県人4男性 被害判明/台湾2・28事件
【2月21日付 沖縄タイムス】
県出身の男性四人が一九四七年に台湾で起きた「2・28事件」に巻き込まれ、行方不明に
なっていることが二十日までに、分かった。「台湾228事件沖縄調査委員会」(代表・又吉
盛清沖縄大学教授)の調査で判明した。同事件を目撃したという青山先澤さん(百歳)も
名乗りを上げ、県出身者の被害実態の解明に向け大きく動きだした。(嘉数よしの)
2・28事件では中国大陸から台湾に渡った国民党政権が地元住民を弾圧し、二万人以上が
犠牲になった。県出身者が巻き込まれていたことは、一九九〇年代から進められた又吉代
表らの調査で分かっていたが、一月の会発足のマスコミ報道により、新たな証言、情報が
寄せられた。
行方不明者四人のうち一人は青山恵先さん。国民党軍が上陸した港町・基隆で連行され、
死亡したとみられる。事件体験者として名乗りを上げた先澤さんは恵先さんのいとこで、
事件当時、基隆で漁業に従事していた。「恵先は事件を知らず基隆に来たようだ。うわさ
を聞きつけ探し回ったが、見つからなかった」と涙ながらに話す。
基隆には当時、社寮島(現・和平島)に沖縄人集落があり、漁業を仕事とする県出身者
や、石垣や与那国から密貿易で来台する人ら、百人前後の沖縄人がいたといわれる。調査
で四人の“行方”が浮き彫りになったが、沖縄と2・28事件のかかわりは、六十年目の「新
たな真実」として台湾側から大きな注目を集めている。
四人に関する詳細な情報は二十七日、台湾の政府機関、行政院文化建設委員会で開かれ
る会見で、中間報告として発表される。先澤さんも同席する予定。「たくさんの人が亡く
なった。こんな事件が二度と起こらないよう訴えたい」。渡台を前に、先澤さんは意気込
んでいる。