【良書紹介】『満洲国建国の正当性を弁護する』

【良書紹介】『満洲国建国の正当性を弁護する』
【良書紹介】『満洲国建国の正当性を弁護する』

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より転載

すでに1935年に正当な満洲史観がアメリカで上梓されていた
  日本の満洲国建国支援を正当に論理的に評価していたアメリカ人の活躍

ジョージ・ブロンソン・リー、田中秀雄訳『満洲国建国の正当性を弁護する』(草思社)

 満洲という民主的国家の建設こそは、中国が史上初の民主化というテストケースだったのだ。
本書は戦後史観を根底からひっくりかえす画期的な訳本である。
本書の原題は、『満洲国の場合は』となっているように、あまたある近現代史論のなかで、とくに歴史家でもない、実業家であり、かつジャーナリストであった著者だからこそ書けたとも言える。
シナの現場の感覚と豊富な人脈を通じて知り尽くした中国人のリアリティ、その体験から冷静に見据えた中国という「国家とはとても言えないカオス状況」の中に差し込んだ一条の光を描き出した。
 それが中国は初めて体験しようとしていた民主国家、マンンチュリア建設だった。
 ところがロシアの野心は南進にあり、さんざん日本を利用し、こづき回し、果ては多くの謀略を用いて日本の努力と挑戦をひっくり返した。それに手を貸した米国は、最後の最後、中国はロシア傘下となってしまったが、逆転劇に達する過程のありさまを本書は活写する。
 なにしろ著者のブロンソン・リーは、孫文の親友でもあり、鉄道の建設プロジェクトを委託され、外国に借款を求める責任者でもあった。それも三回に及んだ。だからこそ知り尽くしたのだ、現代史の闇を知りすぎた男でもあった。

 かれは言う。
 「満洲国は中国の領土ではない」
 「『リットン報告書』はデタラメな裁判である」うえ、「満洲国は条約違反をしていない」、「いやそもそも中国は国家ではない」のだ、と。
 ブロンソン・リーは、当時のシナ大陸の実情を次のように活写している。
 「北京から江西省までの各軍閥は、中国で最も繁栄している地域を取りもどそうという気になった。そこでは張学良一派が三千万の人民から富を掠奪し、盗み、その歳入は南京政府に勝るとも劣らなかった。(中略)彼らの奇襲や虐殺によって無法状態が現出した。新国家の信用を失わせ、秩序生前とした政府を成立指せにくくするためである。揚子江の南にいるあらゆる急進的な指導者がお膳立てし、新たな戦争の種を撒いた」
 にもかかわらずアメリカの遣り方は、この無秩序を助長するような愚かな対応ばかりしていたのだ。
 ――(似ているなぁ。ゾンビ国家に手を貸すいまのアメリカと)

 リットン調査団のなかには国務省から派遣されたブレークスルー博士がいた。
かれは「極東の未解決な問題だけではなく、日米間の問題の最も効果的な解決方法は、中国が強くなることである。(そうすれば)いずれ、日本は現在の中国政策を放棄することになるだろう」と『極東に於ける政策の衝突』(1934年)で書いていた。
 つまり、これこそが当時の米国務省の雰囲気を代弁している。
 逆に著者は日本の置かれていた状況と立場をつぎのように代弁している。
 「日本はロシアの侵略に抵抗し、独立を護るために二つの戦争を戦った。日本は、中国がロシアと秘密の同盟関係を結んでことを知っている。また中国の一方の政治党派が公然とモスクワと同盟し、中国全体を統一しようとしていることを知っている。中国中心部における『赤の勝利』が、モスクワと同盟したもう一つの共産主義国家の登場に繋がることを知っている。そして自らの未来が安全かどうか恐れている。そのような状況下では、日本は座して死を待つことはしない」
 共産主義者が中国で露西亜の支援を受けて猖獗をきわめていた時に、中枢でシナ人らは何をしていたか。

 ブロンソンは続ける。
 「南京を見よ! 外国人顧問が国民政府の全ての部局に、満ちあふれている。国際連盟の大勢の専門家たちは各自が机上の計画を立て、行政、財務、司法、衛生学、公衆衛生、教育の基礎、その他近代国家の基本的な義務を政府の役人に教えている。この揚子江上の傀儡ショーの背後には、操り人形を動かしながら債務支払いに睨みをきかせている外国軍艦の煙突から立ち上る煙が見える」
 ところが、この情景を目撃してさえも外国メディアは日本の満州国建国支援を罵り、悪罵を投げかけ、冷笑していたのだ。
 著者のリットン報告の総括的評価は、
 「満州国の訴訟は控訴も出来ない裁判所でなされたのである。またこの訴訟では利害関係を持つ裁判所の集団が、自ら作った法を解釈し、自ら作った議事手続きを適用して被告人に有罪を宣告した」、つまり法の精神はなく、『自由と平等を熱望し、裁判官等には想像の世界にのみ存在する政府の独立を宣言してその権利を主張』するという不思議な裁判を演出した

 もう一つ特筆しておきたいのは、田中上奏文がの偽書であることはあまねく知れれている画、評者(宮崎)は、これを中国の陰謀とみてきたが、なんとロシアが主導した偽造であると示唆している点である。
 当時もすでに欧州では『シオンの議定書』が偽造文書であることは知られており、ユダヤ人がスイスで訴えを起こしていた。
「1921年にタイムズは議定書が恥知らずの偽造であり、ロシアの元メンバーが秘密警察の手になるものだという秘密を掴んだ」。

 しかし元を正せば、「1864年にフランス人法律家モーリス・ジョイがナポレオン三世の独裁政治に反対して書いた『マキャベリとモンテスキューの冥界での対話』の剽窃であると告発している。その中ではユダヤ人の長老が、ナポレオンの名を借りて話すマキャベリに置き換わっている」のである。
 この基本的トーンが、ピョートル大帝、レーニンの世界革命論、共産主義者のアジア支配計画におけるロシア製、ロシアの発想パターンに軌を一にした偽造文書となっており、まさに同様な手法で、「ソビエト化した中国の役人によって北京で発表された田中上奏文」なる謀略文書、つまり偽造の構造、構文、その文章心理学的分析からみれば、当該偽造文書の文章心理が露西亜的である。
これは日本人が思いつきもしない心理が作用しているからであると、その本質をずばり見抜いている。
 当時、これほど慧眼なアメリカ人がいたことも別の意味で驚きではないだろうか。

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