【阿彰の台湾写真紀行】No.28「粿(kóe:クエ/ké:ケェ)」および「糕(ko:コー)」

【阿彰の台湾写真紀行】No.28「粿(kóe:クエ/ké:ケェ)」および「糕(ko:コー)」
「台湾の声」【阿彰の台湾写真紀行】No.28
「粿(kóe:クエ/ké:ケェ)」および「糕(ko:コー)」

 台湾には、餅米やインディカ米などの粉と水を使って液状にしたものに圧力を加えたり、捏ねて生地にしたものから作る餅菓子類や、小麦粉や酵母を入れて発酵させて作る蒸しパンのような食品が多く存在する。これらは本来は、神々や先祖などを祀るために、手間暇かけて作っていたお供え物だが、現代では菜市仔(chhài-chhī-á:ツァイチィア)や粿店(kóe-tiàm:クエティアム)、饅頭店(bán-thô-tiàm:バントーティアム)などで、いつでも買えるので、日常のおやつとして食べる人も多い。

 お供え物に使う餅菓子の代表的なものとして、紅龜粿(âng-ku-kóe:アンクゥクエ)、蒸しパンのような發粿(hoat-kóe:ホアックエ)とそれぞれ台湾ホーロー語で呼ばれるものがある。

 行事の際に準備されるお菓子には「粿(kóe:クエ/ké:ケェ)」および「糕(ko:コー)」とそれぞれ台湾ホーロー語で呼ばれる食品の種類がある。「粿(kóe/ké:クエ/ケェ)」は、一般的には米の粉を液状にしたもので作ったもので、水分が多く、粘り気がある。「糕(ko)」は、一般的には米、或いは豆類の粉や小麦粉で作られたものであり、水分が少なく、パサパサ感がある。ただし、米類を原料としていても「糕(ko:コー)」という名称が使われ、小麦粉が原料であっても。「粿(kóe/ké:クエ/ケェ)」という名称が使われている場合もある。 以下に各種の餅菓子と蒸しパンの類を紹介する。

●紅龜粿(âng-ku-kóe/客家語=紅粄fùng-pán、新丁粄sîn-tên-pán)

 亀の甲羅に似せて作られた紅龜粿(âng-ku-kóe:アンクゥクエ/客家語=紅粄fùng-pán:フォンパン)は、丸一日、水に漬けておいた餅米に、水を少量加えて、臼で挽いて液体にしたものに圧力をかけ、水分を抜いて粿粞(kóe-chhè:クエツェ)と呼ばれる塊を作り、この粿粞(kóe-chhè)で外側の皮部分を作り、小豆や緑豆、ピーナツ、黒胡麻などで作られた餡を包んだものだ。外観は平たい楕円形もしくは円形で、赤く着色される。上面には亀の甲羅模様や縁起の良い意味を表す漢字が型押しされ、蒸篭や蒸し器などで蒸される。

 紅龜粿(âng-ku-kóe)は神々の誕生日の時のお供え物としてよく見かける。主に天公(thinn-kong:ティーコン=道教の最高神、玉皇大帝)や三官大帝(sam-koan-tāi-tè:サムコアンタイテェ=天界、地界、水界の神)など、地位の高い神々に対してのお供え物として使われる。亀の甲羅模様は長寿を象徴していて、様々な宗教行事、伝統行事の他に誕生日のお祝いなどの時にも準備される。

紅龜粿がお供え物として用意される行事

 農曆(旧暦)正月1日~5日(春節)/農曆正月15日(元宵節)/注1:農曆2月2日(頭牙)/新曆4月5日(清明節)/農曆5月5日(端午節)/注4:農曆7月1日(鬼門開)/農曆7月15日(中元)/農曆7月末(鬼門關)/農曆8月15日(中秋節)/農曆9月9日(重陽節・敬老節)/注1:農曆12月16日(尾牙)/新曆12月22日(冬至)/注2:農曆12月24日(送神)/農曆12月30日(除夕)/注1、注3:每月1日、15日(作牙、犒將)など。

●鳳片糕(hōng-phiàn-ko/客家語=fung-phién-kâu)

 糕仔粉(ko-á-hún:コアフン=鳳片粉、熟糯米粉)で作られる鳳片糕(hōng-phiàn-ko:ホンペンコー/客家語=fung-phién-kâu:フォンピェンカウ)と呼ばれる餅菓子の主なものとして、豬肉、雞肉、魚などの動物の生贄(いけにえ)の形に作ったものや、亀の甲羅に似せて作った紅龜粿(âng-ku-kóe:アンクゥクエ)によく似た餅菓子(鳳片龜hōng-phiàn-ku:ホンペンクウ/客家語=新丁粄sîn-tên-pán:シンテンパン)や、牽仔粿(khian-á-kóe:ケンナァクエ、乾仔khiân-á:ケンナァ/客家語=錢粄chhièn-pán:チィエンパン)、紅圓(âng-înn:アンイー/客家語=柑仔粄kâm-é-pán:カムメェパン)などがある。

 原料の糕仔粉(ko-á-hún:コアフン=鳳片粉、熟糯米粉)は、餅米の粉を油を使わずに鍋で煎り、さらに磨り潰して粉にしたものであり、粘着性にとても優れている。

 かつて農業社会だった台湾では息子が生まれることは家族にとって非常に重要なことであり、農暦(旧暦)の1月15日(元宵節)などに鳳片龜(hōng-phiàn-ku:ホンペンクウ/客家語=新丁粄sîn-tên-pán:シンテンパン)や紅龜粿(âng-ku-kóe:アンクゥクエ/客家語=紅粄fùng-pán:フォンパン)などをお供え物として用意して、祖先や神々を拝み、子供が平安、健康に育つことを乞い求めた。

 鳳片糕(hōng-phiàn-ko:ホンペンコー/客家語=fung-phién-kâu:フォンピェンカウ)の作り方は糕仔粉(ko-á-hún:コアフン=鳳片粉、熟糯米粉)に麦芽糖や白砂糖から作られたシロップを混ぜ合わせ、捏ねて団子状の固まりにする。それに小豆餡などを入れ、成形する。成形の際に型が使われることが多い。弓蕉油(kin-chio-iû:キンチォイウ=バナナオイル)が使われており、強烈な果物の香りがする。昔は冷蔵庫も防腐剤も普及していなかったため、砂糖を多めに使い、長期間保存が効く非常に甘い餅菓子を作っていた。

鳳片糕がお供え物として用意される行事

 農曆(旧暦)正月1日~5日(春節)/農曆正月15日(元宵節)/注1:農曆2月2日(頭牙)/新曆4月5日(清明節)/農曆5月5日(端午節)/注4:農曆7月1日(鬼門開)/農曆7月15日(中元)/農曆7月末(鬼門關)/農曆8月15日(中秋節)/農曆9月9日(重陽節・敬老節)/注1:農曆12月16日(尾牙)/新曆12月22日(冬至)/注2:農曆12月24日(送神)/農曆12月30日(除夕)/注1、注3:每月1日、15日(作牙、犒將)など。

●鳳片龜(hōng-phiàn-ku/客家語:新丁粄sîn-tên-pán)

 長寿を象徴する亀の甲羅に似せて作られた鳳片龜(hōng-phiàn-ku:ホンペンクウ/客家語=新丁粄sîn-tên-pán:シンテンパン)は、糕仔粉(ko-á-hún:コアフン=鳳片粉、熟糯米粉)で作られる鳳片糕(hōng-phiàn-ko:ホンペンコー/客家語=fung-phién-kâu:フォンピェンカウ)と呼ばれる餅菓子の一種。紅龜粿(âng-ku-kóe:アンクゥクエ/客家語=紅粄fùng-pán:フォンパン)によく似ていて、平たい楕円形で、赤く着色され、上面には亀の甲羅模様や円位の良い意味のある漢字が型押しされている。やはり中には小豆餡などが入れられている。鳳片糕なので、強烈に甘く、強烈な果物の香りがする。

●牽仔粿(khian-á-kóe、牽仔khian-á、乾仔khiân-á/客家語=錢粄chhièn-pán)

 牽仔粿(khian-á-kóe:ケンナァクエ、牽仔khian-á:ケンナァ、乾仔khiân-á:ケンナァ/客家語=錢粄chhièn-pán:チィエンパン)は、道教の最高神=天公(thinn-kong:ティーコン=玉皇大帝)や財をもたらす神々を拝む時に使用することが多い。小麦粉または餅米(鳳片粉)で作られ、側面や上面に古代のお金を表す模様が型押しされ、財産が増えることを象徴している。道教の最高神=天公(thinn-kong:ティーコン=玉皇大帝)の誕生日や、子供の16才(成人)のお祝い、結婚の報告で天公(thinn-kong:ティーコン)を拝む時や、三官大帝(sam-koan-tāi-tè:サムコアンタイテェ=天界、地界、水界の神)など地位の高い神々の誕生日などにお供え物として使われる。もし、糕仔粉(ko-á-hún:コアフン=鳳片粉、熟糯米粉)で作られたものであれば、弓蕉油(kin-chio-iû:キンチォイウ=バナナオイル)が加えられており、強烈な果物の香り(塗料の溶剤の臭いにも似ている)がする。

牽仔粿がお供え物として用意される行事

 農曆(旧暦)正月1日~5日(春節)/農曆正月15日(元宵節)/注4:農曆7月1日(鬼門開)/農曆7月15日(中元)/農曆7月末(鬼門關)/農曆8月15日(中秋節)/農曆9月9日(重陽節・敬老節)/注1:農曆12月16日(尾牙)/農曆12月30日(除夕)など。

●紅圓(âng-înn、滿月圓móa-goe’h-înn/客家語=柑仔粄kâm-é-pán)

 紅圓(âng-înn:アンイー、滿月圓móa-goe’h-înn:モアゴエイー/客家語=柑仔粄kâm-é-pán:カムメェパン)は、一般的に中力粉から作られた蒸しパンのようなもので、中に小豆の餡または緑豆の餡が入っている。通常は赤ちゃんの満一ヶ月のお祝いの時に身内や友人に配り、喜びを分かち合う。その丸い形は円満や豊潤を表す。上部に突起した小さな円形の部分があることから母親の乳房を連想させられる。これは母乳が豊富で哺育が順調に行く願いが込められている。もし、糕仔粉(ko-á-hún:コアフン=鳳片粉、熟糯米粉)で作られたものであれば、弓蕉油(kin-chio-iû:キンチォイウ=バナナオイル)が加えられており、強烈な果物の香り(塗料の溶剤の臭いにも似ている)がする。

 道教の最高神=天公(thinn-kong:ティーコン=玉皇大帝)を拝む時や、三官大帝(sam-koan-tāi-tè:サムコアンタイテェ=天界、地界、水界の神)など地位の高い神々の誕生日などにお供え物としても使われる。円満や経済的に豊かになる願いが込められている。

紅圓がお供え物として用意される行事

 農曆(旧暦)正月1日~5日(春節)/農曆正月15日(元宵節)/注1:農曆2月2日(頭牙)/新曆4月5日(清明節)/農曆5月5日(端午節)/注4:農曆7月1日(鬼門開)/農曆7月15日(中元)/農曆7月末(鬼門關)/農曆8月15日(中秋節)/農曆9月9日(重陽節・敬老節)/農曆12月16日(尾牙)/新曆12月22日(冬至)/注2:農曆12月24日(送神)/農曆12月30日(除夕)/注1、注3:每月1日、15日(作牙、犒將)など。

●甜粿(tinn-kóe/客家語=甜粄thiàm-pán)

 甜粿(tinn-kóe:ティークエ/客家語=甜粄thiàm-pán:ティアムパン)は、一日中水に漬けておいた餅米に水を少量加えて、臼で挽いて液体にしたものに圧力をかけ、水分を抜いて粿粞(kóe-chhè:クエツェ)と呼ばれる塊を作り、この粿粞(kóe-chhè:クエツェ)に砂糖を加えてかき混ぜ、蒸しあげる。春節(旧正月)に必ず準備されるものだが、神々の誕生日の時のお供え物としてもよく見かける。幸せになること、神々から嬉しい話(縁起のいい話)が聞けるという願いが込められている。主に道教の最高神=天公(thinn-kong:ティーコン=玉皇大帝)を拝む時や、三官大帝(sam-koan-tāi-tè:サムコアンタイテェ=天界、地界、水界の神)など地位の高い神々、媽祖(航海・漁業の守護神)、王爺(病気治癒、航海安全、豊漁祈願などに効験のある神)、地基主(家の守護神)、土地公(土地の守護神)、祖先を拝む時のお供え物として使われる。

甜粿がお供え物として用意される行事

 農曆(旧暦)正月1日~5日(春節)/農曆正月15日(元宵節)/注2:農曆12月24日(送神)など。

●發粿(hoat-kóe/客家語:發粄fat-pán)

 發粿(hoat-kóe/客家語:發粄fat-pán)は、在來米(インディカ米)を使って粿粞(kóe-chhè:クエツェ=米粉を液状にし、圧力かけて水分を抜いたもの)を作り、それに小麦粉、砂糖、酵母を入れ、発酵させたあとに蒸した、蒸しパンのような食感のもの。お金儲けや昇進ができるようにという願いが込められている。發粿の上面は斬り裂けた形だが、この斬り裂けた跡を「笑い」の形と見立てている。蒸しあげると上部の避け方がさらに大きくなり、避け方が深く、大きければ大きいほど、いい事があり、大きく笑い、順調な生活が送れることを象徴している。春節(旧暦の正月)の祭り事、神々や祖先を拝む時などのお供え物や親しい人への贈り物としても使われる。

發粿がお供え物として用意される行事

 農曆(旧暦)正月1日~5日(春節)/農曆正月15日(元宵節)/注1:農曆2月2日(頭牙)/新曆4月5日(清明節)/農曆5月5日(端午節)/注4:農曆7月1日(鬼門開)/農曆7月15日(中元)/農曆7月末(鬼門關)/農曆8月15日(中秋節)/農曆9月9日(重陽節・敬老節)/農曆12月16日(尾牙)/新曆12月22日(冬至)/注2:農曆12月24日(送神)/農曆12月30日(除夕)/注1、注3:每月1日、15日(作牙、犒將)。

●壽桃(siū-thô、麵桃mī-thô/客家語su-thò)

 壽桃(siū-thô:シィウトー、麵桃mī-thô:ミィトー/客家語su-thò:スゥトォ)は、小麦粉で作られた桃の形をした蒸しパンのようなもの。中に小豆餡やハスの実やタチナタマメから作る白餡などが包まれている。誕生日のお祝いなどのお祝い事や神々の誕生日に参拝する時のお供え物に使われる。

●丁仔粿(teng-á-kóe)

 丁仔粿(teng-á-kóe:ティエンガァクエ)は、餅米(鳳片粉)から作られる長い棒状の餅菓子で、鳳片糕(hōng-phiàn-ko:ホンペンコー/客家語=fung-phién-kâu:フォンピェンカウ)の一種。農暦の4月5日、清明節(chheng-bêng-cheh:チィエンビィエンツェッ)のお供え物として使われる。形状が男性生殖器に似ていることから「膦鳥粿(lān-chiáu-kóe:ランチァウクエ)」という俗称もある。男子が生まれることや財産が増えることを願う。一種の生殖器崇拝のようだ。餅米(鳳片粉)で作られる牽仔粿(khian-á-kóe:ケンナァクエ)などと同様に弓蕉油(kin-chio-iû:キンチォイウ=バナナオイル)が加えられており、強烈な甘さと強烈な果物の香りがする。

●鹹粿(kiâm-kóe)

 鹹粿(kiâm-kóe:キィアムクエ)は甘くない餅であり、在來米(インディカ米)を使って粿粞(kóe-chhè:クエツェ=米粉を液状にし、圧力かけて水分を抜いたもの)を作り、それに大根を短冊状に切って炒めたものを入れたら、「菜頭粿(chhài-thâu-kóe:ツァイタウクエ/客家語=蘿蔔粄lò-phe’t-pán:ロォペッパン)」になり、タロイモを入れたら「芋粿(ōo-kóe:オォクエ/客家語:芋粄vu-pán:ヴゥパン)」になる。台湾語発音「菜頭粿(chhài-thâu-kóe:ツァイタウクエ)」の菜頭(chhài-thâu:ツァイタウ)は彩頭(chhái-thâu:ツァイタウ=兆し)と声調(抑揚の一種)は違うが音が同じであることから、良い兆しがあることを願うもので、「芋粿(ōo-kóe:オォクエ)」はよい仕事、事業ができることを願うものだ。また台湾語の芋仔(ōo-á:オォアー=タロイモ)には芋頭(ōo-thâu:オォタウ)という言い方もあり、芋頭(ōo-thâu:オォタウ)と好頭路(hó-thâu-lōo:ホータウロォ=よい仕事)の好頭(hó-thâu:ホータウ)と発音が似ていることから、大根とタロイモは縁起物とされている。また好兄弟(hó-hiann-tī:ホーヒアティ=弔う人のない魂)を祀る際にも用意される。

鹹粿がお供え物として用意される行事

 農曆(旧暦)正月1日~5日(春節)/農曆正月15日(元宵節)/注1:農曆2月2日(頭牙)/注4:農曆7月1日(鬼門開)/農曆7月15日(中元)/農曆7月末(鬼門關)/農曆9月9日(重陽節・敬老節)/注1:農曆12月16日(尾牙)/新曆12月22日(冬至)/農曆12月30日(除夕)/注1、注3:每月1日、15日(作牙、犒將)など。

●菜頭粿(chhài-thâu-kóe、客家語:蘿蔔粄lò-phe’t-pán)

 菜頭粿(chhài-thâu-kóe:ツァイタウクエ/客家語=蘿蔔粄lò-phe’t-pán:ロォペッパン)は、鹹粿(kiâm-kóe:キィアムクエ)の一種。在來米(インディカ米)の粉、片栗粉、水、塩、砂糖、胡椒などと均等に混ぜ合わせ液状にしておき、干しエビ、細かく切ったシイタケ、豚挽肉、揚げたエシャレットを強火で炒め、大根の千切りを加えて、柔らかくなるまで炒める。弱火にして、その中に米の粉を液状にしたものを加え、均等にかき混ぜながらドロドロにさせる。容器に油を薄く塗って、その中にドロドロの液状の米を入れて、蒸し器で蒸し上げたもの。

●芋粿(ōo-kóe、客家語:芋粄vu-pán)

 芋粿(ōo-kóe:オォクエ/客家語:芋粄vu-pán:ヴゥパン)は、鹹粿(kiâm-kóe:キィアムクエ)の一種。餅米に水を加えて挽いて米漿(bí-chiunn:ビィチゥ)=液状の米の粉を作り、それに圧力かけて水分を抜いて粿粞(kóe-chhè:クエツェ)を作る。それにタロイモを千切りにしたものやエシャレットを揚げたものを混ぜ合わせる。手の平サイズぐらいになる量を取り分けて、平たく潰し、バナナの葉の上に置き、蒸し器で蒸し上げる。主に農曆(旧暦)7月15日(中元)のお供え物に使われる。民間信仰の占いの道具である跋桮(跋杯poa’h-poe:ポアポエ)の形に似せて、弓なりに曲がった形に作られたものは芋粿蹺(芋粿巧、芋粿曲ōo-kóe-khiau:オォクエキィアウ)と呼ばれている。

芋粿がお供え物として用意される行事

 注1:農曆2月2日(頭牙)/注4:農曆7月1日(鬼門開)/農曆7月15日(中元)/農曆7月末(鬼門關)/農曆9月9日(重陽節・敬老節)/注1:農曆12月16日(尾牙)/新曆12月22日(冬至)/農曆12月30日(除夕)/注1、注3:每月1日、15日(作牙、犒將)。

●芋粿蹺(ōo-kóe-khiau芋粿巧、芋粿曲)

 芋粿蹺(芋粿巧、芋粿曲ōo-kóe-khiau:オォクエキィアウ)は、民間信仰の占いの道具である跋桮(跋杯poa’hpoe:ポアポエ)の形に似せて、弓なりに曲がった形に作られた芋粿(ōo-kóe:オォクエ)である。伝統的な民間信仰の行事に先祖を拝むが、その時のお供え物に使われる。先祖を拝む時に占いの道具、跋桮(跋杯poa’h-poe)が使われることから、芋粿(タロイモ餅)の形も跋桮(跋杯poa’h-poe:ポアポエ)の形に似せて作ってある。拝む時には子孫を守ってもらうことを願う。また、タロイモは子孫繁栄をもたらす縁起物と考えられている。

●草仔粿(chháu-á-kóe、鼠麴粿chhí-khak-kóe、艾粿hiānn-kóe/客家語:田艾粄thièn-ngie-pán、艾粄ngie-pán)

 草仔粿(chháu-á-kóe:ツァウアクエ、鼠麴粿chhí-khak-kóe:チィカックエ、艾粿hiānn-kóe:ヒアァクエ/客家語=田艾粄thièn-ngie-pán:ティエンニエパン、艾粄ngie-pán:ニエパン)は、農曆(旧暦)7月15日(中元)や新暦の4月5日(清明節)の時に用いられる餅菓子で、挹墓粿(ip-bōng-kóe:イッボンクエ)とも呼ばれている。挹墓粿(ip-bōng-kóe:イッボンクエ)とは清明節(先祖のお墓参り)にお墓を綺麗に掃除した後に、付近に住む貧しい家庭の子供達に配るという風習に使う餅菓子のことである。この挹墓粿を配るのは、お墓を壊されたり、いたずらされないようにするという目的もあるそうだ。

 草仔粿の作り方は、まず、餅米と在來米(インディカ米)に水を混ぜ、捏ねて団子状にしたものを煮て、粿酺(kóe-pôo:クエポォ)と呼ばれる餅状のものを作っておく。そして、餅米と在來米(インディカ米)に砂糖や、鼠麴草や艾草の汁をいれ、先に作っておいた粿酺(kóe-pôo:クエポォ)も加えて捏ねあげて糯米糰(chu’t-bí-thoân:ツウッビィトアン=餅米を捏ねて丸め固めた生地)を作る。そこから草仔粿一つ分の量を取り、中に、切り干し大根の千切りや、挽肉、シイタケ、エシャレットなどを炒めた塩味の餡、または小豆餡やピーナツ餡などの甘い餡を入れて成形する。成形の際には押し型が使われることも多い。そして下にバナナの葉や月桃の葉などを敷いて、蒸し器で蒸し上げる。

 草仔粿は、餅米と在來米(インディカ米)に加える草の汁に使う材料によって、名称が異なることもある。よく見かけるのは鼠麴草(chhí-khak-chháu)で作られた鼠麴粿(chhí-khak-kóe:チィカックエ/客家語=田艾粄thièn-ngiepán:ティエンニエパン)、そして艾草(艾hiānn:ヒアァ/客家語=艾ngie:ニエ)で作られた艾粿(hiānn-kóe:ヒアァクエ/客家語=艾粄ngie-pán:ニエパン)であり、葉の爽やかな香りがする。鼠麴草(chhí-khak-chháu:チィカッツァウ)は菊科の植物であり、清明節前後に多く生える。また、鼠麴草(chhí-khak-chháu):チィカッツァウを使う方が色味が増すので、両方の葉を混ぜて作ることもある。ホーロー系台湾人はよく鼠麴草(chhí-khak-chháu:チィカッツァウ)を使い、客家系台湾人は艾草(艾hiānn/客家語:艾ngie)をよく使う。祖先や土地公(土地の守り神)を拝む時にお供え物として用意され、経済的に豊かになることを願う。

草仔粿がお供え物として用意される行事

 新曆4月5日(清明節)/農曆5月5日(端午節)。

●麵龜(mī-ku)

 麵龜(mī-ku:ミィクゥ)は、民間信仰や冠婚葬祭、お祝い事などの行事に幅広く使われる、中力粉や薄力粉などの小麦粉から作られた蒸しパンのようなものだ。手のひらサイズぐらいの、ふっくらとした楕円形で、外側は真っ赤な色で、中には小豆餡、白餡、緑豆の餡、ピーナツ餡などの甘い餡が包まれている。

麵龜がお供え物として用意される行事

 玉皇大帝(天公)、關聖帝君、上元天官大帝、土地公(土地の守り神)などの神々の誕生日や、子供の満一ヶ月や、四ヶ月、一年目のお祝い、16歳の成人のお祝い、婚約、結婚の報告で神々を拝む時や、50歳以上になったお祝い、家庭の不運や不幸があった時、葬式、また家族が病気や怪我をした時などにも用意される。他に農曆正月15日(元宵節)/注1:農曆2月2日(頭牙)/新曆4月5日(清明節)/農曆5月5日(端午節)/注4:農曆7月15日(中元)/農曆8月15日(中秋節)/農曆9月9日(重陽節・敬老節)/新曆12月22日(冬至)/注2:農曆12月24日(送神)/農曆12月30日(除夕)などの行事の時。

●注1:作牙・做牙(chò-gê)
 「作牙・做牙(chò-gê:ツオーゲェ)」は毎月旧暦の2日と16日に商売人が鶏肉、豚肉、魚などのお供え物を用意し、商売繁盛を願って、土地公(土地の守り神で、財をもたらす神)を拝むこと。旧暦2月2日は土地公「福德正神」(土地の守り神)の誕生日で、年の最初の「作牙・做牙」をする日で「頭牙(thâu-gê:タウゲェ)」と呼ばれている。年の最後にする「作牙・做牙」は「尾牙(bóe-gê:ボエゲェ)」と呼ばれ、旧暦12月16日に行われる。

●注2:送神
 玉皇大帝(道教神界の統治者、天公)の弟である灶君(灶神・灶王・灶公)は年に一度、諸々の神を引き連れ天界に戻り、人間の諸々のでき事(いい事、悪い事、生活苦や病苦など)を報告する。旧暦12月23日、或いは24日に、この灶君を天界へ送ることを「送神」という。

●注3:犒將
 「犒將(khòo-chiòng:コォチォン)」は神に仕える軍隊を慰労する祭り事。毎月旧暦の1日と15日に、一般家庭や廟が行う。

●注4:農曆7月1日(鬼門開)/農曆7月15日(中元)/農曆7月末(鬼門關)
 農曆7月を「鬼月(kúi-goe’h:クイゴエッ)」と呼ぶ。農曆7月1日に「鬼門(kúi-mn̂g:クイムン)」が開き、1カ月間、先祖や無縁仏=好兄弟(hó-hiann-tī:ホーヒァティ)の霊がこの世に戻ってくるとされている。この時期、こうした霊たちにお供え物をして供養する、「普渡(phóo-tōo:ポォトォ)」と呼ばれる儀式を行う。仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)と、道教の「中元(tiong-goân:ティオンゴァン)」、民間信仰の「鬼門(kúi-mn̂g:クイムン)」が開くという言い伝えが融合し、中元節の行事になっている。
 
(台湾語や客家語の表記は「白話字」方式である。文字化けを予防するために「o・」を「oo」、母音の鼻音化を表す「上付きのn」を「nn」で代替してある。)

編集部より:「阿彰の台湾写真紀行」では、台湾在住のデザイナー、『台北美味しい物語』著者である内海彰氏が撮影した写真とエッセイをお届けします。写真は末尾のリンクから取得することができます。


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1紅龜粿

2鳳片龜

3牽仔粿

4乾仔&紅圓

5紅圓

6甜粿

7發粿

8壽桃

9丁仔粿

10菜頭粿

11芋粿

12芋粿蹺

13草仔粿

14麵龜

15粿店

16粿店

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