【産経新聞:2015年5月23日「読書 編集者のおすすめ」
戦後70年の今年、さまざまな反日記念日が新設されるなど、中国と韓国による反日共闘が激化す
ることが予想されていましたが、本書では、中韓ウオッチャーの2氏が、両国の経済悪化や権力闘
争の泥沼化、日米の連携強化などにより、そのもくろみが崩れはじめている実態を紹介。
その転機となったのが、中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)。創立加盟国は57
カ国となり、日本国内の一部メディアや経済界からは「参加を見送った日本の判断は誤りだ」とい
う論調も続出しました。
しかし本書では、AIIBは経済の失速著しい中国が自国の内需不足を補うための道具にしよう
と考えていること、だが空中分解する可能性が高いこと、日本を懐柔するために中国は4月末の日
中首脳会談を申し入れたことなどを喝破しています。
逆に参加を表明した韓国は、今後、日本が参加することで自国の影響力が低下することを恐れて
おり、何とか阻止したいと考えているなど、両国の思惑の違いを解説。
アメリカ議会での安倍晋三首相の演説に対して韓国の国会が非難決議を採択する一方で、中国は
目立った批判を控えるなど、「日本にすり寄る中国、孤立へ向かう韓国」といった様相も指摘して
います。
その他、政治、経済、軍事、外交などの最新情報から、日中韓の今後を分析しています。日本で
は安保法制の議論が活発化していますが、アジア情勢の変化を読み解くうえで、最適の一冊です。
(宮崎正弘、室谷克実著/徳間書店・1000円+税)
徳間書店学芸編集部・明石直彦
◆宮崎正弘、室谷克実著『日本に惨敗しついに終わる中国と韓国』
http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198639358