【黄文雄】政治利用される台湾の「鬼月」

【黄文雄】政治利用される台湾の「鬼月」

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」】

                黄
文雄(文明史家)

◆台湾の旧暦7月の「鬼月」は貞子もジェイソンも大歓迎

 梅雨が明けたら、そろそろ夏本番ですね。日本では、東北地方で「拝み屋」を営む作者が書いた
小説『拝み屋怪談』シリーズが人気で、ドラマにもなっていますね。今年も怪談の季節がやってき
たという感じです。

 台湾も、夏の怪談は日本に負けないほどあります。また、旧暦の7月(今年は新暦の8月1日~29
日)は「鬼月(きづき)」と呼ばれています。特に、日本のお盆にあたる「中元節」(新暦8月15
日)の日は、あの世の門が開き先祖だけでなく悪霊や無縁仏などが一斉にこの世にやってくるとさ
れています。

 そのため、人々は線香を焚いてお供えを用意し、「拝拝」と言われるお祓いをします。先祖の墓
参りは5月の「清明節」にしますが、「中元節」では集団でやってくる霊たちに対してのお祓いを
します。そしてそれは、個人でやるというよりは、会社で、マンション全体で、町内会で、などの
集団で行うことが多いです。

 悪霊などがやってくるため、「鬼月」の間は様々な禁忌があります。例えば、夜道を一人で歩か
ない、海など水には近づかない(霊は水に寄って来るため)、結婚式などの祝い事は控えるなどな
ど。そして、「鬼月」のころになると、テレビ番組やテレビコマーシャルにもよく霊が登場します。

 その中でも、少し前ですが、とてもユニークなテレビコマーシャルがあったのでご紹介します。
台湾では、「鬼月」になると、貞子もジェイソンも大歓迎のようですよ。

・2013 全聯SMART中元節系列廣告 貞子篇 30秒
https://www.youtube.com/watch?v=QHqzd1tMFXY

・2014 全聯福利中心 Smart中元節 貞子的報恩篇 完整版
https://www.youtube.com/watch?v=_UIQ6K23TqU

・2015 全聯福利中心 中元祈福祭 又見貞子篇 完整版
https://www.youtube.com/watch?v=-Uc8iNlAkc0

・2013 全聯Smart中元節系列廣告 傑森篇 完整版
https://www.youtube.com/watch?v=CwRCgZagojo

・2014 全聯福利中心 Smart中元節 感恩的傑森篇 完整版
https://www.youtube.com/watch?v=ogNPyty97D4

・2015 全聯福利中心 中元祈福祭 傑森回來篇 完整版
https://www.youtube.com/watch?v=GsIQTWAFKuA

 これらは、台湾の大手チェーンスーパーマーケット「全聯」のコマーシャルです。「鬼月」に台
湾にやってきた貞子とジェイソンが、台湾人から大歓迎を受け、沢山のお供えものをもらいまし
た。彼らはきっと、それらを美味しく頂いたのでしょう。

 翌年にはかなり太目になって再び台湾に現れました。太目になった自身を気にしている彼らをよ
そに、台湾人たちは再びたくさんのお供えもので歓待します。貞子もジェイソンも、その優しさに
感動し、「食べた分は運動すればいっか」とでも思ったのでしょう。とまどいながらも、台湾人の
優しさに再び感動する、というストーリーです。この楽観的で明るい発想は実に台湾人的です。

◆「台湾に台湾人はいない。みんな中国人だ」と言い放った高僧

 とはいえ、必ずしも「鬼月」を素直に歓迎できない部分もあります。

 台湾の「鬼月」では、「好兄弟(幽霊たち)」を歓迎するため、前述したようにあちこちでお祓
い行事「拝拝」が行われます。これはもともとは台湾の民間風習でしたが、近年はとても政治に利
用されているのです。台湾仏教界の高僧たちの多くは、国民党諜報部の軍人出身だからです。

 たとえば台湾の高雄市に総本山がある佛光山寺は信徒約300万人という巨大教団ですが、その開
祖「星雲大師」は、蒋介石とともに台湾に渡ってきた外省人であり、習近平とも会談したことのあ
る人物で、かつて「台湾に台湾人はいない。みんな中国人だ」という発言をしたことでも知られる
「統一派」です。台湾の仏教界には、こうした高僧が少なくないのです。

 彼らは仏教的行事にかこつけて、ことさら台湾と中国との同一性を強調するかのような発言をす
ることも少なくありません。

 台湾にはまだまだ中国との緊張関係について無関心な「無知の台湾人」が数多くいます。彼ら
は、中国人からも「呆胞(アホな台湾人)」と呼ばれています。香港人のデモについて、「呆胞」
たちがどう思い、どう行動するのか実に興味があります。

 さらに、彼らの動向が2020年の総統選挙の行く末を決めるポイントとなるのではないかとも思っ
ています。「鬼月」のお祓いに勤しむのもいいことですが、台湾の若い世代はもっと現状を冷静に
分析し、自国の未来に責任を持つ気持ちを持ってほしいものです。


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