【産経・北京春秋】転覆事故 「美談」ばかり

【産経・北京春秋】転覆事故 「美談」ばかり
【産経・北京春秋】転覆事故 「美談」ばかり

【編集長の一言】そもそも中国権力者の目線は犠牲者になく、自分にだけなのだ。

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産経新聞 2015年6月9日より

 長江で旅客船が転覆し、乗客400人以上が死亡する事故が起きた。大きな事件や事故を小さく扱うこともある中国メディアが、今回は珍しくそれなりのスペースで報道した。ただ、その内容には強い違和感を抱かざるを得なかった。

 事故原因の究明や責任の追及などの報道は皆無で、突然命を絶たれた人々の無念さも、残された家族の悲しみもほとんど伝えていない。その一方で、共産党指導部が事故にいかに大きな関心を持ち、「一人でも多くの命を救出しなさい」といった言わずもがなの指示を繰り返して出したことや、救援に当たった兵士が不眠不休で努力する姿ばかりが新聞やテレビに大きく取り上げられた。

 事故の翌日、現場で陣頭指揮をとっていた李克強首相が、午後2時ごろになって会議室でやっと弁当を食べ始めたことがニュースとなった。捜索を担当した海軍の幹部が、娘が大学受験を控えているにもかかわらず、5日間も家に帰れなかったことも“美談”として紹介された。

 乗員乗客の95%以上が死亡もしくは行方不明で、救援活動が成功したとは言いがたい。検証すべき点はほとんど無視され、「民衆の命を大事にする共産党」がひたすら礼賛された。

 中国のメディアは政府の「喉と舌」といわれる理由であろう。(矢板明夫)

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