲者の家族、海外の支援勢力だと指摘し、「五つの処方箋」を示す。その五つの妙薬については、是非本書を手に取って、読んでいただきたい。
本書は単なる中国脅威論の書ではなく、中国という世界最大の問題を解決するための指南書であり、行動のための書である。