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「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
台湾に関する報道をする日本のマスコミは多いが、必ずしも本当の真実を伝えているわけではない。日本のマスコミがわざと真実を伝えないというわけではなく、日本のマスコミの限界が原因。
日本のマスコミが抱えている弱点とは。
1.中国に気兼ねをしながら台湾のことを報道すること。
2.日本のマスコミは台湾のマスコミの報道や政府発表を根拠にして報道している。自分の足で取材することは稀である。
3.台湾に駐在している日本のマスコミは台湾語ができない。(北京語はできても、台湾人は北京語では本音をあまり話さない。台湾語だと本音を話す。)
この3点が日本のマスコミが台湾の実情を間違えやすいことに繋がる原因。
特に日本のマスコミ、また台湾を研究する日本人学者も間違えやすいことは、「台湾の民意は現状維持が大半」と認識していることだ。台湾に友好的なマスコミでも間違った報道をする。
「現状維持」とは、独立もしない。統一もしない。
中華民国(Republic of
China/直訳ではシナ共和国)のままでいいという民意が圧倒的多数だと、日本のマスコミはよく報道する。実はこれは大きな間違い。
実際はどうか。
最近の世論調査、正常国家文化基金会が2023年3月31日に行った調査によると、
・台湾独立賛成 54%
・現状維持賛成 20%
・中国との統一賛成 16%
なぜ日本のマスコミと台湾を専門的に研究している学者は民意とは違うことを紹介するのか。
台湾を研究している日本人学者がよく使うデータ自体が間違っている。それは台湾政治大学の世論調査だ。
台湾人は台湾政治大学をまず信用していない。
全く同じ設問を同じ時期に、
台湾民意基金会が二つの大学に対して、
同時に調査した。(2022年3月8日)
台湾大学と政治大学。
台湾大学の調査
台湾独立 52.7%
現状維持 16.9%
統一 16%
政治大学の調査
台湾独立 28.1%
現状維持 56.6%
統一 7.4%
まったく同じ時期に行われた質問がなぜここまで違うのか。
世論調査をずっと続けてきた台湾民意基金会によると
2006年以来、台湾独立の主張が多数を占めるとのこと。
なぜ台湾政治大学の統計結果はここまで違うのか。
それは台湾人がまず政治大学を信用していないから、本音で答えないからだ。
政治大学は元々国民党中央党校。
国民党の幹部養成のための学校。
現在も国民党カラーが色濃く残る。
初代学長は蔣介石。校門を入ると大きな蔣介石の銅像が目に入る。
今でも台湾人は、政治大学イコール国民党中央党校(国民党の大学)というイメージが強い。
国民党カラーが強い政治大学の調査に本音で答えたくない台湾人。そうすると「現状維持」と答えたほうが一番無難。国民党の学校に本音を語ると目を付けられるかもしれないと警戒しているから。
正常国家文化基金会が直近の2023年3月31日に行なった調査が正しいのなら、実際なぜ現状維持がまだ20%もいるのか。そしてなぜ統一を希望する声が16%もあるのか。
理由1
台湾独立を主張するマインドは特に台湾の50代以上にとっては難しいこと。「台湾独立」というワードを口にするのも難しい。台湾人の50代以上は、1945年から李登輝総統民選の1996年までずっと国民党の洗脳教育を受けてきた。
40代以下はその洗脳教育を受けていないので比較的台湾意識が強い。50代以上は国民党の洗脳がなかなか解けない。「台湾独立」イコール犯罪という意識を、洗脳された世代では持ってしまう。
理由2
あともう1つの影響は民進党。
本来民進党の綱領には台湾独立を達成するという目標が入っている。
ただししかし一方で、党内でもう1つ、台湾前途決議文というものが存在する。その内容とは「台湾はすでに主権独立している。その名は中華民国。」
今の民進党のスタンスも、すでに独立している国だから独立する必要はないというスタンス。
民進党も国民党も独立する必要がないと主張している。
理由3
中国の脅威。独立イコール戦争というイメージ。
台湾人は戦争したくないと思う人がほとんど。
理由4
日米を中心とする国際社会で台湾独立を支持するという声が皆無であること。現状維持を支持するという声がほとんど。
この4つの理由がこうした世論調査で現状維持を選んでしまう台湾人の心理に影響している。そこのような影響があっても、台湾は独立をしなければいけないと思っている台湾人は半数を超える。
自由イコール独立。
独立しなければ本当の自由ではない。
台湾は民主主義の制度を維持したい。
中国は独裁。中国統一では民主主義は成立しない。
では、なぜ中華民国体制という現状維持ではだめなのか。
なぜ台湾は独立しなければいけないのか。
独立しなければいけない理由:
1.台湾を主権独立国家と認めている国は皆無だから。
現在中華民国と国交のある13の国は台湾を主権独立国家として認めているわけではなく、中華民国が全中国を代表する唯一の合法的政権であると認めている。中華民国は中国という認識。これは台湾にとっては良くないこと。
実質台湾は戸籍がない者と同様であり、国際社会で活動できない。国際社会では「台湾」という国家は存在していないということ。
2.中華民国は「シナ共和国」。常に自分が中国の一部だと主張しているようなもの。そうなると中国に口実を与えてしまう。このままだと中国が無理やり併合しようとしても、内政問題として片づけられる可能性が高い。このままでは非常に危険。
3.台湾が自分の身分を曖昧にすればするほど、安全保障上より危険になる。
台湾人の民意は決して現状を維持したいというのではなく、台湾独立を一番望んでいるのが本来の民意。
この現状をまず国際社会に正しく伝えるべきではないか。
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