【「中国ガン」書評】ガン細胞という視線は新鮮
宮崎正弘
林建良『中国ガン 台湾人医師の処方箋』(並木書房)
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日本のガン症状もひどいが、世界最悪のガン細胞は隣国にあり。
著者の林さんは東大留学、医学博士。そして台湾「正名運動」の創設者にして台湾独立運動の闘士としても知られる。アリババのCEOに似た風貌をしておられる。いつ会っても元気いっぱい、日本人に元気を配って歩くような人だ。
さて、林医師の最新作は中国を悪性のガンと診断するところからはじまり、最後の処方箋となると、日本と台湾が協力すれば、この悪性ガンの転移は防げるというもので、中国そのものがいずれ地球を蝕むガン細胞という視線は新鮮である。
林さんはかく曰く。
「中国を理解するというのは、その本質を自然科学の観点から探求しなければ、核心を衝くことは難しい。日本では自然科学的な発想で政治を分析したりすることは少ないのだが、政治を含めた人間のすべての行為は自然の原理から離れることはできない」
それゆえに林医師は続ける。
「後藤新平は『生物学的原理』に基づいて台湾統治を行った。かれはまずヒラメを鯛にすることは出来ないという生物学的違いを認め、台湾人と日本人の違いをしっかり理解した上で統治の方針を決めると、それを実行した(中略)百年以上経って今も、台湾で生きている」
中国分析を日本と台湾からみる視座がユニークである。
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書店販売は明日20日から
「中国ガン・台湾人医師の処方箋」