【良書紹介】青木直人『誰も書かない中国進出企業の非情なる現実』

【良書紹介】青木直人『誰も書かない中国進出企業の非情なる現実』
【良書紹介】青木直人『誰も書かない中国進出企業の非情なる現実』

  (祥伝社新書)

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より転載

 本当は怖い中国投資だったのに、嘘の情報で投資を促した張本人は誰か?
  井戸を掘った全日空もパナソニックもひどい目にあったんですがねぇ。

 「井戸を最初に掘った恩を忘れない」と周恩来は言った。
岡崎達之助が率いた全日空は北京と西安にホテルも開業した。いまは二つとも人手にわたった。

パナソニックもひどい目にあって、北京のショールームを畳んだ。ヤオハンはまんまとだまし取られ、伊勢丹は瀋陽から撤退、ヤマダ電器は南京から撤退した。しかし、この程度で納まるわけはない。

井戸を掘った恩人を忘れないと言ったではないか、と日本側が文句を付けると、中国側は言う。「北京に井戸はありません。水道水を飲んでいます」

こうなると「すぐに中国から撤退をするべきだ」というのが本書の結論である。

 その結論に至るまでの中国でのビジネス実態を、とくにそのブラックな部分を本書は執拗に実名入りで次々と暴いていく。凄まじい汚職の闇、たかりの実態をこれほどの具体例と実名をあげた本は珍しい。

典型例が伊藤忠であり、いかに腐敗した共産党と面妖なコネクションを拡大し、共産党のご用聞きをやってきたか、その次はトヨタ、そして王子製紙など。つくづくと思うのは、中国進出を進めてきた代理人、政治家、ジャーナリストの責任である。

 旧満州へでた企業はどうなったか? 身ぐるみ剥がされて、命からがら逃げてこられたのは幸運だった。大半は殺害されたか、抑留された。残留孤児の檜垣がおきた。

 今度もまた同じことがおきるだろう。
 
著者の青木氏は「撤退」も選択肢として薦めるものの、評者(宮崎)に言わしめれば「中国への進出そのものが間違いだった」のである。

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