小笠原欣幸教授:「リアリズムなき外交努力・対話は無力」

小笠原欣幸教授:「リアリズムなき外交努力・対話は無力」
小笠原欣幸教授:「リアリズムなき外交努力・対話は無力」

台湾の声ニュース 2022.3.26 17:20 多田恵

 本26日、日台稲門会が対面とオンラインのハイフレックス方式で開催した春季講演会で、小笠原欣幸・東京外国語大学教授が「台湾有事と日台関係—ウクライナ侵攻から見るリスク評価と日本の役割」という題で講演した。

 小笠原氏は「中国・台湾にとってのウクライナ戦争の教訓」として、「権威主義国家が理解する言葉はリアリズム。防衛努力必須、軍事的備えを固めたうえで外交努力」と指摘。「リアリズムなき外交努力・対話は無力」だと訴えた。

 また、我々が台湾有事を抑止するために日本社会で何ができるかについて、次のような分析にもとづいて、“「台湾が大切だと思っている」私たちが,もっといろいろなところで,もっと台湾のことを語っていきたい”と提案した:

(1-1)
“日本で両極端の議論がある。1つは「台湾が抵抗しても無駄」論→「ウクライナは降伏した方がよい」と語るテレビコメンテーター・評論家がいる。台湾有事の際,同じ人が同じことをいうだろう。”

(1-2)
“もう1つは「台湾有事は虚構」論→「中国はそんなことはするはずがない,中国脅威をあおる別の目的がある」と主張する。この人たちは「中国はロシアと違う」と解釈し,無責任な「虚構論」を言い続けるだろう。”

(1-3)
“いずれも権威主義国家がほくそ笑む議論。そして,日本において「台湾有事に備えるべき」だという議論に水を差す役割をしてきた。”

(1-4)
“これら両極端の議論は,ウクライナ戦争で否定されている。”

(1-5)
“世論調査では,対ロ経済制裁への支持,中国の侵攻への警戒感が明確に出ている。台湾有事の議論がしやすくなっているといえる。”

(1-6)
“ウクライナ戦争に関連して日本の国際政治や安全保障の学者・専門家がテレビ・新聞・ネットで台湾有事への影響を語るのは大いに助けになる。”(出典:小笠原氏のスライド「ウクライナ侵攻で何が変わるのか?
日本国内の議論への影響」より)

 また、日中間のビジネスマンに対し、中国側に次のような考えを突き付けて考えさせることで台湾有事を抑制する作用があると指摘した:

(2-1)
“中国の台湾侵攻が発生すれば日中ビジネスは正常に続けることはできなくなる。サプライチェーンが寸断されるし,対中経済制裁が発動される。日中貿易に対しても,消費者・投資家・ネット民から強烈な圧力がかかる。中国からの対抗措置もあるだろう(2012年のレアアース禁輸のような手段)。地政学的リスクを意識し,シミュレーションが必要。”

(2-2)
“台湾有事になれば日中ともに大打撃を受ける。これは日中の経済界の貴重な共通語。日頃から中国のカウンターパートに「台湾有事になったら大変だ。うちはビジネスが吹っ飛ぶ。まさかないですよね」と語りかけてほしい。”

(2-3)
“中国人は台湾統一を当然のことと考えているが,共産党の言論統制で武力行使の結果どうなるかはほとんど考えていないし知らない。日中ビジネスの口コミを通じて中国の経営層・中間層にこういう情報が伝わることは一定の拡散効果がある。”

(2-4)
“自分や家族の雇用や生活を犠牲にしてまでも台湾統一を望む人民は多くないであろう。”(出典:小笠原氏のスライド「日本はどうするのがよいのか?」より)

 この講演は、明日午後2時以降オンデマンド配信が行われる予定。なお小笠原氏は『Voice』3月号に論文「台湾有事は十分に抑止できる」を寄稿している。

日台稲門会のウェブサイト:
https://nittai-toumonkai.com/


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