防府市出身で11代台湾総督などを務めた上山満之進(かみやま・みつのしん)(1869〜1938年)の生誕150年に当たる今年、同市では、功績をしのぶ様々な催しが計画されている。(長野浩一)
満之進は東京帝大を卒業後、内務省に入り、熊本県知事や台湾総督などを歴任。晩年、私財を投じて故郷に図書館を建てる計画を立て、没後に遺族が市立防府図書館の前身「三哲文庫」を設立した。
生誕150年記念の集いは「上山満之進に学ぶ会」の主催で、25日午後1時45分から、同市地域交流センター「アスピラート」で開かれる。
▽元龍谷大教授の児玉識さんが「三哲文庫によせる上山満之進の精神」▽松陰神社名誉宮司の上田俊成さんが「吉田松陰と上山満之進」▽萩博物館主任学芸員の道迫真吾さんが「品川弥二郎と上山満之進」――をそれぞれ話す。入場無料。
誕生日の9月27日には、市立防府図書館で満之進ゆかりの油彩画が公開される。満之進が台湾の近代美術を代表する洋画家陳澄波(1895〜1947年)に依頼し、描かせた「東台湾臨海道路」で、作品の調査研究などのために寄託されていた福岡アジア美術館(福岡市)から返還される。
また、三哲文庫跡地の公園の愛称を「三哲文庫記念公園」とすることにしており、同日、市が看板の除幕式を行う計画だ。
満之進の命日の7月30日、親族や関係者ら約30人が同市江泊にある墓で手を合わせ、冥福を祈った。
参列した池田豊市長は「防府からこのような偉人が誕生したことを、子どもたちにも伝えていきたい」とあいさつ。満之進の親族で、学ぶ会事務局の上山忠男さん(90)は「台湾では今でも満之進の業績が称えられている。命日に多くの方々にお参りしていただき、大変ありがたい」と話した。
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上山満之進に学ぶ会上山忠男防府市中央町15-15TEL/FAX:0835-27-5555