「中国ガン・台湾人医師の処方箋」より(林 建良著、並木書房出版)
●アポトーシスという自己犠牲の自然現象
細胞にはアポトーシス(apoptosis)という現象が起こる。これは「細胞の自殺」のことで、たとえばオタマジャクシがカエルに変わるとき、尻尾がなくなって足が出てくるが、これも細胞の自殺だ。尻尾の役割が終わったので、自己犠牲の精神で自ら消滅していく。
人間も一個の細胞から始まり、これが分化して、肺臓や胃の細胞となっていく。人間は最初、男性と女性の生殖器の原型を両方持っているが、女性の場合、男性生殖器部分の細胞は自ら死んで行く。それは、男性生殖器部分の細胞が女性の細胞に「どうぞ」と譲って死んで行くようなものだ。肺臓が作られるときも、他の細胞が肺の細胞に場所を譲っていく。これが細胞の自死であるアポトーシスという現象だ。
このように、人間は一個の細胞からさまざまな細胞が作られる。ノーベル賞医学・生理学賞を受賞した山中伸弥・京大教授が開発したiPS細胞(人工多発性幹細胞)は、皮膚などの体細胞を「初期化」し、肺にも生殖器にもなり得る能力を持った細胞だ。受賞によりかなり宣伝されたので、一個の細胞からさまざまな細胞が作られることを多くの人が知るようになった。
成長した体でも組織ごとに細胞の入れ替えが間断なく続く。たとえば皮膚は二十八日周期で代謝する。赤血球の寿命は三ヵ月であり、胃粘膜は三日程度で変わるし、角膜などは毎週変わる。
つまり、より良い個体を作るため、また新しい生命を生むため、古いものは自ら死んでいくのだ。子供が大人になったら、親が死んでいくように、人類を含め生命とはそういう循環の中に生きている。自分の機能が駄目になったら、新しい生命に道を譲る、資源を明け渡すわけである。
●利己的で自己中心的なガン細胞
もしこのような生物的原理が狂えば、自然すべてが狂ってしまうことだろう。しかし、その原理に従わないものがある。それがガン細胞だ。
ガン細胞が普通の細胞と大きく異なる点は、まず非常に利己的で自己中心的であるということだ。ガン細胞は無限増殖する。悪性が高ければ高いほど均一性に欠けるモザイク現象を起こす。なぜなら、この細胞は「俺が、俺が」ということで他の細胞を食べる「共食い」現象を起こし、強い者が弱いものを食い尽くして崩壊させていくからだ。
ところが、ガン細胞は独自では生きていけず、必ず他の細胞に寄生して、その栄養素を奪い取って大きくなっていく。だが、ガン細胞に蝕まれた生体は最終的には死ぬことになり、生体を食い尽くしたガン細胞も、それによって死滅する。
●なぜ中国はガン細胞なのか
いまの中国を見ているとガン細胞とそっくりだ。どの特徴も中国そのものだ。
生物原理の中ではアポトーシスという「譲り合いの精神」が働いて、新しい生命が育まれる。しかし、ガン細胞にはこの精神がまったくない。ガン細胞は自己中心的だ。胃のガン細胞なら、「俺は胃だ。文句あるか」と強引に肝臓に押し入って行く。これが胃ガンの肝臓転移だ。
この自己中心的なところ、「俺さえよければそれでいい」「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」という性格は中国そのものだ。
今でも日本人の多くは、中国人は「大陸の気風がある」「悠然としている」などといった印象を抱いているようだが、中国民族の自己中心的な性格は際立っている。日常生活でも、「他人のものは俺のもの」といわんばかりで、油断も隙もないことは、中国人と深く接触している人なら知っているはずだ。
その象徴が台湾に対する態度である。戦後、台湾人は内戦で敗れて渡ってきた中国人百五十万人を寛大に受け入れた。だが、彼ら中国人は「この島は俺たちのものだ」と言って、六百万人の台湾人の上に君臨し、日本人が残した官民の資産を奪い、台湾人のポストを奪い、台湾人の財産を盗み、女性をさらうようなことまでした。そして現在、ふたたび中国は、台湾を「中国の一部だ」と言いながら、武力で奪い取ろうとしているのだから、まさに強盗国家、強盗民族である。
自己中心的だから、その社会は秩序のないモザイクだ。そして、そのモザイクが世界に広がりを見せようとしているから始末が悪い。
どんなに乱暴な人間でも、どんなに極限状態であっても、生命を後世に残そうとするものだ。
ところが中国の場合、歴史上、何百回と深刻な飢饉に見舞われ、そのたびに中国人がとった行動は「共食い」だ。その中でよく見られたのが「易子而食」(子を交換して食す)という現象だ。自分の子供はさすがに食べることができず、そこで自分の子供を他人に食わせ、それと交換に自分は他人の子供を食べるというものである。
この「共食い」という中国独特の歴史を見れば、中国人には自己犠牲の精神が働いていないということがよくわかるだろう。